小3算数は高学年の得意・苦手を決める分岐点!「割り算」の理解と「三角形の性質」がポイントに

いよいよ新年度も間近。子どもたちにとって楽しみな春休みですが、ここで教科を振り返っておくことがとても大切です。特に算数は積み上げ式の教科なので、1年間学んだことをしっかりおさえておかないと、次の学年でのつまずきの原因に!HugKumではアビット進学指導会学院長の橋本和彦先生に、学年ごとの苦手の克服法を伺いました。今回は算数好きになるかどうかの分岐点とも言われる3年生の学年末に振り返りたいポイントをお届けします。

3年生が高学年算数の得意・不得意を分ける重要な学年

3~4年生の算数の振り返りポイントを確認する前に、一つ大事なことをお伝えしたいと思います。それは「小学校の算数全体を見たとき、3年生が特に重要な学年である」ということ。その単元はずばり「割り算」です。「割り算? それは計算方法のひとつでしょ?」と思って、計算ができれば良しとしてしまうと、あとで思わぬやけどをしてしまいます。特に1~2年生で計算ができて、「算数とは計算をするものだ」「答を出すものだ」と思っていると、3年生からつまずくことも。小学校算数は3年生が分かれ目と言っていいくらい、重要な学年なのです。

5年生の難関「割合」は割り算からつながっている

なぜかというと、3~4年で学んだ割り算は、5年生の難関単元「割合」へとつながっていくからです。これまでしつこくお伝えしてきた「算数は知識をつなげながら学習する教科」の最たる単元が「割合」です。「割合」といえば「単位当たりの大きさ」「速さ」「濃度」も同じ流れにある単元ですが、ここに苦戦した思い出がある親世代も多いのではないでしょうか。子どもも同じです。5年生で割合を学んではじめてつまずくのではなく、3~4年からつまずきの種がまかれてしまうのです。

それでは苦手連鎖が起こらないよう、3年生の割り算からしっかり見ていきましょう。

同じ式なのに意味が違う⁉ 割り算の式の意味を正しく知っておこう

3年生算数の学びの中心は間違いなく「割り算」です。割り算というと「均等に分ける」イメージがあると思いますが、実は割り算には二つ種類の問題があります。まず下の問題を見てみましょう。

もう1問見てみましょう。

式と答えを見ると、二つとも24÷4=6になりますね。(A)の問題は「全体を均等に分ける」問題です。割り算は「いくつかに分ける」イメージがありますから、何の疑問もないと思います。

それでは(B)の問題は何でしょう。

割り算には二つの意味があることを意識することが大事

これは「全体の中にひとつあたりの数がいくつあるのかを考える」問題なのです。同じ式でも違う図になるし、問題の質が全然違います。同じ式なのに意味が違うと言われると混乱するかもしれませんが、割り算には「均等に分ける問題」「全体の中にひとつあたりの数がいくつあるのか」の二つの意味があることを覚えておいてほしいのです。

特に文章題を子どもが解いているときに「みんな同じ数に分けるんだね」とか「全体の中にひとつあたりの数がいくつあるかを考える問題なんだね」と意識づけてほしいのです。この声かけをすることで子どもの頭に「ひとつあたりの数」という言葉が刷り込まれたらしめたもの。5年生の割合関連の取り組みが大分変わるように思います。

 (B)の問題は5年の「割合」に直結した考え方の割り算

そもそもほとんどの子どもは割り算を「均等に分ける方法」と思っています。大人もそうかもしれません。でも、(B)のように「全体の中にひとつあたりの数がいくつあるのか」を考える割り算は、実はたくさんあります。それは教科書をつくった人が、やがて5年生で割合や速さを考えることがわかっているから意図的に入れているのです。

しかし親は子どもの頃に学んだ算数を忘れてしまっているし、子どもたちははじめて習う単元に対してなんとか正しい答えを出そうと必死になります。5年生への見通しを持つことは毎日の学習では難しいですよね。だから、学年の学びが全部が終わった今、近い未来の流れをふまえて振り返ることがとても大切なのです。

「ひとつあたりの数」という言葉を見てピンときた方もいるかと思いますが、割合で出てくる「1あたりの数」「もとになる数」は割り算の問題からスタートしているということぜひ知っておいてください。

3年生の三角形は図形全ての基本

3年生でもうひとつ確認しておきたいのが「三角形の性質」です。三つの辺と頂点を結んでできた図形のことを「三角形」といいますが、3年生からは辺の長さや角に注目して三角形の種類を学んでいきます。3年生で学ぶ三角形の性質は

●3つの辺が同じ長さ……「正三角形」

●2辺の長さが同じ……「等辺三角形」

●一つでも90度の角がある……「直角三角形」

●直角があり、2つの辺の長さが等しい……「直角二等辺三角形」

これらの性質はのちに面積を求めるときにフル稼働するものばかりです。上の性質を言ってどんな三角形かを答えるクイズにしたり、一緒に三角形を描いてみたりして子ども自身が三角形の特徴を口で言えるといいですね。

下の問題はできるかな? 親御さんも挑戦してみてください。

いかがでしたでしょうか。小学校算数の中で大事な分岐点となる3年生の算数。5~6年生になると、割り算の考え方を使っていよいよ「割合」「速さ」「比」などの難しい単元が増えてきます。割り算の問題が2種類あることを意識しながら文章題を解けるようになると、高学年での割合の敷居が下がるのでぜひ頑張ってください。

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記事監修

橋本和彦|アビット進学指導会 学院長
栄光ゼミナール春日部校(埼玉県)中学受験責任者・副教室長、同梅ヶ丘校(東京・世田谷区)教室長を歴任したのち、帰国子女指導のため松嘉塾フランクフルト校(ドイツ連邦共和国)代表就任。027月、私立中学・難関高校受験専門進学教室「アビット進学指導会」を開校。“1人ひとりの子どもをきちんと伸ばしてくれる” “確実に合格させてくれる” “「本当の実力」が身につけられると子どもたちやお父さんお母さんから絶大な信頼をよせられている。『中学受験で驚異の合格実績 算数は「図」で考えればグングン伸びる! 』(大和出版)、『子どもの学力がグングン伸びる「朝5分」勉強法』 (大和出版)、『英語は3本線ノートで覚えなさい』(中経出版)など著書多数。
取材・文/HugKum編集部

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