双子男子が東京医科歯科大と東大に合格!中学受験アドバイザー西和美さんの、ほんわか体験談

今や中学受験準備はどんどん低年齢化してきています。パパママもお子さんが小学校低学年のうちから受験を視野に入れているのでは?でも、肩に力が入りすぎてもうまくいきません。今回はご自身の経験を元に活動されている中学受験アドバイザーの西和美さんにインタビューしました。

西和美さんの双子中学受験から大学受験までをレポート!

今回ご紹介するのは、双子受験体験レポート。西さんの双子の息子さんは、それぞれ東京医科歯科大学医学部と東京大学文科一類に合格した実績をお持ちです。なのに、ごらんのとおりとってもほんわかした雰囲気。実はこの「ほんわか」が受験成功の秘訣かも!?さっそく体験談を聞いてきました。

*国立大学法人である東京医科歯科大学は、同じく国立大学法人東京工業大学と2024年をめどに統合し、東京科学大学という名称になる予定です。

二人目が半額になることも、塾を選ぶ決め手に

HugKum:お二人の中学受験を考えたきっかけは?

西さん:以下(西)うちの子たちが行っていた公立の小学校は、3分の1が中学受験をする環境だったんです。そんな中、小2の担任の先生に、「息子さんたちはクラスの学習ペースでは物足りなさそうなので、経済的に余裕があれば中学受験をして、お子さんたちの学力に合った中高一貫校に通ったらどうですか」というようなことを言われました。息子たちはたしかに、学校の学習では物足りないかもしれない。そこで小学校3年の2月から、日能研に通うことにしました。

 HugKum:なぜ日能研だったのですか?

西:うちの子たちはふたりとも、サッカースクールに通っていました。うちからそのチームがある近くの駅まで、サッカーのために週に何度も通っていたんですね。日能研は同じ駅にあったので親しみやすいし、ふたりで通うにも便利だなと思いました。実際、最初こそ私が送り迎えしていましたが、息子たちは5,6年になるとふたりで通うようになりました。

それと、当時の日能研は兄弟割引の制度があって、二人目が半額になるんですよ。これも日能研に通う決め手になりました。なにしろ、同時に2人分の塾代、受験代、入学金、授業料がかかってくるので、少しでも節約したいですよね。

 サッカーもあきらめず、中学受験の学習を続ける

HugKum:学習は順調に進みましたか?

西:はい、ふたりとも勉強はきらいではないですし、サッカーも勉強もやるんだ、と「二刀流」で6年生まで過ごしました。私は、勉強に関しては丸つけくらいはしましたけれど、学年が上がるごとに解く問題が難しくなるのでお手上げで、基本的には健康管理と食事づくりに集中していました。

特に受験間際は「あれしなさい、これしなさい」と言われるのはいやだろうと思いましたので、なるべく早く眠れるようにとか、生ものを食べさせないとか、健康面を中心にさりげない声かけなどを心がけました。

中学受験で受ける学校はどれも「行きたい学校」を選ぶべき!

HugKum:おふたりの結果に悲劇があったのですね。次男は第二志望の学校に合格。しかし長男は第三希望だけ合格という結果……。双子で同時受験だったからこそ、長男はつらい思いをされたのではないでしょうか。

西:私たちは、第一志望ばかり考えていたんです。第二希望、第三希望をあまりイメージできていなかったなと、受験を終えてみて気づきました。

塾に行き始めた頃は、こんな結果になるなんて、思ってもいませんでした。長男は受験間際で調子を落としましたが、おおむね次男より長男のほうが少し偏差値が高かったんですよ。受験したら、ふたりとも第一希望にだいたい受かるものだと思っていたんです。ちょっと知識不足でした。あとから調べてみたら、中学受験では、だいたい3割くらいしか第一志望に受からないのですね。

何が悪かったのかもわかりませんし、長男はつらかったと思います。一緒に長男と泣いていましたね。それしかできませんでしたから。

どの学校にも魅力がある。「どの学校に行ってもいいね!」という気持ちが大事

でも、自戒を込めて今後受験をされる方へアドバイスしますが、「第一希望に受かるとは限らない」、これはしっかりと受け止めなくてはいけません。だからこそ、受ける学校は全部、「ここに行く可能性がある!」と思っていなければ。そういう目で選び、子どもと「この学校はここがいいね!」とその魅力をしっかりと確認し、「どの学校に行ってもいいね!」という気持ちで受けるべきだったなぁと思いました。

 夫の前向きな言葉が不合格だった長男に響いた

HugKum:そのがっかりした気持ちを切り替えるきっかけになったのはなんでしたか?

