「ちちんぷいぷい」ってどういう意味?
子どもが頭をぶつけたり転んだりしたとき、「ちちんぷいぷい、痛いの痛いの飛んで行け!」と言いませんか?
ただ最近は、「ちちんぷいぷい」は言わずに、「痛いの痛いの飛んで行け」とだけ言うのかもしれませんが。
「ちちんぷいぷい」は、死語とは言えないまでも、最近はあまり聞かなくなったことばのようです。でも、関西にお住まいのかたなら、昨年までこのことばをタイトルにした生放送の情報番組があったことをご記憶かもしれませんね。
この「ちちんぷいぷい」って、いったいどういう意味だと思いますか?
国語辞典を引くと、「ちちんぷいぷい」は、「ちちんぷいぷい御世(ごよ)の御宝(おたから)」の略だとしているものがあります。そして意味は、
「幼児が転んだり、ぶつけたりして体を痛めたときに、痛む所をさすりながら、すかしなだめること。また、そのときに唱えることば。手品などを子どもに見せるときに呪文のように唱える場合にもいう」(『日本国語大辞典』)
と説明されています。
江戸時代から使われていた「ちちんぷいぷい」は、昔話にも登場
この「ちちんぷいぷい」は江戸時代から使われていたのですが、語源はよくわかっていません。
一説に、「智仁武勇は御世の御宝」の「智仁武勇(ちじんぶゆう)」が「ちちんぷいぷい」になったと言われています。そして、子どものころ泣き虫だった徳川三代将軍家光を、乳母の春日局(かすがのつぼね)があやしたときに唱えたことばだったというのです。真偽のほどはわかりません。
「智仁武勇」は、「智」「仁」と「武勇」ではなく「勇」なら、儒教で「三達徳(さんたっとく)」と呼ばれるもっとも基本的な三つの徳のことです。
「ちちんぷいぷい」は、昔話にも使われています。「屁ひり爺」「竹切り爺」と呼ばれる話に出てきます。爺さまが「ちちんぷいぷい」と唱えて、なんとおならをするのです。
子どもにピッタリな呪文としての愉快な響き
いずれにしても、何かをしてみせるときの呪文として愉快な響きがあるので、子どもに使うには最適なことばなのかもしれません。
そして、古くからこの語と結びつけて使われてきた「痛いの痛いの飛んで行け」は、実際に痛みを緩和させる効果のあることが医学的にも証明されているようです。
このまま死語にするのは惜しいので、皆さんもぜひ使ってみてください。
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