Bonjour! ごはんで世界旅行、今回はフランス・プロヴァンス地方の家庭料理です
フランスでは、パリオリンピックが開催され(2024年7月26日〜8月11日)、世界中から多くのアスリートや観光客たちが集まります。そんなフランスは、美食大国として知られ、フランス料理は世界三大料理の一つにも数えられています。
「フランス料理」と聞くと、なんとなく「おしゃれしてレストランで食べるもの」と、ちょっと堅いイメージを思っている方も多いのでは? しかし、フランス料理には、日本でも馴染みのある料理、普段からよく食べられているようなものも、たくさんあります。
本記事では、家庭でも作りやすい、フランス・プロバンス地方の夏野菜をたっぷり使った家庭料理について紹介していきたいと思います。
まずはプロバンス地方とは、どんなところなのか見ていきましょう。
目次
プロバンス地方とはどんなところ?
プロバンス地方とは、フランスの南東部に位置する地域のことをいい、正式名は「プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏」といいます。
プロヴァンス地方を代表する街には、マルセイユ・アビニョン・エクサンプロヴァンスなどがあげられ、東はイタリア、南は地中海に面していて、年間を通して雨量が少なく、温暖な気候が特徴です。
その素晴らしい気候や、一面に広がるラベンダー畑やぶどう畑、オリーブ畑などの美しい景色、歴史的な街並み、そして美味しい料理が楽しめます。そのため夏のバカンスを過ごすリゾート地や、人気の観光地として人気の地域なんです。
プロバンス地方の家庭料理の特徴は?
プロヴァンス地方の郷土料理には、オリーブオイルやニンニク、ハーブがよく使われます。この地域は、地中海性気候で日差しがたっぷりと注ぐため、トマトやなす、ズッキーニ、ピーマン、パプリカなどといった野菜の栽培に適しています。それらの野菜を使って、味付けは塩とコショウだけ、というシンプルな料理が多いようです。
また、地中海で獲れた新鮮なシーフードを使った料理も有名で、魚をすりつぶして作るマルセイユの発祥のスープ、ブイヤベースは世界的に有名ですよね。
プロヴァンス地方を代表する郷土料理「ラタトゥイユ」
「ラタトゥイユ」は、なすやパプリカ、ズッキーニなどの夏野菜を炒め、トマトやハーブで煮込んだ、プロヴァンス地方を代表する郷土料理です。温めても冷やしても美味しく、パスタやパンとの相性も抜群。日本でも夏野菜が出回る頃に食べたくなる、お馴染みの料理ではないでしょうか。
「ラタトゥイユ」は「臭い飯」⁉︎
「ラタトゥイユ」は、フランス語で「ratatouille」、略して「rata」とも呼ばれます。この「rata」は、軍隊用語で「ごった煮」という意味、「touille」は「かき混ぜる」という意味です。
もとは軍隊や刑務所で食べられていたことから由来するといわれていて、日本語では「臭い飯」が近い表現になるのではないでしょうか。
ラタトゥイユを作ってみよう
現地では、ラタトゥイユを作る際、トマトソースから作られ、また材料の野菜は一緒に炒めずに、1種類ごとに炒め、最後に一緒にしてトマトソースで煮るという作り方が一般的です。
しかし、本記事では時間がない時でも、簡単で美味しく作れる、トマトの水煮缶を使い、野菜は全部一緒に炒めるレシピを紹介していきます。
材料
・たまねぎ… 1個
・パプリカ… 1個
・なす… 2本
・ズッキーニ… 1本
・トマト缶… 1缶
・オリーブオイル… 適量
・にんにく… 1~2片
・ローリエ… 1~2枚
・塩… 適量
・ブラックペッパー… 少々
・ワインビネガー(お酢でもOK)… 小さじ1~2
作り方
1.にんにくはみじん切り、野菜類はお好みの大きさの角切りにしておきます。
2.鍋にオリーブオイルを入れ、にんにくを入れて香りが立つまで加熱します。
3.2にトマト缶を入れ、一煮立ちさせます。
4.別の鍋に、オリーブオイルを入れ、まず、たまねぎを入れ、塩をふって炒めます。
5.4の鍋に、なす、塩を入れ、オリーブオイルを馴染ませながら炒めます。
6.次はズッキーニ、最後にパプリカの順で、同じように鍋に入れて炒めます。
7.ある程度、野菜に火が通ったら、3のトマトソースを野菜の鍋に入れ、ローリエを入れて煮込みます。
8.最後にワインビネガー、塩、ブラックペッパーを入れ、混ぜたら完成です。
【おすすめの食べ方】
温めても冷やしても美味しいラタトゥイユは、パスタやリゾットの具、バケットなどにのせて食べるととても美味しいです。また冷蔵庫で3日間は日持ちするので、作り置きおかずにもピッタリです。
▼ほかにもアレンジいろいろ
トマトのファルシ
「トマト・ファルシ」とは、トマトの中身をくり抜き、そこにミンチなどハンバーグ状のものを入れて、オーブンで焼いたもの。いわゆる「トマトの肉詰め」です。
日本では、ピーマンの肉詰めなどが一般的ですが、プロヴァンス地方では、トマトを丸ごと使ったトマト・ファルシが有名です。トマトの形のまま焼き上がり、その可愛らしい見た目はおもてなし料理としてもぴったり。またトマトに限らず、パプリカやズッキーニなどにアレンジしても作ることができます。
材料
・トマト… 4個
・牛豚合い挽きミンチ… 150g
・たまねぎ… 1/2個
・にんにく… 1片
・イタリアンパセリ(なくてもOK)… 適量
・パン粉… 大さじ2
・牛乳… 大さじ2
・卵… 1個
・塩コショウ… 少々
・ナツメグ… 少々
・オリーブオイル… 大さじ1
作り方
1.トマトの中をくり抜く
・トマトは洗って、中身をくり抜きます(ヘタの部分は捨てないでください)。
・1のトマトの中に軽く塩をふって、出てきた水気を拭き取ります。
2.肉ダネを作る
・たまねぎと、にんにくをみじん切りにし、オリーブオイルを入れたフライパンで炒め、冷まします。
・イタリアンパセリを細かくカットしておきます。
・ボウルに、合い挽きミンチ、パン粉、牛乳、卵、加熱したたまねぎ、イタリアンパセリ、塩コショウ、ナツメグを入れ、よく混ぜます。
3.トマトに詰める
・2で作った肉ダネを、くり抜いたトマトの中に詰めていきます。
・詰めたらヘタの部分をのせます。
4.オーブンで焼く
・耐熱容器に3を入れ、上からオリーブオイルをまわしかけ、180度のオーブンで45分~1時間加熱して完成です。
【くり抜いたトマトの使い道は?】
トマト・ファルシには、お米がよく合います。そこで、くり抜いたトマトの中身を使ってリゾットを作って一緒に食べるのがおすすめです。また、サラダに入れたり、ミキサーに入れてジュースやドレッシングを作ることもできます。
夏野菜でプロヴァンス地方の家庭料理を作ろう
夏野菜を美味しく食べるプロヴァンス地方の家庭料理を紹介してきました。トマトやパプリカ、ズッキーニなど、夏野菜の鮮やかな色は、見ているだけで元気がもらえますよね。
本記事で紹介した、ラタトゥイユとトマト・ファルシは、日本でも揃えやすい材料で、比較的簡単に作れます。この夏、たっぷりの夏野菜を使ったプロヴァンス料理を作って、旅した気分になってみてはいかがでしょうか。
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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)