西:夫がかけた前向きな言葉でした。「中学受験は終わりじゃないぞ!」と。夫は、うちの子たちなら東大に行けると思っていて、よく東大の赤門の前にふたりを連れて行って、「おまえたちが行く大学だからな!」なんて言っていたんです。

「ちゃんと実力があるんだから大丈夫だ。広いグラウンドで思い切りサッカーをやって中高時代を過ごすのもいいぞ」と。その言葉に押されるように、長男は入学後、サッカー部に所属して高3まで思い切りサッカーをやりました。次男の学校はグランドが少し狭かったので、次男は長男をうらやましがっていましたね。

 大学受験で長男は再び壁にぶつかる

HugKum:次男はストレートで東京医科歯科大学医学部に、そして長男は東大を不合格……。私立はいくつも受かっていたけれど、それらは蹴って浪人を決めたのですね。

西:はい。私も長男も、「まただ……」という思いでした。大学受験となると本当に親は何もすることができない、食事を作って健康管理をして、うまくいかなかったら一緒に泣くことくらいしかできませんでした。

でも、このときもまた、夫に救われました。当時は香港に単身赴任していたのですが、長男のために帰ってきて、「僕の周囲の大人たちも、一浪、二浪経験者がたくさんいる。大人になったら1年なんて短いものだ。気にしなくていい。本当に行きたい大学を目指せばいいんだよ」と。それだけ言い置いて、滞在時間数時間で帰って行きました。

夫の励ましどおりに長男は1年間猛勉強をし、目指す東大文科一類に合格しました。東大でもサッカー部に入り、弁護士になりたいという夢を抱え、現在は東大の法科大学院に行っています。

中学受験の時に続けていたことは 週に1回、計画を立てる、月に1回、目標を立てる

HugKum:中学受験や大学受験での結果だけにとらわれず、自分の力を信じて努力したからこその結果ですね。今、振り返ってみて、この結果を導いたポイントは何でしょうか。

西:私は本当にたいしたことはしていませんでした。夫の前向きさに助けられ、子どもたちのひたむきさに背中を押されたくらいで……。

あえて私が意識的にしたことを挙げれば、「小学生の頃から計画を習慣化していた」ことでしょうか。ふたりともサッカーを思い切りやりながらの受験だったので、時間が限られているんですよね。「何曜日にこれをやる」などあらかじめ計画し、計画どおりに進めていかないと、どんどん押せ押せになったり、下手すると、できなくなってしまう。

そこで、週ごとに予定を決めることにしました。「今週は大会があって練習も忙しいから、宿題はこの日にまとめてやって、復習はここで」というふうに卓上カレンダーを持ってきて書き込むんです。予定はあまりキツキツにしないで、「できる」と思えるくらいにしておくんですね。そして1カ月の大きな目標もつくる。これは100円ショップで買ったホワイトボードに自分たちで書いたり消したりしていました。

それが習慣化して、大学受験のときも「自分で計画を立てて勉強する」がうまくいったのだと思います。肩肘張らずに習慣化するって、けっこう大切なこと。子どもたちのその実践が、今につながっています。

西さんの双子中学受験から学ぶこと

西さんのお話から、親が大事にすべきエッセンスが見えてきました。

中学受験で気を付けたポイント

・通う塾は子どもたちが通いやすいところを選ぶ。

・長く通うから塾ごとの料金をしっかり比較。

・受験校は滑り止め校も含め、「どの学校に行ってもいい!」と思えるよう、それぞれ魅力を確認しておく。

・第一志望に合格できなかったときこそ、前向きに受け止め、未来に向かって歩めるよう切り替える.

・勉強だけにならず、趣味やスポーツも同時に楽しめる学生生活を送る。

・「医師になる」「弁護士になる」など大きな目標はブレずに持ち続ける。

実際にやって良かった予定の作り方、子どもとの距離感は

・週ごとの計画、月ごとの目標を子どもたちが自分で作って書き込んでいく

・勉強は本人や塾にできるだけ任せる。パパママは心身の健康をサポート。

お話を伺ったのは中学受験アドバイザー 西 和美(にし かずみ)さん

双子の母。長男・次男とも中学受験をし、別々の私立中高一貫校へ進学。その後、大学受験で国立大学へ(東京大学 / 東京医科歯科大学)。自身の経験から中学受験のサポートに悩むママたちの心に寄り添ったサービスを提供している。

https://kazumini.com

おわりに

ゆっくりとした口調で控えめに語る西さん。きっと模試の点数にガミガミ言うこともなく、子どもたちと一緒に困ったり泣いたり、やさしくなだめたり。その控えめなところも子どもたちが自主的に勉強に向かっていけるやわらかな後押しになったのでしょう。みなさんもお子さんの中学受験の参考にしてみてはいかがですか?

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文・構成/三輪 泉

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