淡竹(はちく)とは
「淡竹」と書いて「はちく」と読みます。地下茎が浅いことからすぐに地面に顔を出し、折り曲げてスポッと抜けるように採ることができるんですよ。鎌で刈るように収穫するため、「淡竹刈り」とも呼ばれるそうです。
たけのこ一種、淡竹
竹は種類が多く、70種類ほどあるといわれる中、食用にされるものは、ほんの数種類ほど。その中でももっとも一般的な竹が孟宗竹(もうそうだけ)で、旬は3月から4月です。それに対して淡竹は、孟宗竹のピークが過ぎた5月中旬から6月上旬頃に最盛期を迎えます。
この頃の孟宗竹はというと、空を突くようにグングン伸びている時期。食用としての旬は過ぎています。
淡竹の特徴
淡竹の特徴は、孟宗竹もよりも細く、産毛がありません。赤みを帯びた薄い茶色の皮は表面がツルッとして、黒っぽい孟宗竹とは見分けがつきます。
一般市場に出回るものは比較的少なめなので、貴重です。掘り出したばかりならクセがなく、生食もできますよ。時間が経過するにつれえぐみが増し、アク抜きが必要になるのは、他の種類と同様です。
一般的に淡竹は甘みが少なく、それと同時に苦味、アクも少ない特徴があります。孟宗竹は米ぬかと一緒にゆでてアクを抜きますが、水だけでゆでてもアク抜きができるのが淡竹です。
淡竹の下ごしらえ
どうやって食べるのがおいしいのでしょうか。下ごしらえの手順を詳しくみていきます。
皮むき
皮は、一枚ずつ手でがはしてむくことができます。ここでは、包丁で縦に一本、切れ目を入れて一気にむく方法をご覧ください。
【1】皮付きの淡竹を用意し、根本の方から包丁の刃を刺して切れ目を入れます。
【2】穂先まで切り込みを入れてから、開くように皮をむきます。
アク抜き
皮をむいたら、ゆでてアクを抜きます。孟宗竹のように米ぬかを使う必要はありません。
【1】大きめの鍋に水を張り、淡竹を入れます。長い場合は、鍋に入る大きさにカットしてください。
【2】落し蓋などで覆い、たけのこが水の表面に浮かばないように押さえます。キッチンペーパーでもかまいませんが、加熱の際に燃えないように気をつけます。
【3】コンロの火をつけ、鍋が沸騰してきたら弱火にして、1時間ほど加熱します。
【4】時間が経ったら火を止め、そのまま冷めるまで放置してください。
【5】完全に冷ましてから、水を入れ替えて、さらに一晩さらします。
水だけでアク抜きをしましたが、成長しすぎたものや、青々をしているものは、念の為米ぬかを加えてゆでてください。
淡竹のレシピ
いよいよ、おいしいたけのこメニューに仕上げていきましょう。
自家製メンマ風炒めもの
本来のメンマは乳酸発酵を経て、手間のかかる本格的な調理が必要です。ここではゆでた淡竹を使い、爽やかなメンマ風の炒めものに仕上げます。サッと炒めるだけで、ご飯のお供や、ラーメンのトッピングにもおいしいですよ。
・材料
下処理をした淡竹 250g
ごま油 大さじ2
砂糖 大さじ1
【A】
中華スープの素 1個
オイスターソース 小さじ2
しょうゆ 小さじ2
酒 小さじ2
・作り方
【1】淡竹をカットします。柔らかい穂先と、根本部分を切り分けてください。穂先部分は、くし切りにします。
根元部分は輪切りにしてから細切りにします。孟宗竹の場合、繊維を断ち切るように薄くカットしますが、淡竹は細く柔らかいため、それほど細かく断ち切らなくてもよく、穂先同様にくし切りもできます。ただし、一定の厚さでカットすることで、火の通りが均一になります。
【2】フライパンにごま油を入れて熱してください。淡竹を加えてしっかりと炒めます。
【3】砂糖を加えて全体に馴染ませます。
【4】【A】の調味料を加え、水気を飛ばしながら煮詰めます。
・ポイント
淡竹が固い場合は、水150ccで煮た後に砂糖を加えると柔らかくなります。
お使いの中華スープの素により、塩加減が変化します。足りないと感じた場合は、塩(分量外)を足して調節してください。
輪切りにした鷹の爪を加えるとピリ辛に仕上がります。お子さんとご一緒の食卓の場合は、器に取り分けた後にラー油か、七味唐辛子をかけると大人向けになります。
炊き込みご飯
ふっくらしたお米の、たけのこご飯に仕上げていきます。炊き込みご飯を作る際の、水加減についても要チェック。
・材料
(6人分)
米 3合
水 調味料と合わせて560mlが目安
白だし 60cc
淡竹 1本
お揚げ 1/2枚
にんじん 30g
【トッピング】
木の芽 少々
・作り方
【1】お米を洗い、ざるに上げて30分程度おいておきます。
【2】その間、淡竹、お揚げ、にんじんを3cm程度の細切りにします。
【3】炊飯器に、洗ったお米、調味料、水の順に加えていきます。
炊き込みご飯を作る際の水加減は、液体調味料+水の合算が通常通りの水量になるようにすると間違いありません。
水を計り入れてから調味料を足すと水分過多となり、通常よりも柔らかく炊きあがることに。
水加減が整ったら、具材を入れます。この時、お米と具材を混ぜてはいけません。お米が対流せず、芯が残る原因となってしまいます。
【4】炊きあがったら、下からよく混ぜ合わせます。
【5】お茶碗に盛り付け、木の芽を飾っていただきます。
見かけた時はチャンス
孟宗竹のピークが終わってから市場に出回る淡竹は、シーズン最後のたけのこです。多くは流通しないので、見かけた時はチャンス。
アクが少なく、下ごしらえの手間がラクチンで、優しい味が特徴です。炒め物や、炊き込みご飯にして、たけのこのシーズンを最後まで味わってください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)