「草食動物」と「肉食動物」にはどんな特徴がある? 体のつくりの違いを紹介

「草食動物」と「肉食動物」には、意外と知られていない、たくさんの違いがあります。主食や体のつくりなど、知っているようで知らない、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。両方の特徴を併せ持つ、雑食動物についても紹介します。

草食動物・肉食動物はどんな動物?

草食動物・肉食動物と聞いて、「知っているつもりだったけれど、あらためて考えるとよく分からない」という人は多いのではないでしょうか。草食動物・肉食動物それぞれの特徴を確認していきましょう。

植物質が主食の「草食動物」

草食動物のシマウマ

「草食動物」とは、植物質を主食とする動物全般のことです。言葉のイメージから、草を食べる動物のみを指すように思われがちですが、実際は木の葉・花・果実を主食とする動物も含みます。

食物連鎖では、「生産者」にあたる植物を直接食べることから「第一次消費者」と呼ばれています。「第二次消費者」にあたる肉食動物に捕食される立場にあるため、肉食動物に比べて個体数が多いことも特徴です。

<主な草食動物>象・シマウマ・カンガルー・サイ・ヤギ・鹿・ナマケモノ・ウサギ・モルモット

動物質が主食の「肉食動物」

肉食動物のライオン

「肉食動物」とは、動物質を主食とする動物全般のことです。狭義では、鶏や獣を食べる動物を指しますが、動物性プランクトンや、腐肉(死後に腐敗が進んだ動物の肉)を食べるものも肉食動物に分類されます。

食物連鎖では第一次消費者である草食動物を食べるため、「第二次消費者」と呼ばれます。食物連鎖の生態ピラミッドにおいて、上の階層にいくほど個体数は減少することから、肉食動物の個体数は常に草食動物よりも少なくなります。

<主な肉食動物>ライオン・トラ・チーター・ヒョウ・オオカミ・カワウソ

草食動物と肉食動物の体のつくりの違い

草食動物と肉食動物とでは、体のつくりにも大きな違いがあります。主な違いを確認していきましょう。

目の位置や視野

草食動物と肉食動物の目を見比べてみると、その位置に大きな違いがあることが分かります。

草食動物の目は、顔の両横に付いています。見渡せる範囲が広く、死角はほとんどありません。そのため、自分を狙う肉食動物の存在にもいち早く気付けるのです。

草食動物であるシマウマの目は顔の両横に付いている

一方、肉食動物の目は、顔の正面に並んで付いています。視野が狭い反面、目の前の物を立体的に捉えることができ、距離感も正確に測れます。獲物を狩るのに特化した構造といえるでしょう。

肉食動物であるライオンの目は顔の正面に並んで付いている

歯や爪

植物質を主食として食べている草食動物は、平たくて大きい臼歯を持っています。臼のような形の臼歯ですり潰すことにより、硬い草を飲み込んだり、消化したりすることをスムーズに行えるのです。

一方、肉を主食とする肉食動物の歯の特徴は、鋭く尖った犬歯とハサミ状の臼歯があることです。獲物に食らいつき、仕留めることに特化した形状といえます。

また、草食動物の爪には大きくて頑丈なひづめがあります。ひづめがあることで、肉食動物に追われた際にも長く走り続けられるほか、大きな体を支えることができるのです。

対して、肉食動物の爪は鋭く尖ったかぎ爪です。歯と同様、獲物を捕らえて仕留めることに特化した形状といえるでしょう。

消化器の長さ

草食動物は、肉食動物に比べて非常に長い消化器を持っています。というのも、草食動物が食べる植物の細胞には、動物の細胞にはない細胞壁があるため、消化に長い時間がかかるのです。長い消化器で時間をかけて消化することで、総食堂部は栄養を吸収しています。

また、牛を代表する一部の草食動物は、4つある胃を使った「反芻(はんすう)」という独特の消化を行います。噛んだ植物を胃に送ったり、口に戻したりを繰り返しながら消化を行っているのです。そのほか、太い盲腸の中に住むバクテリアの力を借りて消化を行う草食動物もいます。

4つある胃を使った「反芻(はんすう)」という独特の消化方法を行う牛

一方、比較的噛みやすく消化しやすい肉を食べる肉食動物の消化器は、草食動物と比べて短く、独自の消化方法もありません。普段食べているものによって、消化器にも大きな違いがあるのです。

雑食動物はどんな動物?

動物の中には、草食動物にも肉食動物にも属さない「雑食動物」と呼ばれるグループがあります。雑食動物とはどのような動物なのか、詳しく見ていきましょう。

植物質と動物質の両方を食べる動物

雑食性のスズメ

草食動物が植物質を、肉食動物が動物質を主食とするのに対し、植物質・動物質の両方を食べるのが「雑食動物」です。

植物の選択肢が広い雑食動物は、食べるものによって生息地を限定されることがありません。季節や環境に合わせて食べるものを変えられるため、環境に適応しやすく、生息地の自由度が高いという特徴を持っています。

<主な雑食動物>スズメ・ドブネズミ・ハムスター・カラス・フナ・人間

雑食動物の体のつくり

雑食動物の体のつくりは、草食動物と肉食動物との中間の性質を持っています。

歯に注目してみると、食べ物をすり潰す臼歯も噛み切る犬歯・門歯もあり、植物質・動物質どちらの食べ物にも対応できる形状をしています。

消化器の長さについても同様で、草食動物ほど長くなく、肉食動物ほど短くもありません。目こそ肉食動物と同じく顔の前面に並んでいますが、基本的には草食動物と肉食動物の特徴を併せ持った動物といえます。

多くの違いがある草食動物と肉食動物

植物質を主食とする草食動物と、動物質を主食とする肉食動物は、さまざまな面で異なる特徴を持つ動物です。

特に大きな違いがあるのが目・歯・爪・消化器で、それぞれの食べ物や環境に合うようになっています。特性の違いから、草食動物と肉食動物の生きる環境や関係性がおのずと理解できるでしょう。

両方の性質を併せ持つ雑食動物も含めて、動物の種類の違いと特性への理解を深めていきましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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