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独学で大学受験! いちど不合格後、4ヶ月の読書で無双状態に
僕は日本の公立小に通っていましたが、親の仕事の都合で、中学1年生からドイツのミュンヘンにある日本人学校に転校しました。そこに通うご家庭は教育熱心で、品行方正で真面目な子が多かったんです。そんな中、僕は落ち着きがないタイプの子どもだったので…とても窮屈に感じていました。もっと居心地が良い場所で学びたいと思ったときに、“自分で学校を作る”ということに興味が湧いて。
理想の学校を作るためには、頂点を見なければいけない。そこで、日本で優秀とされる人たちが素晴らしい教育を受けた先、たどりつく場所として、東大を目指すことにしました。
もともと学校の授業で学力が伸びた経験がなかったので、高校に通うよりも独学で集中した方が絶対に効率的だと思って。通信制の高校で勉強することを選び、受験勉強をすることにしました。
そして迎えた大学受験。最初は東大受験に失敗してしまいます。落ちた時点では信じられなくて、お恥ずかしながら「これは何かの間違いだろう」と思っていたんです。でも後日、各科目の点数を見てみたら、国語だけが他の教科に比べて低い点数でした。国語でもう少し点数を取れていたら合格できていたんだろうな…と。それで、「もう一度東大を受験するなら、目先の数点を取ることに努力するよりも、圧倒的な学力をつけて合格したい」と思いました。
それから4ヶ月間、あらゆる分野の本を読みました。1日2冊、4ヶ月で200冊。その間、ほとんど勉強はしていませんでしたが、受験勉強を再開すると国語以外の教科の点数も爆上がりしたんです。読解力もアウトプット力も格段に高まり、正答率もみるみる上昇。入試問題の理解度が深化したおかげで、いずれの教科も無双状態になりました。
このような経験から、僕の中にある頭の良さの根幹は国語力だという考え方にたどりついたのです。

頭のいい子の根幹にあるのは「国語力」。3つの力が鍵
僕にとって、“頭のいい子”という言葉は、広い意味で捉えています。勉強以外のシーンで言うと、アイデアがポンポンと浮かび上がる人とか。視野の広さ、周りへの気遣いなど、性格すら含むようなものだと考えています。
わかりやすく3つのポイントに分けてお話しします。
①情報を適切に理解する力
例えば文章に書かれていることや、相手が喋っていること、他にも表情や態度などを含めて、そういうものを読み取ることができるという力です。相手がよく会う人だったら、「今日はいつもと違うな」と感じ取ることや、相手が言ってることを正確に理解する力。このような力が気づきとしてすごく大事で、これがファーストステップです。
②深く考え抜ける力
2つ目は、深く考え抜ける力です。アイデアマンタイプの人はこの力がすごく強いと感じます。アイデアをたくさん出せる人は、ゼロから何かを生み出すというより、今まで見聞きしてきたものや、自分が知っている知識・経験などを組み合わせるのがすごく上手な人。全く違う分野での知識を、これまで関連性のなかった分野に応用できる人。深く考えることができる人たちが、イノベーションを生み出していけると思います。
③伝達する力
そして最後は、相手に対してアクセス可能な形で情報を伝えられる力です。必ずしも「わかりやすく伝える」というだけではありませんが、少なくとも相手にとって理解可能な形で、構造的に伝えられるということが大切だと考えています。

これらの3つのステップについて考えてみると「与えられた情報というものを理解し、頭で深く考えて、相手にわかる形でアウトプットする能力」。それこそが、まさに巷で言われているところの国語力に他ならないと考えています。
僕は「ヨミサマ。」というオンラインの個別指導をしていますが、そこでも“国語”という一つの科目のことだけを教えているつもりはないんです。この“国語力”という根幹の能力を伸ばすことが、今の仕事に対する意識です。
新聞や小説より漫画!? ポイントは背伸びと語彙のシャワー
国語力を伸ばすために必要なことは、自分の知識よりもちょっと背伸びした内容の文章を読み、たくさんの語彙のシャワーを浴びることです。
小学生が日常生活で触れている語彙の数は、意外と多くありません。そのため小学生向けの小説などを読ませようとする親御さんが多く見られますが、読書が好きではない子どもにとってはつらいだけのことが多いです。小学生用の小説であっても、1冊を読み切るのにはある程度のエネルギーが必要です。それでも強引に読書をさせようとすると、流し読みする癖がついてしまうことにもなりかねません。
しかし、お子さんが読書が苦手だからといって国語力を諦める必要はありません! 僕がおすすめしているのは漫画です。特に文章に苦手意識のあるお子さんには、4コマ漫画をおすすめしています。
4コマ漫画で「語彙力」「論理力」「伝達力」を鍛える
4コマ漫画は、1話あたりの情報量が少ないぶん読む負担も少なく、「1日1本」からでも続けやすいのが強みです。上から下へストーリーが展開していく単純な流れで、漫画を読む手順に慣れていないお子さんに最適です。
新聞に掲載されてるものでもいいですし、書店で手に入る単行本、ウェブ連載などなんでもいいと思います。読書に苦手意識がある子でも受け入れやすく、長い本を読む時間が確保しにくいお子さんでも続けられますので、ぜひ取り入れてみてください。
4コマ漫画では3つの力が養われると思っています。
①語彙力
日常会話では使わないような、状況に合わせた言葉のニュアンスやオチのための言葉遊びを自然と学べる。
②論理力
わずか4つのコマの中で状況の変化や因果関係(オチ)を読み解くため、複雑な筋道を短時間で理解する力がつく。
③伝達力
漫画の「笑い」や「オチ」がどこにあるかを把握し、それを他者にわかりやすく説明・表現する力が養われる。

