「サイエンススイーツ」はキッチンで完結!家族みんなで楽しめる
私たちが何気なく過ごしているキッチンには、子どもたちの「なんで?」「どうして?」という身近な不思議が溢れています。子どもたちの興味や疑問を一緒に考えるとき、サイエンスのフィルターを通すと楽しく答えが導きやすくなります。
実は、キッチンという場所には、不思議で面白い食材がたくさん。これらを効果的に使うことで、日頃のレシピが成り立っています。子どもたちが、普段生活の中にある不思議に気がつく力も、キッチンから育むことができます。身の回りの不思議に気がつけば、物事の見方が変わります。
この些細なことへの好奇心や疑問、興味が、子どもたちの自由研究のベースになります。そして、キッチンという場所こそ、お母さんもお父さんも主役になれるところ。親子で一緒になって楽しんでくださいね。
加熱することでどんどん変化する「砂糖の七変化」
砂糖水は加熱温度によって、シロップ状、アメ状、カラメル…とその状態さまざまに変え、一定温度を超えると冷やしても元に戻らなくなります。これが、まさに「砂糖の七変化」。これは、砂糖の分子のつながり方や組み合わせが加熱によって変化するためです。
「砂糖」を水と一緒に火にかけると、温度によってどんどん変化していきます。
100度で液体の「シロップ」に
まず100度では、透明の液体の「シロップ」になります。
110度で「フォンダン」に
110度で白く結晶化したシャリシャリの「フォンダン」に(あわがブクブク大きくなる)
140度で「タフィー」に
140度であめがけに使う「タフィー」に(あわにツヤが出てくる)
165度で「べっこう飴」に
165度で理科の実験でも登場する「べっこう飴」に(全体が黄金色になる)
170度で「カラメルソース」に
170度でプリンでお馴染みの褐色化した「カラメルソース」に(少しサラサラしてくる)
190度で「カラメル」に
190度で醤油などに使われる着色料「カラメル」に(黒に近づいてくる)
このように、温度によって、砂糖の状態は変化します。白いお砂糖がどんどん変化していく。それだけで、不思議ですよね!塩水を加熱しても、お味噌を加熱してもここまで変わらないのに、お砂糖は色も質感も味もどんどん変化していきます。
「砂糖の七変化」レシピを探求
この「砂糖の七変化」という特性を活かして、私たちの暮らしにはさまざまなレシピが展開されています。それらを調べてみるのも、自由研究として面白いかもしれませんね。
ここでは、4つのレシピをご紹介します。それぞれの砂糖でどんな表情のお菓子が楽しめるのか、ぜひお楽しみください。
*砂糖水を使ったレシピでは、途中で「かき混ぜないこと」!砂糖水を加熱しながらかき混ぜると、砂糖が途中で結晶化してザラザラになってしまうよ。鍋を回して水分を行き渡らせるようにしましょう。
「砂糖の七変化」:100度の「しっとり、フルーツのシロップ漬け」
<材料>
水 200ml
グラニュー糖 200g
オレンジ 1個
<作り方>
1. オレンジを3mm厚さにスライスする
2. 鍋にグラニュー糖と水を入れて中火にかけ、グラニュー糖が溶けたら1を入れる。弱火で40分煮る
3. オーブン用シートに取り出して並べ粗熱をとる
「砂糖の七変化」:110度の「シャリシャリ食感、琥珀糖」
<材料>
水 200ml
グラニュー糖 300g
粉寒天 4g
着色料(赤) ごく少量
<作り方>
1. 鍋に水と粉寒天を入れて中火で火にかける。沸騰後、さらに約1分加熱し寒天を煮溶かす。
2. 1にグラニュー糖を加える。ゴムベラで混ぜ溶かし、火を止める。着色料で着色する。
3. 水に潜らせたバットに2を流し、冷蔵庫で20分冷やし固める。
4. 3を取り出してお好みにカットし、オーブン用シートに並べ3日ほど室温で乾燥させる。
「砂糖の七変化」:140度の「キラキラ、フルーツ飴」
<材料>
水 80ml
グラニュー糖 200g
フルーツ 適量
<作り方>
1. 鍋にグラニュー糖と水を入れて中火にかける。
2. 1が140度になったら、フルーツをくぐらせてオーブン用シートに並べる。
「砂糖の七変化」:165度の「昔ながらの、黄金べっこう飴」
<材料>
グラニュー糖 60g
水 45ml
<作り方>
1. 鍋にグラニュー糖と水を入れて中火にかける。
2. 1が約165度、うっすらときつね色になったら火を止める。
3. シリコン型に2を流し、室温で粗熱をとり固める。
五感を使って、砂糖のおもしろさを探究してみよう
サイエンススイーツで砂糖の七変化!いかがでしたか。キッチンにある代表的な食材「砂糖」ひとつとっても、とても不思議な世界があります。
今年の夏、お子さんと一緒に砂糖の世界を探求してみてはいかがでしょう。自由研究レポートには、「研究テーマ」や「テーマを選んだ理由」「調べたこと」「分かったこと」「感想」「味や見た目、食感、色、形など五感で感じたこと」を書いてまとめてみましょう。特にサイエンススイーツでは、食べた時の味わい、香り、食感といった五感に耳を澄ますことが、そのお子さんの個性にもつながる醍醐味です。
記事執筆
- ケーキデザイナー、芸術教育士。フランスと日本で製菓を、京都芸術大学大学院で芸術を学ぶ。子どもとママのための製菓クラスやワークショップ「My little days」を主宰。子どもたちの興味や感性に寄り添う独自の世界観から提案している。かたわら、ウェディングやパーティ用のお菓子制作、雑誌やテレビ、Webなどで幅広く活躍。著書に「メレンゲのお菓子 パプロバ」(立東舎)「不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ」(マイルスタッフ)「太田さちかのサイエンススイーツ 魔法のおやつをめしあがれ」(文化出版局)などがある。