無脊椎動物とは
無脊椎動物(むせきついどうぶつ)とは、どのような動物を指すのでしょうか。まずは言葉の定義をおさらいしましょう。
脊椎を持たない動物のこと
脊椎とは背骨のことで、体に背骨のある動物を「脊椎動物」といいます。対して、背骨を持たない動物を総称した言葉が「無脊椎動物」です。
地球全体における脊椎動物の割合は4%ほどで、ほとんどの動物は無脊椎動物に分類されます。
アメーバやミドリムシのような単細胞の原生生物から、カニやカブトムシのように硬い殻を持つ動物まで、無脊椎動物は大きさや形態もさまざまです。
地球上で、100万種以上もの存在が知られています。
脊椎動物との違い
まず脊椎動物のほうですが、脊椎動物は大きく魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類の5種類に分けられ、6万種以上が存在します。もちろん、私たち人間も脊椎動物の仲間です。
脊椎動物は無脊椎動物と比べると数が少ないですが、無脊椎動物にはない複雑な機能が備わっています。
脊椎動物の特徴と種類
脊椎動物には、主に以下のような特徴があります。
・背骨を中心とした骨格を持つ
・体が左右相称である
・中枢神経がある
・赤血球の中にヘモグロビンがある
・閉鎖血管系を持つ
閉鎖血管系とは、心臓から出た血液が血管の外に出ずに体内をめぐり、心臓まで戻る仕組みのこと。しっかりとした骨格を持ち、骨格に付く筋肉を使って素早く動けるといった特徴もあります。
無脊椎動物の分類の一例
ここからはいよいよ無脊椎動物についてです。無脊椎動物は、特徴によってさまざまな種類に分けられています。主な種類の特徴と、代表的な動物を紹介します。
軟体動物
無脊椎動物と聞いて、イカやタコ、貝などの軟体動物を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
軟体動物は体がグニャグニャと柔らかく、内臓が「外套膜(がいとうまく)」と呼ばれる膜で覆われているのが特徴です。
軟体動物にもいくつかの種類があり、イカやタコは頭足類、カタツムリやウミウシなどは腹足類、アサリやハマグリなどは二枚貝類と呼ばれます。
なお、イカの体には背骨があるように見えますが、これは軟骨で、魚類の背骨とは異なります。
節足動物
節足動物は、地球上の生物種の3/4以上を占めるといわれるほど、種類が多いことで知られています。未発見の種も多いと考えられており、今後さらに増える可能性もあります。
節足動物の主な共通点は、以下の通りです。
・外骨格で覆われている
・関節のある足を持つ
・体に節がある
節足動物の代表的な存在が、バッタやチョウ、カブトムシなどの昆虫類です。他にはエビやザリガニなどの甲殻類、ムカデのような多足類が含まれます。
▼関連記事はこちら
海綿動物
海綿動物は、単細胞生物から多細胞生物へと進化する過程の、初期の姿であると考えられています。主に海中に生息しており、水底の岩や貝、海藻などに固着して生活するのが特徴です。
海綿動物の体は内臓などの器官がどこにあるのかはっきりせず、筋肉や神経も見られません。表面の小さな穴から海水を吸収し、微生物や有機物をろ過することで栄養を摂取しています。
海綿動物は大きく石灰海綿類・六放(ろっぽう)海綿類・普通海綿類に分類されます。
六放海綿類とは、ガラスと同じケイ酸化合物でできた骨格を持つ生物です。ガラス繊維がブラシのように束ねられたホッスガイや、レース状に編まれたカイロウドウケツなどが知られています。
棘皮動物
棘皮(きょくひ)動物とは、ウニやヒトデ、ナマコなどに代表される生物です。それぞれ見た目は異なりますが、次のような共通点があります。
・基本的に「五放射相称」の体を持つ
・管足がある
・体内に骨片を持つ
・皮膚の硬さを変えられる
・海にしか生息していない
棘皮動物の体は、中心から等間隔に伸びる五つの線をベースに作られています。最も分かりやすいのが、星に似た形のヒトデです。
ウニは殻を割ると五つに分かれた身が現れ、ナマコもお尻側から見ると、五放射相称であることが分かります。
「管足」と呼ばれる海水で満たされた足で移動し、皮膚の硬さを変えて体を自在に曲げられるのも、棘皮動物の大きな特徴です。
扁形動物
扁形(へんけい)動物は、平らな体を持つ無脊椎動物を指します。海水・淡水・陸上に広く分布しており、世界に約1万3,000種いるといわれています。
扁形動物は主に自由生活をするものと、他の動物に寄生するものとに分けられます。自由生活をするタイプとしては、理科の授業でよく登場するプラナリアやコウガイビル、ヒラムシなどのウズムシ類が有名です。
寄生タイプは、条虫類(サナダムシ)と吸虫類(ジストマ)に大別されます。
多くの生き物が分類される無脊椎動物
地球上に存在する動物の多くは無脊椎動物です。無脊椎動物に対する理解を深めていくと生物への興味関心がどんどん広がるのではないでしょうか。
また、バラエティー豊かな無脊椎動物を見ていると、人間を含む脊椎動物は実はわき役に過ぎないことにも気づかされます。子どもと一緒に図鑑で調べたり、外に探しに行ったりして、できるだけたくさんの無脊椎動物に触れてみませんか。
あなたにはこちらもおすすめ!
文・構成/HugKum編集部