変温動物とは? 恒温動物との違いやよくある疑問の回答も紹介

変温動物や恒温動物という名前を耳にしたことがあっても、具体的にどのような動物のことなのか説明できない人もいるでしょう。そこで、主な種類や特徴、違いを紹介します。よくある疑問についての回答もまとめたので、知識を深めましょう。

変温動物とは?

使われている漢字から「変温動物」の意味が想像できても、うまく説明できない人もいるのではないでしょうか。そこで、変温動物の特徴を属している動物とともに紹介します。

外気温の変化に応じて体温が変動する動物

無脊椎動物のタコも変温動物

変温動物は外気温や水温の変化に応じて、体温が変化する動物のことです。外界の温度の影響を受けやすく、体温が10℃以上変わる動物もいます。体に触ると冷たく感じるため、「冷血動物」と呼ばれることもあります。

属しているのは、無脊椎動物・魚類・両生類・爬虫類です。無脊椎動物は脊椎のない動物のことで、タコ・イカ・ミミズなどが該当します。バッタやカブトムシなどの昆虫類や、エビ・カニなどの甲殻類、ムカデなどの多足類、クモ類も無脊髄動物です。

日光浴や冬眠で体温を維持

変温動物は外気温が下がると自分の体温も低下し、動作が遅くなったり免疫機能が低下したりします。そうなると、獲物を獲ることや捕食者から身を守るのが難しくなるため、体温を維持するために日光浴をすることが珍しくありません。

冬眠をする動物もいます。温度が一定まで下がると活動できなくなり、仮死状態になるためです。外気温や水温が低下して活動ができなくなったため、自分の意思に反して眠ってしまうのです。

これは、よく知られているクマの冬眠とは異なります。クマの場合は、体温維持に必要な食料が獲れなくなる冬に備えて、たくさんの脂肪を蓄えてから冬眠するのです。

なお、必要な食料が得られれば冬眠する必要がないため、自然に近い環境で飼育されているケースを除き、動物園のクマは冬眠しません。

カメ・ヘビ・カエルなどの変温動物と、そのほか哺乳類などの冬眠は、その理由と仕組みが異なる

恒温動物とは?

変温動物と比較して使われることもある「恒温動物」とは、具体的にどのような特徴があるのでしょうか?  どんな動物が属するのかについても見ていきましょう。

外気温が変化しても体温を一定に保てる動物

恒温動物は体温調節機能が備わっており、外気温が変化しても体温をほぼ一定に維持できる動物のことです。

哺乳類や鳥類が属しており、人間も含まれます。「温血動物」とも呼ばれ、触ると温かく感じるのが特徴の一つです。

同じ恒温動物でも、平熱は大きく異なります。

人間 36~37℃

ネズミやサル 37~38℃

犬 38~39℃

ウサギ 38~40℃

鳥類はさらに高温で40~42℃が平熱です。

汗や震えなどで体温を維持

人間など汗腺がある動物は、汗をかくことで体内の熱を発散し体温を下げます。汗腺がない動物は、水や土の中で体を冷やして調節しています。

寒いときに意図せずに体がブルブル震えるのは、体温を上げるためです。筋肉を動かすことで、体温を上げているのです。

犬や猫は、寒いときに毛を逆立てて体の熱が失われるのを防いでいます。人間が寒いときに鳥肌が立つのは、鳥肌を立てることで寒さから身を守っていた名残だと考えられています。

変温動物に関するQ&A

変温動物に関してよくある疑問と、その回答をまとめました。子どもと一緒に豆知識を増やすのもよいのではないでしょうか。動物への興味がさらに増すかもしれません。

例外の動物もいる?

マグロは魚類ですが、外気温よりも高い体温を維持できることで知られています。

外気温よりも高い体温を維持できるマグロ

反対に、ナマケモノは哺乳類ですが、自分ではほとんど代謝熱を生み出せず、外気温が体温に影響しています。外気温が上がりすぎても下がりすぎても活動できません。

外気温が活動に影響しやすいナマケモノ

同じく哺乳類であるハリモグラも、外気温の影響を受けやすい動物です。外気温が5℃のときは、体温が25℃まで下がるといわれています。

外気温の影響を受けやすいハリモグラ

このように、変温動物・恒温動物という分類に属さない動物もいるため、近ごろは異なる呼び方が使われるようになりました。変温動物は「外温性」、恒温動物は「内温性」、体温が部位や生理現象によって大きく異なる動物は「異温性」と呼ばれています。

どんなメリットとデメリットがあるの?

変温動物は体温を維持するエネルギーが不要なため、わずかな食料でも活動可能です。食料不足に対する適応能力が高いことがメリットになります。

デメリットは、環境の変化に対する適応能力が低いことです。地球の歴史をさかのぼると、寒冷期や温暖期といった環境の変化が何度もありました。しかし、変温動物は環境への適応能力が低かったため、生き残れなかったケースが多いのです。

近年、世界的な問題になっている地球温暖化が進むと、トカゲ類の少なくとも6%が2080年までに確実に失われるといわれています。日陰で過ごさなければならない時間が増えることで、エサを探しにいく機会が減ることが原因の一つです。

参考:ナショナルジオグラフィックニュース

冬眠しない動物はどうしてるの?

ミノムシの冬眠

冬眠しない動物は、別の方法で自分の身を守っています。

例えば、北極圏や南極圏に生息する動物は冬眠しても体が凍るだけで生き残れないため、特殊な体の仕組みになっているケースも少なくありません。

アメリカアカガエルは、体内の糖分を増やすことで凍らない仕組みになっています。コオリウオという魚は、血液中に不凍タンパク質が含まれているため、凍りません。

多くの昆虫も冬眠はせず、カマキリは卵の状態、アゲハチョウはさなぎの状態で越冬します。幼虫の状態で越冬するカブトムシやクワガタは、腐葉土などの中で過ごし、ミノムシは小枝などで作ったみのの中で過ごします。

変温動物は外部の温度により体温が変化する

変温動物とは、外気温の変化に応じて体温が変わる動物のことです。日光浴や冬眠で体温を維持しています。基本的には哺乳類と鳥類以外の動物が該当しますが、例外もいるため、近年は「外温性」「内温性」「異温性」という言葉で分類されるようになっています。

これを機に、さまざまな動物の生態や特徴を調べてみるのも楽しいでしょう。

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構成/Hugkum編集部

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