みんなが使いやすい学習帳とは。ノートは色付きの紙で、いつもある「あの線」もないから集中しやすい【まほらゆったりつかう学習帳/大栗紙工】

人の目が明るさや色を感じる時に、個人差があることはご存じですか? 白いノートだと眩しくて、使うことが困難な方がいます。そんな方のために工夫を施したノートを作っているメーカーがあります。その中でも珍しい、小学生が使う「学習帳」を作っているノートメーカーが大阪の大栗紙工です。

「まほらゆったりつかう学習帳」の特長

紙の色は3種類

白い紙がまぶしくて、ノートの文字を読めなかったり、自分がどのように字を書いているのかがわからなかったりするという特性を持つ方がいることを筆者が知ったのは数年前。「視覚過敏」と呼ばれ、実際にその特性を持つ方がSNSで「白い紙を見るのが辛いこと」「色付きの紙のノートを探していること」を訴えていて知りました。その後、ノートメーカーを中心に色付きのノートや付箋などが作られました。

では、白ではないとして、何色がいいのか? 今回ご紹介する大栗紙工では、複数の色の紙を用意して視覚過敏の特性を持つ方にヒアリングをしました。個人差はあったものの、光の反射を抑えられたと感じた方が多かったレモン・ラベンダー・ミントの3色を選び、国産色上質紙を使ってノートを作りました。

フォーマットは4種類

大栗紙工では、学習帳を製作する前に、横方向に罫線が引かれている「まほらノート」を製作していました。発売から数年経過し、要望が多かった小学生向けの「まほらゆったりつかう学習帳」を形にしました。

想像するとすぐ納得できると思うのですが、いわゆる大学ノートは横線のみのノート。対して、小学生が使う学習帳は1文字1文字を1つのマスに入れていくように方眼の罫線になっていることが多く、大きくフォーマットが異なります。しかも、学校や学年によって細かく決められている場合が多いですよね。

そこで、「まほらゆったりつかう学習帳」では次の4種類のフォーマットを製造・販売しています。

「10マス(21mm)」は国語10マスなど全教科で使えます。

「15マス(15mm)」は国語15マス、算数14マス、自主学習などで使えます

「10mm方眼(10mm)」は5mm方眼と同様に全教科で使えます。

「かんじ32字(24mm /網部分12mm)」何年生になってもゆったり字の練習ができます。

大きな特徴は2つ

網掛けがある

「マス」や「方眼」のついているノートは列ごとに交互に網掛けがされています。

算数では

網掛けをわかりやすくするため、色を濃くしています

例えば3桁と2桁の計算をするときに、上下をしっかり合わせないと、3桁の百の位と、2桁の十の位を誤って足してしまうことがあります。これを防ぐために、横方向に網掛けがある・ないと交互になっています。

国語では

ひらがなやカタカナ、漢字を書きとるときに、気をつけないと書いている列がずれてしまうことがあります。それを防ぐため、「網掛けのある列」「薄い色の列」と意識することでずれないように書くことができます。

よみがなを書くスペースがわかりやすい

漢字を練習することを思い浮かべてみます。小さい字は大人にとっては無意識に書けますが、小さなお子さんはいかがでしょうか? 筆者の娘が保育園児の頃に書いていた文字は大人のゲンコツほど大きくて、小学4年生になった今も、それなりの大きさの文字を書いています。

罫線を濃く調整をしています

ですが、市場に出回っている漢字練習用のノートでは、読み方を書く列がとても細くなっています。手元にあったノートを測ってみると、よみがなの記入欄は横幅5mm。大人でも鉛筆が尖っていないと難しいのでは? と感じます。

わかりやすくするために、上の写真とは縮尺が異なります

対してこのシリーズの「かんじノート」のよみがな記入欄は12mm。かなり太く見えますが、小さなお子さんでも書きやすい大きさに見えます。また、よみがな部分には網が掛かっているので、漢字を書く列との区別も一目でつきます。

引き算をしていく開発

あるのが当たり前? をなくす

赤で囲ったのが、十字リーダーです

文字を書くための学習帳には十字リーダーなどと呼ばれる薄かったり細かったりする点線で、マスを十字に分けるものがあります。特に小学校低学年のお子さんが使うノートには教科にもよりますがマスがついていることが多いです。

しかし、「まほらゆったりつかう学習帳」には、この十字リーダーはありません。

十字リーダーは特に文字を練習するときのバランスを確認する補助的な役割で使うのですが、逆にこの線が入っているために気になってうまく字が書けないお子さんがいることがわかったからです。

その代わりの基準として、四角の中心のところに「バランス中心点」という点が1つ付けられています。この点を基準に上下左右のバランスを意識して書くことで、落ち着いて文字が書けるようになるのです。

見えない線が見える感覚

実際に筆者もバランス中心点を意識しながら、書写の教材を見ながらひらがなを書いてみました。教材には十字リーダーが入っているのですが、ノートにはバランス中心点のみ。つまり、四角の中央に点が1つ打たれています。

書いてみた結果、バランス中心点を意識することでおおよそのバランスをとることができました。線は実際に書かれてはいませんが、点の位置から想像しておおよその位置がつかめたのです。

ただ逆に、バランス中心点を自分で筆記した点と何度か勘違いしてして、消しゴムで消そうとしてしまいました。「変なところに点を書いてしまった?」と感じ、よく見るとバランス中心点だったということです。このときは鉛筆で筆記していたので、中心点のグレーと鉛筆の筆記線が似たような色だったことも関係すると思われます。でも、これは慣れで解決できる問題であると思います。

色付きノートを使えない学校がなくなりますように

使用を認められない学校はある

視覚過敏の方にはこのような色付きの紙でできたノートが勉強をする上で必需品になってきます。言うなれば「目が悪いから眼鏡をかける」のと一緒で、本人にとっては「白いノートは文字が見えないから色付きのノートを使う」なのです。

しかし、学校によってはこのように色がついているノートが許可されない場合がまだまだあるようです。合理的配慮に対応されたノートとして、必要なお子さんが必要なときに使えるようになるよう、まずはこのようなノートが存在するということと、これにより助かるお子さんがいることを多くの方に知ってほしいと願います。

購入する前に試せます

近くのお店に商品がない場合はインターネットなどの通販を利用して購入することになるかと思います。しかし、どの色がお子さんが一番見やすいかは、現物を見てみなければわかりません。

そのため、Amazonで大栗紙工が運営する「OGUNOのストア」ではまほらノート、まほら学習帳の表紙と中紙のサンプルを詰め合わせたセットがあります。こちらで色を確認してからノートを購入してみてはいかがでしょうか?

商品の詳細はこちらをご覧ください。

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この記事を書いたのは

ふじいなおみ 文房具プレゼンター

文房具の情報を声と文章で伝える、文房具プレゼンターとして活動。ラジオパーソナリティとして、パートナーの他故壁氏と共に制作する「30分間文房具の話だけをする」ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」ほか、他番組へのゲスト出演も。

子育て経験とラジオ番組制作・出演を通して学んだ知識をベースに、文房具ライターとしても活動中。2025年9月には「支援が必要な子からちょっと不器用な子まで 子どもの困ったを解決するハッピー文房具図鑑」(学事出版)を刊行

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