ユーモアの中に皮肉や風刺が込められているものもあり、語彙だけでなく時事的な背景や社会性への理解も深まります。日常で使われる“生きた言葉”を文脈と一緒に学べる4コマ漫画は、まさに現代的な語彙力の教科書といっても過言ではありません。
無理にお子さんに読書をさせようとするよりも、ハードルを下げて4コマ漫画を読み、お子さんにどこが面白かったのかを話してもらうことなどを通して、楽しく国語力を鍛えていきましょう。
スポーツ漫画も読みやすくておすすめ
4コマ漫画の他にはスポーツ漫画もおすすめです。
読書が得意な子は、文章を読み進める際に「何が肝心でどこがそうではないのかを判別しながら読み進める」ことができますが、苦手な子には難しいものです。しかし、漫画、特にスポーツ漫画では、大事な場面はカット割で大体わかりますし、重要なセリフは大きな文字で目立つように書かれていることが多いです。
展開も比較的スピーディーかつテンポよく斜め読みもしやすいため、「読む」スピードを上げるトレーニングにもなります。それでいて、セリフからキャラクターの心情を理解したり、展開を読んだりする過程で国語力が磨かれていきますよ。
国語力を高める! おすすめのスポーツ漫画
『ONE OUTS』甲斐谷忍・著(集英社)
『SLAM DUNK』井上雄彦・著(集英社)
『ひゃくえむ。』魚豊・著(講談社)
『MAJOR』満田拓也・著(小学館)
『タッチ』あだち充・著(小学館)
読書はほとんどしなかった僕ですが、子どもの頃に1000冊以上はスポーツ漫画を読んでいたと思います。文章に苦手意識のあるお子さんは、漫画をたくさん読むことで国語力を鍛えていきましょう。
健全な学びのスタートラインは“余白”です
僕が現代の学習において危惧していることは、子どもから「暇な時間」が奪われていることです。習い事の詰め込みや、スマホやタブレットの普及など。中学受験を見据えているお子さんに限らず、多くのお子さんに「暇な時間」がほとんどない状態です。むしろ、親御さんが「暇=よくない時間」だと思い、あえて作らないようにしているところもあるかもしれません。
それによって奪われていると思うのが、学びの自律性と、考え抜く力ではないかと感じています。
自律的な学びを促すには“白い部屋”理論で
何もない空間に身を置いてみると、誰でも目の前にあるものを手に取ると言われています。それがただの電話帳だったとしても、自ら能動的に読み始める。そのように、環境的に選択肢をあえて絞ることで、自律的な学びを生み出す方法です。
考え抜く力を伸ばすには“何もしない時間”を
すぐに答えを出そうとせず、未解決の問いや疑問を抱えて考え抜く力が、頭を良くすると考えています。忙しいと、一つのことに集中して考え抜くチャンスを奪ってしまいます。宿題でわからないところがあっても、答えを見て理解するのではなく、「なぜそうなるのだろう」と自分の頭の中で考える時間こそが大切なのです。
読書に苦手意識があり、漫画ですら手に取らないというお子さんもいますが、親御さんは強制しないでほしいですね。他にやることがない中で「ダラダラする代わりに本を読む」という自律的な選択を重ねることが、健全な学びのスタートラインだと思います。
実際に“白い部屋”を準備するのは現実的ではありませんが、家の中でスマホやタブレットを持ち込まない部屋を作る、スパ施設などロッカーにスマホを預けて漫画しか読むものがない環境に身を置く、親子で図書館へ行く、目的を持たずに散歩をする。こういう工夫次第で、お子さんの学びに対する自律性と考え抜く力を鍛えることができます。

AI時代だからこそ効率化よりも考え抜く力=“国語力”です
勉強は「できるから楽しい」のであって、「楽しいからできる」という順番は基本的に存在しないと僕は思います。だからこそ、一つの問題に対してじっくり考える時間が必要です。
今はなんでもAIに聞けばすぐに答えが出てきてしまう時代です。目先のテストの数点を上げるような学習を習慣にするよりも、もっと本質的な学びとは何かというところに目を向け、深く物事を考え抜く力を育むことが大切なのではないでしょうか。
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お話を伺ったのは
通信制高校を経て、18年に東京大学文科Ⅰ類に入学。 22年に東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントとして研さんを積む。 23年より、「1人で勉強をする会社」Overfocusを立ち上げる。
この記事を書いたのは
教育学部を卒業し、幼稚園・小学校教諭免許を取得するも、教師は母の希望だったため教師にはならず。自分自身の経験から、子どもは矯正せずにありのまま育てるのが一番だと思っている。勉強は嫌いだけと、学ぶことは楽しいと大人になって気づく。趣味は腸活と音楽を聴くこと。最近は子どもの影響で城・神社、世界遺産巡りにハマっている。