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スポーツを楽しく続けられるのは「誰かのためではなく自分の為」
─────おふたりとも3歳の頃からフュギアスケートをずっと続けていますが、ひとつのスポーツを楽しく続けるコツはありますか?
望結さん:今、スポーツが楽しくないと思っている子がいたとしたら、試合で結果が出せなかったり、先生に怒られたり、いろいろな理由があって楽しくないと感じることがあると思うのですが、逆にすべてがうまくいってたら楽しくないと思うんですよね。難しいから、簡単にうまくいかないからこそスポーツは楽しいし魅力があると私は思います。
紗来さん:楽しく続けるコツは、無理なくやりたいときにやるということ。練習がある日は毎日行きますが、無理にやってケガするよりは、やりすぎないで明日にしようとか、調整していますね。自分でも最近わかってきたのですが、調子が悪いときに無理をするとこれからの流れが悪くなるので、変な予感がしたらやめておこうというのはあります。あとは、お姉ちゃんと一緒に練習するときは、ゲーム感覚で対決しながら楽しむ工夫もしています。
─────毎日の練習メニューは自分で決めているのですか?
紗来さん:自分で考えて練習することが多いですね。毎日同じルーティーンの練習で、その日のコンディションに合わせてこれをいつもより多くやろうとか考えています。
以前は、やった分だけ上手くなるという気持ちで、先生に言われたことをとことんやるという感じでしたが、身長が伸び始めた時、ジュニア(13歳〜18歳)になったくらいから自分のペースでやろうという気持ちに変わっていきました。
小さい頃は、なんでも上手くいくんですよね、やればやるだけ上手くなる。でも、今は小さい頃とは体力がちがうんですよね。それも体の変化で、だんだんわかるようになってきました。
望結さん:たぶんそれは、フィギュアスケートだけではなくてどのスポーツでも中学生くらいから体の変化が表れてくるので、そうすると誰もが実感することだと思います。いま読んでくれてる方々も尊敬するスポーツ選手でもやっぱり成長することによる体の変化はあると思うので、とにかく焦らないというのは私も経験上感じました。
モチベーションを保ち続ける方法
─────第一線で活躍しているおふたりですが、モチベーションを保ち続けるために実践していることなどありますか?
望結さん:意欲がなくなってしまうことがあったとしても、続けていたらいつか乗り越えられると思います。だから、もしうまくいかないときがあったら何も考えずにコーチを信じてやるだけ。フィギュアスケートだったらジャンプができなくなったとかあるけど、続けていれば跳べていたジャンプだったら絶対にまた跳べると思うので焦らないで、ちゃんと自分の体と向き合いながらいまできることを精一杯やるしかないんじゃないかなと思います。
─────その精神力に到達するまでに経験したことはありますか?
望結さん:お芝居の話になりますが、小さいころからオーディションをやってきて、関西に住んでいるのでオーディションの度に東京に来て、落ちた帰り道、小さいながらに自分はダメだったんだというのを新幹線の中で2時間半の間ずっと考えている訳じゃないですか、そういう経験が諦めない気持ちや考え方につながったのではないかと思います。
フィギュアスケートでも完璧な演技がしたいけれど、失敗するのは誰でもあることだし、失敗するからこそ成功したときの嬉しさもあるし、それはお芝居も同じで、何回もオーディションでダメでも続けてたら、なにかチャンスが巡ってきます。とにかく失敗を恐れずに、やり続けることが大切なのではないかと思います。
紗来さん:兄妹が多いと負けず嫌いになるというか、競争をすることが多かったので、本田兄妹は負けず嫌いな気持ちが強いのかなと思います。お互いの刺激が、向上心につながっていく感じですかね。
目標があるともっと頑張れる!本田姉妹の憧れの選手とは?
─────おふたりが目標にしている選手はいますか?
