日本で、「食物アレルギー」と言われると、まず思い浮かぶのが、乳・卵・小麦・そば・落花生・えび・かにです。
なぜかと言いますと、日本では、この7品目が特定原材料7品目と言われ、食品のパッケージなどで必ず入っているか、入っていないかの表示をしなければならないからです。
次いで、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、 牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、アーモンドの21 品目。特定原材料に準ずるもの21 品目と言われます。こちらの21品目に表示の義務はありません。(2019年9月にアーモンドが追加され20品目から21品目になった)
では、海外に目を向けてみましょう。はたしてどの原材料が表示義務とされているのか、そして表示方法はどのようなものか。
今回は海外における食物アレルギー表示について紹介します。
アメリカのアレルギー表示
飛行機の便も増えたことから、今行きやすさ、価格などの面で大注目されているハワイを含む、アメリカ合衆国。
アメリカの食物アレルギーと言えば「ナッツ」を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はアメリカはアレルギー対応の最先進国と言っても過言ではありません。
そんなアメリカの表示が義務化されている食品はこちらです。
dairy products(乳) /egg(卵)/fish(魚類)/shellfish「(甲殻類」/nuts(ナッツ類)/peanuts(落花生)/wheat(小麦) /soybean(大豆)
あれ?思ったより少ない?と思うかもしれませんが、ここでポイントとなるのが「類」の部分です。
日本では「鮭」が入っていたら表示されますが、「まぐろ」が入っていた場合はアレルギー表示はされません。
しかし、アメリカの場合、魚類なので、魚が入っていたら「魚が入っている」ということが明示されるのです。
ナッツ類も同様です。アーモンド、クルミ、カシューナッツといったナッツ類が一つでも入っていた場合、アレルギー表示がされます。
EU
EUは多くの人種が住む、多様な国々です。そして、オーガニックへの意識も以上に高いエリアでもあります。
そんなEUのアレルギー表示は全部で14品目
Cereals containing gluten(グルテン含有穀類)/Crustaceans (甲殻類)/Egg(卵)/Fish (魚)/Lupin (ルーピン)/Milk (乳)/Molluscs (軟体動物)/Mustard (マスタード)/Nuts (木の実)/Peanuts (ピーナッツ)/Sesame seeds (ゴマ)/Soybeans (大豆)/Celery (セロリ)/Sulphur dioxide and sulphites (二酸化硫黄・亜硫酸)
参照サイト:List of 14 Allergens The Food Safety Authority of Ireland
え??!!!こんなものまで!?というものや「何これ?」っていうものありますね。
意外とマスタードアレルギーやセロリアレルギーの方って、海外の方には聞きます。なぜかはわかりませんが。
また、ルーピン(ハウチワカメ/ルピナス)。まったくもって聞きなれない言葉と思いますが、添加物として使用されることがあるようです。
そして、実はこのルーピンは、カナダ保健省(Health Canada)は、ピーナッツアレルギーを持っている人たちに対し、ルーピンの摂取は潜在的なリスクがあると注意喚起しています。ルーピンそのもののアレルギーというよりも、ピーナッツアレルギーの方に対すアレルギー喚起でるということですね。そうなると、日本でもたくさんいるピーナッツアレルギーの方は、この聞きなれない単語に注意が必要となります。
参照サイト:Information for Canadians with Peanut Allergy Concerning Lupin – Canada.ca
二酸化硫黄・亜硫酸は、ワインによく入っています。スーパーでワインを見つけたらぜひ見てみて下さい。
オーストラリア・ニュージーランド
独自の生態系をもつため、自国の食を非常に大切にするオーストリア・ニュージーランド。
この国の表示義務は10品目。
Peanut(ピーナッツ)/Tree nuts(ナッツ類)/Milk(乳製品)/Eggs(卵)/Sesame(ゴマ)/Fish(魚類)/Shellfish(甲殻類)/Soy(大豆)/Wheat(小麦)/Lupin(ルーピン)
ここでも、ルーピンがでてきましたね。オーストラリアなどでは、コンタミなどでナッツ類が入ってしまう可能世がある場合、「ナッツ類が含まれる可能性がある」という明示もされていれています。
海外での表示のされかた
ここまで説明をして、日本より圧倒的に表示量も、注意の仕方も細かいことがわかってきましたね。
では表示もさもわかりやすいのだろう!と思いますが、残念ながら実はそうでもありません。
日本ではイラスト・別枠での表示が種類に対し、上記エリアの表示方法はどこもだいたい同じで、アレルゲンを太文字にする、というただそれだけのものだったりします。
こちらは、ドイツで見つけた、グルテンフリーのクッキーです。
アルファベットがズラーと書かれています。これはドイツ語だけでなく、英語・イタリア語・フランス語などでも原材料が書かれているのです。
英語がペラペラ!EUの人たちには、分かりやすいかもしれませんが、英語が苦手だと、めまいがしそうな表示です。
何がどこにかかれているのか・・・と探してしまいますね。
まずポイントは、英語を探すことです!(英語よりフランス語のほうが得意という人はフランス語探してください)
英語を探し、太文字になっている部分を探す。見慣れた文字があったらそれがアレルゲン!
なので、必ず、お子さんや自分自身のアレルゲンは英語表記で覚えておいた方がいいでしょう。
ただ、注意として、乳製品は「MILK」と表記される場合と、「Dairy」と表記されている場合があるので、二パターン知っておく必要がありそうです。
ベジタリアンコーナー/グルテンフリーコーナーを探す
一番手っ取り早い探し方ですが、「そもそも特定のものをつかっていない」コーナーを探すことです。
アメリカは未確認ですが、EU/オーストラリアでは、必ずと言っていいほど「グルテンフリーコーナー」「ベジタリアンコーナー」「オーガニックコーナー」があります。
小麦アレルギーであれば、グルテンフリーコーナーから探す、卵・乳製品アレルギーがあれば、ベジタリアンコーナーから探すなどしてみるのがポイントです。
イタリアのスーパーでのベジタリアンコーナー
海外のアレルギー表示をアプリで練習
これから海外に行くという人や、海外のアレルギー表示見てみたい!という人は海外のアプリですが、Allergy Reality: Food Safetyというアプリがお勧めです。
アレルゲンをタップするというゲームができるので、実際の表示から、アレルゲンを探す練習になりますよ。
いかがでしたか?
実は海外の方が日本よりアレルギーにたいして表示がしっかりしていることがわかったと思います。
あとは、いかに慣れていくか。英語の勉強と思い、ぜひお子さんと一緒に覚えてみて下さいね。
構成/村田 愛(アレルギーっ子の旅するサイトCAT Child × Allergy×Trip代表)