4歳、2歳の子どもをもつ33歳です。結婚当初から「子どもは3人欲しいね」と夫と話し、あと1人と考えています。ただ、子ども3人となると、それぞれ十分にお金をかけてあげられないのではないか、特に教育費の負担が気になり悩んでいます。産むなら年が離れないほうがいいだろうし、高齢出産も気になります。こんな気持ちのままなら、3人目の子どもはつくらないほうがいいでしょうか。
子どもにとっての幸せは、お金ではなく、手をかけ、目をかけることだと思います
物価は値上がり続きでも、お給料はなかなか上がらないご時世です。将来のことを考えると「子どもも2人ならなんとかなるけれど、3人になったら心配」という気持ちは確かにわかります。
子ども1人育てるのに1000万円かかるとか、かからないとか、そんな話もあちこちから聞こえてきますしね。
だからといって、お金をかけていい子に育った、幸せになりました、という話ばかりとは限りません。「お金がある」のは幸せそうに見えることは事実。しかし、親子関係や子どもの内面が豊かかどうかはわかりません。
お金をたっぷりかけて塾に通わせた子が、一流大学に行き、無事に一流会社に就職しても、その後、子ども自身が自立して自分の人生を歩んでいけるかどうかは別問題。就活に、婚活に親が登場なんて、危なっかしい人が多くなってません? お金をかけなくても、生きるたくましさを身につける子だってたくさんいます。
だいたい親はお金をかけると、必ず見返りが欲しいもの。お稽古事だって月謝を払っているんだから、上達しないと許せない。塾に入れてお金をかけたぶん、成績が上がらないと不満になる。それが子どもの負担になっていることは多いのです。お金をかけることが子どもに愛情をかけていることだなんて、子どもは思っていません。
お金をかけてもかけなくても、結局子ども自身のやる気や主体性が問題。子どもの人生子どもが主役ですから
「りんごの木」に6人きょうだいの子がいます。お金との兼ね合いで親は悩んだようですが、それこそ家の中が小さな社会。子どもが子どもを育て、ちゃんと自分の道を探して育っています。奨学金をもらってバイトして留学し、一流企業に勤めて夢を達成した子もいます。趣味が高じて大学進学せずに、プロのダンスの道に進んだ子もいます。つまり、こんな時代だってやる気があれば可能性はいっぱい。
自分を大事にし、自分と向き合い、自分で人生を積んでいく子どもに育ってほしいと思いませんか?
保護が必要な年齢には、食べることにはなるべく不安を感じさせたくありません。あとは、手をかけ、目をかけ、自分を大切に思ってくれる家族がいることで、子ども自身が育まれていくものなのだと思います。子どもはそんなシンプルなものを望んでいるのです。
相談者のママはどうして3人と思ったのでしょう? なんとなく子どもたちがわしゃわしゃいて、楽しそうだからでしょうか?
「もう1人子どもが産みたい」「3人欲しい、3人いたら楽しそう」という、気持ちを大事にしてみてはどうでしょう。家族という塊が社会の原点です。ホッとできる温かなわが家になさってください。
記事監修
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
イラスト/海谷泰水