【小児科医監修】幼児の咳がひどい・・・もしかしてぜんそくの発作かも?

 

Q:幼児の咳が止まらない、のどがゼイゼイと鳴ったりといった症状は、ぜんそくのせい? 子供のぜんそくについて教えてください。

止まらない咳、ゼイゼイする呼吸は ぜんそくの発作の特徴です

気管支ぜんそくとは、のどから肺へつながる空気の通り道(気管)が慢性的な炎症を起こし、呼吸が苦しくなる発作を繰り返す病気です。普段は元気ですが、発作が起こると激しくせき込んだり、呼吸をするときにゼイゼイ、ヒューヒューと音がしたりします。

咳がひどい幼児の喘息。原因は?

幼児のぜんそく、原因のほとんどはアレルギー

子どもの気管支ぜんそく(小児ぜんそく)は、アレルギーが原因であることがほとんど。アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)はハウスダストやダニ、カビなど、人によって異なります。また、急激な気温の変化や空気の乾燥、ストレスなど、アレルゲンを吸い込むこと以外の刺激が発作のきっかけとなる場合もあります。

幼児のアレルギー性の喘息は、いつ治るの?

小学校の中、高学年頃、自然に治ることが多い

多くの場合、子どもに見られるアレルギー性の病気は、成長に伴って症状が変化していきます。気管支ぜんそくは小学校の中~高学年頃から治まりはじめて自然に治ることも多く、すべてが大人の気管支ぜんそくに移行するわけではありません。 気管支ぜんそくを改善するためには、発作を防ぐことが第一です。発作を起こして気道の炎症が悪化すると、ちょっとした刺激にも敏感になるため、さらに発作を招くことになるからです。

幼児の咳、鼻水がひどいとき、家庭で気をつけることは?

ほこりやカビなど、アレルゲンとの接触を減らして

家庭で心がけたいのは、まず、アレルゲンとの接触を減らすこと。ホコリやカビがアレルゲンである場合は、室内の掃除や換気、布団の手入れなどをこまめに行いましょう。

また、気温が数時間のうちに3℃以上下がったときや、前日から3℃以上下がった日には、発作が起こりやすいことがわかっています。夏から秋への季節の変わり目には、気候の変化に合わせて室温の調節や服装に気を配ることも必要です。冷たく乾燥した空気も気道に刺激を与えるので、室内では加湿機を使う、外出時にはマスクをつける、なども予防策として効果が期待できます。

 

ひどい咳の原因が気管支ぜんそくの場合、どんな治療をするの?

まずは小児科を受診、吸入薬や飲み薬を

気管支ぜんそくが疑われる場合は小児科で受診し、症状に応じて治療を受けましょう。

治療にはおもに、気管の炎症を抑える吸入薬や、アレルギー反応を抑える飲み薬などが使われます。吸入薬にはステロイドが含まれていますが、吸入するタイプの薬は、塗り薬と同様に、薬がついた部分(気管)だけに作用します。飲み薬のように全身に影響を及ぼすことはないので、副作用を過剰に心配する必要はありません。医師の指示に従って、正しく薬を使うことが大切です。

子供が気管支ぜんそくの発作を起こしたらどうする?

発作を起こしたときは慌てず対応。不安な時は救急車を!

気管支ぜんそくの治療の目的のひとつが、健康な子とかわらない生活を送れるようにすること。症状をコントロールすることができていれば、運動も制限されることはないので、友だちとも思いきり遊ぶことができるはずです。

発作を起こしたときは、上体を起こして抱くなど、楽な姿勢をとらせます。呼吸がしにくそうだったり、ゼイゼイという音が激しかったりする場合は自宅で対処しようとせず、すぐに病院へ。気管支ぜんそくの重度の発作は、命にかかわることもあります。小さな子どもは体調を的確に伝えることができないので、不安を感じたときは救急車を呼んで構いません。

 

記事監修

金井正樹|小児科医

東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。

イラスト/小泉直子 出典:『めばえ』2017年9月号 再構成/HugKum編集部

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