モンテッソーリ教師・丘山亜未さんに聞く「0~3歳の子育てのお悩み」~子育ての「困った」のすぐ側にあるのは子どもの才能の芽です

イタリアの医師であり、教育家でもあるマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法・モンテッソーリ教育。モンテッソーリ教育には、子どもの困った姿は、成長のプロセスやその子の特性のあらわれという考え方があります。モンテッソーリ幼児教室などで、これまで2万5,000組の親子を見てきた、モンテッソーリ教師 丘山亜未さんに、4つの事例から、子育ての悩みに向き合うヒントをうかがいました。

Q1 人見知りが強くて、友だちと遊ばせようとすると泣く1歳の娘。友だちと遊べなくならない?

娘は、人見知りが強くて、公園や子育て支援センターなどに行くと私から離れません。友だちと遊ばせようとするとすぐに泣きます。「このままだと、友だちと遊べない子になるのでは……」と心配です。

A 1歳まではママとの愛着形成の時期。焦らずスモールステップで向き合って

0~1歳は、特にママとの愛着を築く時期。他者との触れ合いに抵抗を示す子どもは少なくありません。

相談者は「このままだと、友だちと遊べない子になるのでは……」と心配されているようですが、無理に友だちと遊ばせようとしないでも大丈夫。ママが抱っこしながら、少し離れた場所からでもいいので、友だちが遊んでいる様子を一緒に見ましょう。「ブロックで遊んでいるよ」「楽しそうだね」と声をかけるなどして、少しずつ友だちに興味をもつように促していきましょう。

人見知りが強いタイプは、想像力が豊かな一面があります。好きなことがはっきりしていて、自分の世界を作れる芽をもっている子どもも多いです。焦らずにわが子の成長をじっくり見守りながら、自分の世界を作れる芽を大切に育ててほしいと思います。

Q2 娘は2歳のイヤイヤ期。叱りすぎて自己嫌悪になります

イヤイヤ期真っただ中で、毎日娘のことを感情的に叱ってしまいます。叱られて泣く娘を見るたびに「また、感情的になって怒鳴っちゃった…」と自己嫌悪に。叱ってばかりいるのは、ワンオペ育児で余裕がないからだと思います。

A 「ママ、怒りすぎちゃってごめんね」と叱りすぎてしまったときは素直に謝って

モンテッソーリ教育ではイヤイヤ期という考え方はありません。その代わり、子どもが特定のことに強く興味を示す「敏感期」という時期で、重要な発達段階と捉えます。

相談者のように、ワンオペ育児などで忙しいと、心に余裕がなくなり、つい子どもを叱ってしまうこともあるでしょう。しかし子どもは、ママ・パパのことをよく見ています。成長するに従い、「ママ・パパがイライラして怒るのは、自分のせいだ…」と考えるようになることもあります。

そのため「つい叱りすぎてしまった」「感情的になって怒ってしまった」というときは、「さっきはごめんね」「ママ、怒りすぎちゃったね」と、明るく子どもに謝りましょう。子どもは親の笑顔を見ると安心します。また、自分の非を認めて素直に謝る姿勢は、親子の信頼関係を深める土台になります。

イライラは、疲れや余裕のなさを教えてくれる心のサインです。イライラしていると感じたときは、無理に感情を抑え込んだり、爆発させたりするのではなく、「ルームスプレーなどでお気に入りの香りに触れる」(嗅覚)、「大好きなおやつを食べる」(味覚)など五感を使って自分を癒しましょう。ほんの数分でもそうした時間を意識して作って、心を整えましょう。

Q3 2歳の息子は「ごはんにしよう」と声をかけても、いつも知らんふり

息子は「お風呂に入ろう」「ごはんにしよう」「もう寝よう」と声をかけても、まったく聞いていません。そのため、つい叱ってしまうこともあります。どのようにすると人の話が聞けるようになりますか?

