「ナウル」はどんな国? 世界で3番目に小さな国の事情、日本との歴史関係についても解説【HugKum世界紀行】

ナウルは太平洋に浮かぶ小さな国です。東京の品川区と同じくらいの面積の小さな島で、世界最小の国であるバチカン、2位のモナコに次いで、世界で3番目の小ささです。約12,000人が暮しているナウルは、いったいどんな国でしょうか? 場所や首都のほか、治安情報、観光などの特徴をご紹介します。

ナウルってどんな国?

太平洋には、数多くの島が浮かんでいます。そのひとつがナウルです。第二次世界大戦中には日本に占領され、その後オーストラリアなどの信託統治を経て1968年に独立した歴史があります。美しいビーチを有して観光にも力を入れているナウルの魅力に迫りましょう。

ナウルの基本情報

まずはナウルがどこにあるのか、ナウルの場所や首都、面積、人口、民族などの基本情報から見てみましょう。

国名

ナウル共和国

首都

ヤレン

場所

ナウルの場所
ナウルの場所

ナウルがあるのは、太平洋。オーストラリアの北東に位置します。

日本との時差

3時間

ナウルのほうが日本より3時間進んでいます。

面積

21.1㎢

東京都品川区の面積が約22.8㎢ですから、ナウルの面積は品川区とほぼ同じです。東京の山手線の内部にすっぽり入るほどの小ささです。

ナウルの地図[U.S. Central Intelligence Agency(PD)]

エリア

ナウルには14の地区があり、首都ヤレンがあるのはヤレン地区です。

人口

12,511人

東京都品川区の人口が約42万人ですから、ナウルの人口は品川区の人口のわずか約3%です。

言語・公用語

英語(公用語)の他、ナウル語を使用

ナウル国際空港 Photo by Cedric Favero, CC 表示-継承 2.0, Wikimedia Commons

通貨

オーストラリアドル
1 オーストラリアドル=96.23円(2025年8月11日現在)

ナウル国内にある両替所では、日本を含め他国の通貨の両替ができません。さらにクレジットカードやデビットカードも使用できないため、もしナウルを訪れるのならオーストラリアドルの現金を十分用意しましょう。

宗教

主にキリスト教

歴史

ナウルが初めて発見されたのは、1798年のことです。イギリスの捕鯨船が偶然ナウルを見つけ、船長のジョン・ファーンは「プレザント島」と名付けました。1888年になるとドイツが兵士を送り込み、ドイツ領となりました。

しかし第一次世界大戦でドイツが敗れると、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの3国が国際連盟の委任統治領としました。その後、第二次世界大戦中に日本軍がナウルを占領しましたが、終戦後の1947年にはイギリス、オーストラリア、ニュージーランドの3国が国連信託統治地域とし、1968年に独立を果たしました。

アメリカ陸軍航空軍の爆撃を受けるナウルの日本軍飛行場 Photo by Philip A. Crowl and Edmund G. Love, Wikimedia Commons

国旗

ナウルの国旗は、青色の中央部分に黄色のラインが通り、その下には白い星が輝いているデザインです。青は太平洋を、黄色のラインは赤道を表しています。白の星は国を構成している12の部族を表し、その団結を表現しています。

ナウルの国旗
ナウルの国旗

天気・気候

ナウルは赤道直下にあり、海洋性熱帯気候に属しています。気候の変化はあまりありませんが、大きく季節を分けると、12月から4月頃の乾季と、6月から10月頃の雨季があります。1年を通して厳しい陽射しが降り注ぎます。

ナウルの治安・住みやすさ

ナウルの治安や住みやすさはどうなのでしょうか。現地の情報についてチェックしてみましょう。

治安は良好

ナウルは比較的安全な国のひとつで、悪質な犯罪の発生率は低く、外務省の「海外安全ホームページ」で特に危険情報は発令されていません。もともとナウルを訪れる日本人旅行者が少ないこともあり、日本人が被害に遭う事例は報告されていません(2023年12月時点の情報)。

ナウルの国会議事堂 Wikimedia Commons(PD)

