喪中欠礼とは
親や祖父母などの近親者が亡くなると、慶事を避ける喪中の期間を設けて、その魂を鎮めます。喪中に当たるため、新年の挨拶を避けることを伝えるのが喪中欠礼です。
喪中欠礼は二親等以内の親族が亡くなったとき
喪中欠礼は、自分または配偶者の二親等以内の親族が亡くなったときに伝えるのが一般的です。親等は親族間のつながりの近さ・遠さを表すもので、世代を一つ移動すると親等が1つ増えます。
二親等以内の親族というと、一親等と二親等の親族のことです。一親等の親族は自分と配偶者の父母や、子どもとその配偶者を指します。二親等の親族は、自分または配偶者の祖父母・兄弟姉妹・孫とその配偶者です。
ただし親等に関係なく、亡くなった人と親しくしていた・同居していたという場合には、喪中欠礼を知らせても問題ありません。
喪中欠礼は喪中はがきを送るのが一般的
慶事を避ける喪中の期間中は、新年の挨拶である年賀状も控えます。ただし毎年年賀状を送り合っている相手に、連絡をせず年賀状を出さないのは失礼にあたると考えて、喪中はがきを送るのが一般的です。
喪中欠礼がメールでも問題ないケース
喪中欠礼は喪中はがきで知らせるのが一般的ですが、普段のやりとりをメールで行っている相手には、メールで喪中欠礼を知らせたいということもあるかもしれません。相手が親しい友人である場合など近しい間柄であれば、メールで伝えても問題ないケースもあります。
ただしその場合でも、一斉メールでまとめて伝える、LINEで伝える、といった方法では「非常識だ」と捉えられる可能性がある点には注意が必要です。
喪中欠礼はいつ出す?

喪中はがきで喪中欠礼を伝える場合、はがきを出すのは10~12月上旬が一般的です。送る時期が遅くなると、先方が年賀状を準備してしまっていたり、投かんしてしまっていたりする場合があります。年賀状の準備を始める時期を考慮して、早めに送るとよいでしょう。
喪中欠礼が間に合わない場合の対応
近親者が亡くなった時期によっては、喪中はがきを10~12月上旬に送れないこともあります。例えば12月に入ってから亡くなった場合などです。
このような場合には、年明けに寒中見舞いを出すのが適切です。関東では1月8日ごろから、関西では1月15日ごろから、立春(2月4日ごろ)までに送るのが一般的です。
寒中見舞いには「寒中お見舞い申し上げます」といった挨拶や、相手の健康への気遣いなどに加えて、喪中欠礼となったことや、喪中はがきが間に合わなかったことへのお詫びの言葉などを添えます。
喪中欠礼の文例

近親者が亡くなり喪中欠礼であることを伝える喪中はがきに書く項目は、以下の通りです。
●喪中欠礼の挨拶
●故人について
●結びの挨拶
●日付
●差出人
ここでは喪中はがきに書く項目のうち、喪中欠礼の挨拶・故人について・結びの挨拶の文例を紹介します。紹介した文例を選んで組み合わせれば、喪中はがきの文章を簡単に作成できます。
喪中欠礼の文例
喪中はがきでは、まず最初に喪中欠礼を伝えます。以下の文例に示すように、時候の挨拶や頭語を入れる必要はありません。
また「年賀」は新年を祝うという意味を持つ慶事の語のため、喪中はがきでは「新年」「年始」「年頭」を用います。
●喪中につき年頭のご挨拶は謹んでご遠慮申し上げます
●喪中のため新年のご挨拶は失礼させていただきます
●喪中につき年頭のご挨拶を謹んでご遠慮申し上げます
●喪中のため新年のご挨拶は差し控えさせていただきます
●喪中につき誠に勝手ではございますが、年始のご挨拶は失礼いたします
故人について伝える文例
挨拶の次には、以下の文例を参考に、故人との続柄・故人の名前・亡くなった日にち・亡くなった年齢を伝えます。
●本年〇月〇日に父 〇〇が享年〇〇にて永眠いたしました
●本年〇月に母 〇〇が〇〇歳で天寿を全ういたしました
●妻 〇〇がかねてより病気療養中のところ本年〇月〇日に〇〇歳にて他界いたしました
●本年〇月に父が〇〇歳にて永眠いたしました
文例では亡くなったことを伝える言葉として「永眠する」「他界する」「天寿を全うする」を使っています。他にも人が亡くなったことを表す言葉は複数ありますが、「逝去」は「死ぬ」の尊敬語で敬語にあたるため、近親者が亡くなったときに出す喪中はがきには使いません。
結びの挨拶の文例
最後に記載する結びの挨拶では、以下の文例のように、相手の幸福や健康を祈る言葉や、日ごろの感謝などを伝えます。
●平素のご芳情に深く感謝申し上げますとともに 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
●故人が生前賜りましたご厚情に心より御礼申し上げますとともに 皆様のご健康をお祈りいたします
●来る年も変わらぬご厚誼のほどを謹んでお願い申し上げます 寒さ厳しき折、ご自愛ください
●日ごろのご厚情に深く感謝いたしますとともに 来る年も皆様にとりまして穏やかな年となりますようお祈り申し上げます
●寒さ厳しき折柄 皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
喪中欠礼のマナーもチェック

相手に失礼にならないよう、喪中欠礼を伝えるには、マナーを知っておく必要があります。押さえておくべき喪中はがきのマナーを紹介します。
句読点や行頭の一字下げは使わない
適切に句読点を使ったり、行頭を一字下げたりするのは、文章を書くときのルールとして定着しています。ただし喪中はがきでは、句読点を使わない、文頭は一字下げないのが一般的です。
句読点や行頭の一字下げは、日本の手紙や文章にはもともとありませんでした。誰でも読みやすいよう用いられるようになった経緯があるため、大人に対して句読点や行頭の一字下げを用いるのは失礼という説もあります。
このような理由から、喪中はがきでは句読点も行頭の一字下げも使いません。
喪中欠礼以外の報告はしない
喪中はがきに書く内容は、喪中欠礼のみにするのがマナーです。近親者が亡くなったのと同じ年に、引っ越し・結婚・出産などを行った場合には、喪中はがきとは別に引っ越しや結婚などのお知らせを送ります。
喪中用のはがきや切手を選ぶ
はがきや切手には落ち着いたデザインを選ぶのも、喪中欠礼のマナーです。通常のはがきや切手ではなく、喪中用のものを選びましょう。
また文字の色は薄墨や黒が一般的です。パソコンで作成するときには、特殊なフォントは使用せず、楷書体・行書体・明朝体を用います。
マナーに合わせて喪中欠礼を
近親者が亡くなると喪中の期間を設けます。喪中のため新年の挨拶を控えることを伝えるのが、喪中欠礼です。一般的には10~12月上旬に喪中はがきを出します。親しい友人であればメールで送っても問題がない場合もありますが、一斉メールやLINEは避けるのが無難です。
また喪中はがきのマナーにも注意しましょう。句読点や行頭の一字下げは行わない、喪中欠礼以外の報告はしない、喪中用のはがきや切手を選ぶ、といったマナーを意識します。
日ごろからお世話になっている方々に伝える喪中欠礼は、紹介した文例を参考にしつつ、マナーを押さえて出しましょう。
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構成・文/HugKum編集部