A 目を合わせてから話しかけを。親に話を聞いてもらう経験を積み重ねるのが大事です

声かけだけでは伝わらないときは、トントンと肩を叩いて、「〇〇くん、ママのほう見て」と声をかけて、目を合わせてから「ごはんにしよう」と言うと、伝わりやすいと思います。

また聞く力は、普段の親子のやりとりからも育ちます。子ども自身がママ・パパに話を聞いてもらう経験が大切です。子どもの話を聞くときは、目を見て話を聞きましょう。子どもは、「ママ・パパに話を聞いてもらえた!」という喜びを積み重ねることで、人の話も聞けるようになっていきます。

忙しくて子どもの話が聞けないときは「〇〇が終わったら話、聞くね!」と伝えて、少し待ってもらいましょう。

「忙しいから待ってね」「後でね」ばかりで、子どもの話を聞かないと、次第に子どもは「どうせ話を聞いてくれない…」とあきらめてしまうので注意が必要です。

Q4 すぐに立ち歩く3歳の息子。幼稚園に入園を控えているので不安です

息子は活発なタイプ。幼児教室に通っているのですが、椅子に座って集中して取り組むことが苦手で、すぐに立ち歩いてしまいます。4月から幼稚園に入園するので不安です。

A 体を使う外遊びで、有り余るエネルギーを発散させてみてください

モンテッソーリ教育では、自分の意思で体を動かし、生活に必要な運動能力を獲得する時期を「運動の敏感期」と言います。運動の敏感期は、0~3歳はハイハイ、歩く、走るなどのダイナミックな動きを獲得し体幹を鍛えていきます。また3~6歳は、ボタンを留める、はさみや箸を器用に使うなど、手先の細やかな動きを習得していきます。

運動の敏感期で立ち歩きなどが目立つときは、子どもが成長していくうえで必要なエネルギーが有り余っていることがあります。

そのため「今は、椅子に座って、〇〇をする時間だよ」と根気よく教えながらも、公園遊びを増やすなどして、有り余っているエネルギーを発散させましょう。スイミング、サッカーなどスポーツ系の習い事を新たに始めるよりも、公園などで自由に遊ぶ時間を増やすほうがおすすめです。

幼児期にエネルギーが有り余っているタイプは、小学生、中学生になってもエネルギッシュに活動でき、勉強、習い事、塾、部活動などの両立がスムーズにできる傾向があります。

子育てで悩んだときは、プラスの視点で子どもの行動を見直して

子育てで悩んだときは、子どもの見方を変えてみましょう。たとえば、「うちの子は、すぐにあきらめてしまう…」と思っても、もしかしたら気持ちの切り替えが軽やかなのかもしれません。「うちの子は頑固」と思っても、信念を貫けるのかもしれません。甘えん坊でママから離れない子は、つながりを大切にするタイプなのかもしれません。

子どもの行動には、その子の気質があらわれています。マイナスの視点ではなく、プラスの視点でわが子の行動を見直してみましょう。

まわりの子と比べたり、SNSの情報を見たりして「うちの子は、まだ〇〇ができない」と悩んでいるママ・パパは少なくありません。ときには「私の関わり方が原因かしら?」と自分を責めるママ・パパもいます。しかし子どもには、それぞれ生まれもった気質があり、芽が出るまで時間がかかる子どももいます。

他者との比較は、つらくなる種をわざわざ拾いに行くようなものです。つらくなる種をわざわざ拾いに行って、自分を追い込むのはやめましょう。

丘山亜未 青春出版社 1793円(税込)

「口で教えるより、ゆっくり見せる」「”早く!”と言う代わりに、できていることを伝える」「”苦手克服”より”好き”を優先する」など、すぐに実践できるモンテッソーリ流の100の子育てのヒントが詰まっています。子育てヒントが短くまとめられている構成で、気になるところからさくっと読めます。子育てのお守りになる1冊。

記事監修

丘山亜未 モンテッソーリ教師

株式会社Kototo代表。モンテッソーリ幼児教室「ちいさないす」、モンテッソーリの学びを広げる教育事業「kototo Montessori Life」を主宰して、これまで2万5,000組の親子をサポートする。著書に『子どもの才能を伸ばす5歳までの魔法の「おしごと」』『0~7歳 モンテッソーリ教育が教えてくれた子どもの心を強くする10のタイミング』、最新刊は『モンテッソーリ流子どもの才能を伸ばす100の小さなこと 1分だけ子どもを待ってみる』(すべて、青春出版社)

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取材・文/麻生珠恵

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