「アルプスの少女ハイジ」「火垂るの墓」を生んだ高畑勲展が開催中！日本のアニメーションに遺したものとは？

「太陽の王子 ホルスの大冒険」（1968年）、「アルプスの少女ハイジ」（1974年）、「赤毛のアン」（1979年）、「じゃりン子チエ」（1981年）、「セロ弾きのゴーシュ」（1982年）、「火垂るの墓」（1988年）、「かぐや姫の物語」（2013年）などのアニメーションをご覧になって育ったパパ・ママも多いのではないでしょうか？

これらの作品の創出の源となった高畑氏。実は、絵を描かないアニメーション監督なのです。どうやってアニメーションを作ったのかに迫る本展では、高畑勲氏の他のクリエイターたちとの交流や、共同制作の過程が展示されているので、令和時代の親子にとっても大きなヒントを与えるのではないでしょうか？

監督・高畑勲氏のあくなきテーマの探究

高畑氏のあくなきテーマの探究も見逃せません。

①初の長編演出（監督）となった「太陽の王子 ホルスの大冒険」（1968年）で、悪魔と闘う人々の団結という困難な主題に挑戦。

②「アルプスの少女ハイジ」（1974年）、「赤毛のアン」（1979年）などのTV名作シリーズで、日常生活を丹念に描き出す手法を通して、冒険ファンタジーとは異なる豊かな人間ドラマの形を完成。

③80年代より舞台を日本に移して、「じゃりン子チエ」（1981年）、「セロ弾きのゴーシュ」（1982年）、「火垂るの墓」（1988年）など、日本の風土や庶民生活のリアリティーを表現するとともに、日本人の戦中・戦後の歴史を再考するようなスケールの大きな作品を制作。遺作となった「かぐや姫の物語」（2013年）ではデジタル技術を駆使して手描きの線を生かした水彩画風の描法に挑み、従来のセル様式とは一線を画した表現上の革新を達成。