「おざなり」と「なおざり」。意味の違いは何?
「おざなり」と「なおざり」、すごくまぎらわしい語だと思いませんか。
何しろ、順序が違うだけで、どちらも「お」と「ざ」と「な」と「り」の同じ4文字で成り立っているのですから!まるでアナグラムです。でもこの2語は、まったく別の語なんです。
意味の違いはわかりますか?
「なげやり」と「ほったらかし」
結論から先に言います。意味の違いは、ちょっと乱暴かもしれませんが、
「おざなり」=なげやり
「なおざり」=ほったらかし
ということなんです。
共通しているのは「いい加減」という意味
この2つ語の意味がまぎらわしいのは、どちらも「いい加減」という意味が共通しているからです。
辞書を引いてみると、たとえば『日本国語大辞典』では、
「おざなり」:いいかげんに物事をすること。その場のがれで誠意のないさま。まにあわせ。
「なおざり」:深く心にとめないさま。本気でないさま。いいかげん。通りいっぺん。かりそめ。
と説明されています。
この説明からもおわかりのように、何かを行うとき、「おざなり」はその場のがれであまり真剣には取り組まないという意味なのに対して、「なおざり」はその物事にあまり注意を払わないという意味が強いのです。
「子どものしつけをおざなりにする」は、しつけをしているのか、していないのか
たとえば、「子どものしつけをおざなりにする」「子どものしつけをなおざりにする」は意味が異なります。
「しつけをおざなりにする」は、熱心ではないながらも、何らかのしつけはすることです。
「しつけをなおざりにする」は、ほったらかしにして、しつけをじゅうぶんにしないという意味になります。
ちなみに、漢字で書くと、どちらも当て字でしょうが、「おざなり」は「御座形」、「なおざり」は「等閑」と書きます。「等閑」は「とうかん」とも読み、「なおざり」とほとんど同じ意味の漢語です。
いずれにしましても、「おざなり」=なげやり、「なおざり」=ほったらかし、とおぼえておけば、ほとんど間違いはないでしょう。