自由研究におすすめ! 東京都主催セミナーの「蚊取り線香のナゾにせまる!」が役に立っておもしろい

2025年7月25日に東京都健康安全研究センターにて「夏休みこどもセミナー」が開催されました。今回は「蚊」をテーマにした講座と「蚊取り線香づくり」の体験が行われ、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる内容でした。筆者が現地に取材し、その様子をレポートします。

夏休みこどもセミナー」とは?

東京都健康安全研究センターが主催し、小学3~6年生が対象のこのセミナー。今年は合計60人程度が参加しました(1日3回実施)。子どもたちが科学に親しみながら楽しく体験し、学ぶことを目的としています。毎年応募が多く、当選するのが難しいといった声も。

蚊取り線香のナゾにせまる! こどもセミナーの体験をレポート

1)ミニ講座

職員の方々がリレー形式で登場し、蚊や蚊取り線香について、子どもにもわかりやすく解説していました。

ところどころ、「どんな人が蚊に刺されやすいの?」「蚊はなぜ血を吸うの?」「蚊取り線香はなぜ渦巻き型なの?」といったクイズもあり、親子で一緒に楽しめる内容となっていました。クイズに正解すると拍手がわき起こり、正解した子どもたちはうれしそうな笑顔に。

スライドでは、アニメーションで「蚊」のキャラクターが正解の選択肢へと動く演出もあり、子どもも大人も思わず見入ってしまう場面もありました。

クイズのスライド

特に印象的だったのは、「世界で最も多く、人の命を奪っている生物は蚊である」という事実。蚊に刺されると、かゆみばかりに意識が向きがちですが、蚊が媒介する感染症、たとえばデング熱や日本脳炎など、深刻な病気にかかるリスクを認識しました。

蚊に刺されないための対策として「蚊よけ」に加えて、蚊の幼虫であるボウフラを発生させないように「たまり水」を作らないこと。屋外に置きっぱなしの使っていない容器を片付けたり、雨水がたまらないよう物の置き方を工夫したりするなど、日常のちょっとした心がけが蚊を減らすことにつながります。

2)蚊取り線香づくり

「蚊取り線香って、どうやって作るか想像できますか?」

今回のセミナーでは、子どもたちが実際に手を動かして、オリジナルの蚊取り線香作りを体験しました。材料は、殺虫効果のある除虫菊のパウダーに樹皮の粉末と水を加えて混ぜ合わせたもの。よくもみ込んでいくと、徐々に粘土のようにしっかりとした質感になってきます。その生地からは除虫菊の独特の香りがします。

粉と水を合わせて手でもむ様子
めん棒で生地をのばす様子
好きな形に型で抜いたり・・・
生地を手で棒状にしたり・・・

子どもたちは、クッキーづくりのように生地をめん棒で伸ばしたあと、渦巻き型はもちろん、ハート型や星型、アニメのキャラクターなど、思い思いのデザインで蚊取り線香を制作。まるで科学と芸術と遊びがひとつになったような、創造性あふれる時間でした。

セミナーで作った蚊取り線香は、2~3日ほど乾燥させてから実際に火をつけ、煙の出方や燃焼時間などを観察してみるとのこと。形によって燃え方が変わるのも、自由研究にぴったりですね。

見た目がまるでクッキーのようなので、うっかり食べてしまわないよう注意が必要です。

いろいろな形をした蚊取り線香(赤みがかかっているのは食紅で染色したため)
こちらはオーソドックスな渦巻き型蚊取り線香

ちなみに、市販の蚊取り線香が緑色なのは、きれいに染まりやすく、見た目も涼しげで草の色に近いからだそうです。

また、「蚊の観察コーナー」も設けられており、セミナーの前後に親子で顕微鏡をのぞいたり、生きたボウフラの様子をじっくり観察したりしていました。中には、子ども以上に夢中になって観察している保護者の姿もあり、大人にとっても新たな学びの時間となっていたようです。

蚊を顕微鏡で観察

参加した保護者の声は?

参加者の保護者にこどもセミナーに参加したきっかけや感想について伺いました。

毎年、自由研究のテーマ選びに頭を悩ませていたので、今回のセミナーが何かの参考になればと思い応募しました。
息子は人見知りなので最初は少し心配しましたが、職員の方々がとても親しみやすく接してくださったおかげで、すぐに場になじめました。夢中になって蚊取り線香を作っている姿を見て、うれしかったです。(小4男子・ママ)

娘はこれまで理科にあまり関心がなかったので、少しでも興味を持つきっかけになればと思い、今回のセミナーに応募しました。学校ではなかなか体験できないような学びがあると期待。
実際に参加してみると、大人にとっても興味深い構成になっていて驚きました。今回のセミナーで得た知識を、家庭でも活かして、大嫌いな蚊をしっかり撃退していきたいと思います。(小4女子・ママ)

ホームページでこのセミナーを見つけ、理科が好きな息子にぴったりだと思い応募しました。正直、最初はあまり乗り気ではなく心配していたのですが、いざ始まってみると、蚊取り線香づくりに真剣に取り組んでいてホッとしました。 (小6男子・パパ)

普段使っている蚊取り線香を自分で作れるなんておもしろそうと、子どもたち2人がそろって「参加したい!」と言ったので応募しました。実際に楽しそうに取り組んでいる様子を見られて、うれしかったです。
あんなに小さな蚊が人間にとって大きな脅威になるという話には驚きました。(小4男子・小6女子・ママ)

毎年興味があって応募していたのですが、なかなか当選できず……。今年ようやく参加することができて、うれしかったです!
実際に参加してみると、子どもたちのほうが私よりも蚊について詳しくてびっくり! 親子で一緒に学びながら楽しめる貴重な時間になりました。(小5女子・ママ)

「子どもに科学の楽しさを知ってほしい」という親御さんの声も聞かれました。今回のようなイベントをきっかけに、子どもが科学に興味を持ったと思います。

科学の不思議な世界を体験できるイベント

セミナーを通して蚊の恐ろしさを知り、不安になりましたが、東京都が令和6年度に都内66ヶ所で捕獲した15,128匹の蚊を調べたところ、ウイルスや寄生虫を持っていた蚊は1匹もいなかったとのこと。この結果を聞いて、少し安心しました。

今回のセミナーでは、座学と体験を交互に行い、クイズやアニメーションなど子どもが飽きずに楽しめる工夫がちりばめられていました。つい子どもの成績に目が向きがちですが、「知りたい」「おもしろい」という気持ちを育むことの大切さをあらためて感じる機会となりました。

食中毒予防のサイトを公開中

また、東京都では、この時期に怖い食中毒を防ぐ、啓発サイトを作成し、公開しています。わかりやすいだけでなく、子どもに興味を持たせる仕掛けが満載。ぜひご覧ください。

食中毒ずかん|東京都保健医療局

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取材・文 峯あきら

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