「転塾」を考えるとき、塾そのものに問題があるのか再考を
――塾が合わない、塾の宿題が多すぎて消化できずやる気をなくしている、など、塾と子どもとの関係がうまくいかないとき、「転塾」が頭をよぎります。でも、転塾はとても大きな問題で、していいものか悩みます。
転塾は気が引ける、できればしたくないと思うかもしれません。でもお子さんがどうにも苦しそうなら考えてあげましょう。ただし、その苦しさは塾を変えれば解消されるのでしょうか。「塾が合わないからうまくいかない」のかどうか、そこはきちんと見極める必要があります。
勉強そのもの、中学受験そのものがイヤだと思っているのなら、塾を変えても改善されないですし、勉強がきらいで宿題をやらないのなら塾を変えてもうまくいきません。一度親子で立ち止まり、モチベーションが下がっているのはなぜだろうと、話し合ってみましょう。
もっとゆるやかな塾とか、逆にきめ細かく寄り添ってくれる塾のほうが合うということで、小さめの塾に移ってうまくいくケースもありますよ。
大手塾、中堅塾、個人塾の特徴を理解しよう
大手の塾と中堅塾、個人塾の特徴などをまとめてみたので参考にしてください。一般論ではありますが、このように3つのタイプに分けて考えるといいでしょう。
大手の塾はカリキュラムがしっかりしていて、受験のデータも豊富です。でも、どうしても成績上位の子たちの成功談が目立ってしまい、少し劣等感を持つ子もいるかもしれません。
人数が多いため、成績を軸にしたクラスがいくつもあり、マンスリーテストなどの評価でクラスが上がったり下がったりするのも、「やる気が出る」と思う子もいる反面、「あれがつらい」と思う子もいるでしょう。親御さんもクラスの上下に過敏に反応しすぎると、お子さんに影響があります。
逆に、こぢんまりとした塾ですと、先生の特徴がそのまま塾の特徴になっているケースが多く、そこに合わないとつらい、ということもあるでしょう。
とはいえ、細かい点ではいろいろと塾固有の課題があるもの。どんなふうに合わないのか、どんな塾なら合いそうか。お子さんと静かに穏やかに話して、本人が「転塾もいいかも」と思うのなら考えてみるといいでしょう。
「転塾」するなら5年生の2月までを目安に
――転塾のタイミングはいつ頃がいいのでしょうか。
一般論で言えば5年生の2月くらいまで、つまり受験まであと1年、というところまでで転塾するといいですね。でも、6年生になってから「やっぱり違う塾にしたい」と本人が言って転塾し、上手くいく場合もありますし、ケースバイケースです。いずれにしても前の塾と新しい塾のカリキュラムのずれがあると困るので、できるだけずれないような選択をしたいです。新しいほうの塾としっかり話し合ってください。
また、塾を変えてすぐに成績が好転すると考えないでください。新しい塾に慣れて調子が出てくるまでに時間がかかることも多いです。焦る気持ちがあるのはわかりますが、長い目で見守りましょう。6年生の受験期に十分に力を発揮できればいいのです。最後でグッと伸びることもありますし、お子さんを信じて寄り添ってください。