家のあらゆる場所をDIYするスウェーデン人の夫
夫の趣味のひとつはDIYです。今住んでいるのは、築45年ほどの純和風の中古物件。引っ越してからは、畳の床をフローリングに張り替えたり、ペンキを塗ったりと、ありとあらゆる場所を夫が直してきました。
この家に住んで5年ほどになりますが、夫が作業着でDIYする姿は、今では我が家のあたりまえの風景になっています。すこしまえ、子どもが目覚まし時計を指差しながら、「これもパパがつくったんでしょ?」と聞いてきて、思わず笑ってしまいました。家の中にあるものは、なんでもパパが作ったと思っているようです。
仕事の合間や休日になると、木材に囲まれながら楽しそうに作業している夫。そんな姿を見ていると、やっぱり北欧の人だなぁと思います。
北欧ではDIYが日常のなかに、あたりまえにある
北欧の人たちはDIYが生活のなかにあたりまえに根付いています。DIYと聞くと椅子や棚をつくる様子が浮かぶかもしれません。でも、北欧のひとたちのイメージするDIYはちょっと違います。壁を壊して間取りを変えてしまったり、キッチンを一からつくってしまったり。そんなところまで自分でするの?と、初めて知ったときはおどろきました。
これには北欧の住宅事情も大きく関係しています。
家を買うとなると、築50年から100年くらいの中古物件がほとんど。新築を買うという話はあまり聞いたことがありません。古い物件を購入し、自分の手で少しずつ家を心地よくしていくことが、北欧の人たちにとっては家を買ういちばんの楽しみなのです。
スウェーデンでは、小学校でDIYのきほんを学ぶ
夫が通っていた小学校では「Träslöjd(トラースロイド)」という木工の授業が週に2、3時間ほどありました。道具の基本的な使い方を教わり、実際に木材を使って何かをつくってみたり、ペンキを塗ったりして楽しみながら学ぶそうです。
テレビをつけると、古い家を素敵にリフォームするDIY番組がよく流れています。また、スウェーデンの絵本には子どもたちといっしょにDIYしているシーンがたびたび登場していて、北欧の子どもたちには小さな頃から、物作りやDIYの教育が浸透していると感じます。
「買う」だけでなく、「自分でつくれないか?」と考える
DIYが日常な北欧の人たちは何か必要なものがあるとき、まずは蚤の市などで中古品を探してみます。そこでいいものが見つからなかったら、自分でつくれないか?と考えるのです。それでもむずかしかったら、新しいものを買うという人が多いように感じます。
スウェーデン人の夫は、買い物をしているときの視点も、わたしとはちょっと違います。いいものを見つけたとき、家具の裏面をのぞいてみたり、じーっと眺めたり。どうやら、構造や素材など、作り方のほうが気になるようです。
そんな夫は、家のことを考えるのがとにかく楽しいようで、DIYのアイデアも次から次へと尽きそうもありません。さすが北欧の人たちは、家の楽しみ方をよく知っているようです。
いっしょにDIYをしながら、子どもたちが作る楽しさをたくさん知ってくれたらいいなと思います。
プロフィール
イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
Instagram @kuwabarasayaka
note 桒原さやか(くわばらさやか)/スウェーデン人夫と子育て奮闘中。
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文・構成・写真/桒原さやか