しかし注意しておきたいのは、ナウルでは警察の人員が不足していて、万が一事件などが発生しても、警察の派遣といった対応がすぐに行われないこと。そのため、観光客としてこの国を訪れる際には、夜間の外出は避け、ホテルでも貴重品の管理をしっかり行うといった注意が必要です。

またナウルには日本の大使館がないため、もし事件や事故に遭ったときは、必要に応じて在フィジー日本国大使館に連絡することになります。

住みやすさは疑問

小さな島国であるナウルでは、食料や生活必需品といった多くのものを輸入に頼っているのが現状です。また燃料不足や水不足、計画停電や断水が起きることもあります。美しい島国で、陽気な人々とともに暮らすのは理想的と感じられるかもしれませんが、現実的に考えるとナウルは暮らしやすい国とはいえないかもしれません。

ナウルの見どころ・観光

アニバレ湾

美しいビーチに囲まれたナウルですが、そのなかでも海水浴におすすめなのがアニバレ湾。白い砂浜とコバルトブルーの海があり、ナウルの中でも絶景スポットのひとつです。

アニバレ湾 Photo by Zaher from Melbourne, CC BY 2.0, Wikimedia Commons

バイク・サイクルで島一周

ナウルでおすすめなのは、レンタルバイクやレンタサイクルを利用した島一周。小さな島ですから、半日から1日で島をぐるりとまわることができ、島の風を感じながら魅力を体感できます。ちなみにナウルの運転は日本と同じ左側走行で、交差点や信号機もほとんどありません。

ナウルでおすすめなのは、レンタルバイクやレンタサイクルを利用した島一周。小さな島ですから、半日から1日で島をぐるりとまわることができ、島の風を感じながら魅力を体感できます。ちなみにナウルの運転は日本と同じ左側走行で、交差点や信号機もほとんどありません。

ただし、レンタカーやレンタルバイクなどの数は、十分ではありませんのでご注意ください。

ナウルの特徴・有名なもの

ナウルといえば、どんな特徴があるのでしょうか?

世界で3番目に小さな国

ナウルの特徴は、その面積の小ささです。面積の小さな世界の国を見てみると、1位がバチカン、2位がモナコ、3位がナウルです。

1位のバチカンの面積は04平方キロメートルで、東京ドーム約10個分しかありません。2位のモナコは2平方キロメートルで、バチカンの約4倍にあたります。そして3位のナウルは、東京都品川区と同じくらいの面積。ナウルの島は1周が17㎞ほどで、4〜5時間もあれば一周できます。

リン鉱石の輸出

ナウルはリン鉱石が採掘できたことでもよく知られています。リン鉱石とはリンの含有率が高い鉱石のことで、肥料をはじめ工業材料に使われます。ナウルではそんなリン鉱石の採掘が行われ、その輸出によって栄えてきました。

ナウルの鉱石採掘クレーン

しかしリン鉱石の資源が枯渇し、ナウルの経済状況は悪化してしまいました。20年ほど前からは再びリン鉱石の採掘がはじまりましたが、ナウルでは経済を支える大きな産業もなく、依然として厳しい経済状況にあるといわれています。近年では世界的な石油価格上昇の影響により、現地での物価も上がっています。

人口よりもフォロワー数が多い! 政府観光局Xが話題

ナウルといえば、日本語の政府観光局のXも有名。ナウルについて知ってほしいと、ナウル共和国政府観光局日本事務所が期間限定でXのアカウントを作り投稿を行ってきました。

現地の美しい写真とともに、ナウルの基礎知識などを紹介したこのアカウントは、多くの日本人から支持を受けて48万人以上のフォロワーがいます。現在でもポストを見るとナウルの魅力を知ることができます。

世界で3番目に小さな国ナウル

世界にはロシアやアメリカのように国土の大きな国がある一方で、日本の市町村レベルの大きさしかない国もあります。ナウルはそんな国のひとつで、品川区とほぼ同じ大きさしかありません。

日本人にはあまりなじみがない国かもしれませんが、かつて日本軍が占領したこともあり、決して縁のない場所ではありません。簡単に訪れられる国ではありませんが、ナウルという国の存在を知ることで世界がさらに広がることでしょう。

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文・構成/HugKum編集部

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