紗来さん:アメリカのフィギュアスケート選手のネイサン・チェンさんです。日本のコーチとは別にアメリカのコーチがいるんですけど、一緒に練習したことがあって、学力もすごい人なんですよ。練習場に分厚い本を持ってきていたり、フィギュアでも優秀な成績をおさめていて文武両道なところを尊敬しています。
望結さん:お姉ちゃんの真凜です。冷静に考えても世界ジュニアで一番になった人がお姉ちゃんってすごいなって思います。選手の中には、お姉ちゃんを憧れの人にしてるという人もたくさんいると思うんですけど、一緒に練習ができるということも幸せですね。一番近くで見れるからこそ、得られるものは得ようという気持ちでやってます。
行き詰まったときの気分転換の方法
─────気分がのらないときなどに実践している気分転換の方法があれば教えてください
望結さん:本を読む。本はたくさんのことを得られるので、すごく好きです。自己啓発本、メンタル系の本や現役を引退した選手が書いた本などをよく読んでいます。気になった言葉をメモに保存しておいて見返したりしています。スポーツをやっている人はスポーツ選手が書いた本がおすすめです。自分の競技じゃない人の本でも、緊張のほぐし方とか失敗した経験談を読んで、私だけじゃないんだ、こんなすごい人たちでもちゃんと失敗とか後悔っていうのがあるんだなというのがわかるだけでも、気持ちが楽になると思います。
紗来さん:私の場合は、休みの日に遅くまでゲームをしてめいっぱい寝る。真凜お姉ちゃんといろいろなゲームをしていますね(笑)。
試合前の気持ちの作り方
─────試合前に緊張しているときなど、気持ちの作り方はどのようにしていますか?
望結さん:
試合の結果は練習の時点で決まっていると思います。どうしても不安で仕方ない。練習もうまくいかなかったというときは、あと数分後には終わってると思うとちょっとだけ落ち着くと思います。
紗来さん:望結と同じ考えですね。練習の時点で未来がほぼ決まってると思っているので、焦ってもしょうがないと思うようにしています。あんまり緊張したらそんなの考えらないけど(笑)。
望結さん:あとは、自分を信じる。信じたら勝ちだと思うんですよ。どんなに練習ができなかったとしても、なんか上手くいけそうと思ったら行けることもあるし、「絶対できる、やってやるわ!」くらいの気持ちでいると成功の確率も高くなると思います。
いまスポーツを頑張っているみんなへメッセージ
─────最後に、いまスポーツを頑張っている子どもたちへ一言お願いします。
望結さん:なにかに没頭できる、大好きなものを見つけられたことは何よりも幸せなことだと思います。でもスポーツを続けていると楽しいことだけではなく、苦しいこともあります。コロナウィルスがある時代になって思うように練習ができなかったり、目標にしている試合がなくなった子もいたと思います。それでも、とにかく好きなスポーツができていることやサポートしてくれる両親に感謝する。そういう気持ちを持っていると、きっと結果を残したいときに神様は味方してくれると私は信じているので、練習を頑張って欲しいなと思います。
紗来さん:努力することはもちろん大切なことですが、楽しさを忘れないように、頑張りすぎないで欲しいですね。よく、先生やコーチ、お母さんお父さんに怒られるということを気にする子がいますが、まわりの目を気にしないで自分の為に進んでいって欲しいなと思います。
本田姉妹の魅力に迫ったロングインタビュー
本田姉妹に、家族・姉妹・フィギュアスケートについてのお話を聞いたロングインタビューを3回にわたって紹介しましたが、いかがでしたか?さらにファンになってしまったという人も多いのではないでしょうか。撮影中も2人で写真を撮り合ったり、とっても仲良しなおふたり。これからの活躍にも注目していきたいですね!
【プロフィール】
右:本田 望結(ほんだ みゆ)
2004年6月1日生まれ、京都府出身。「家政婦のミタ」などの人気ドラマに多数出演。MBS系「どうせもう逃げられない」(毎週木曜深夜0:59~)向坂翼役で出演中。フィギュアスケターとしても活動している。
左:本田 紗来(ほんだ さら)
2007年4月4日生まれ、京都府出身。現役のフィギュアスケート選手として、19年2月国際大会オランダ・デンハーグチャレンジカップフィギュア2019 アドバンスドノービス女子優勝などの数々の実績を持つ。姉と同じく芸能活動もしている。
取材・文/やまさきけいこ