【医師監修】どうする?子どもの紫外線対策。日焼け止めの選び方、塗り方指導も

Q . 紫外線は肌に悪いと聞くことが多く、気になります。
子どもの場合、紫外線対策として何をすればいいですか?

A . 外遊びなどの際に「浴びすぎない」注意を

太陽光に含まれる紫外線には、殺菌効果やビタミンDの合成、新陳代謝の促進など、体に役立つ作用があります。ただし、浴びすぎると日焼けなどの原因になります。

子供の紫外線対策はいつからするべき?

紫外線量が多くなる初夏~夏にかけては、紫外線対策を心がけましょう。

子供の「日焼け」、まずは基本をおさえよう

紫外線の種類は2種類

地表に届く紫外線には、波長の長さの違いで、波長の長いU‌V-Aと短いU‌V-Bの2種類※があります。地表に届く紫外線のほとんどはU‌V-Aです。これは「真皮層」と呼ばれる肌の深い部分まで届き、メラニン色素に作用します。肌が褐色に(サンタン)なったり、シミの原因になるほか、タンパク質を変性させてシワの原因となります。いっぽうU‌V-Bは皮膚の表面(表皮)までしか作用しませんが、肌が赤くなりヒリヒリする日焼け(サンバーン)を起こします。ビタミンDの合成も、U‌V-Bの作用です。

※編集部注:太陽光には、さらに波長が短く有害性の高いUV-Cも含まれていますが、これは大気圏にあるオゾン層で吸収されるため、オゾン層がなくならない限り地表に到達することは無いと言われています。

「浴びすぎない」が大事なポイント

紫外線対策の基本は、「浴びすぎないようにする」ことです。子どもには外遊びも必要。紫外線を気にして室内でばかり遊ばせるのはよくありません。紫外線量が多くなるのは、初夏~夏にかけてです。子どもの場合、日常の紫外線対策の基本は三つあります。

子供の紫外線対策、おさえたい3つのポイント

外遊びは10-14時を避けて

一つめが、外遊びの時間帯。紫外線量がとくに多い10~14時ごろを避け、外遊びは朝や夕方に行いましょう。

日陰を利用しよう

二つめは、日陰の利用。日陰の紫外線量は、日なたの約半分です。屋外では、できるだけ日陰があるところで遊ばせましょう。

つばのある帽子、えりや袖のある服を選ぼう

三つめは、帽子や衣服。外出時には、必ず帽子をかぶらせます。麦わら帽子のように、つばがぐるりとついた形のものがおすすめです。衣服で肌を覆うことも日焼け予防に有効なので、無理のない範囲で、えりや袖のついたものを選びましょう。紫外線カット効果のある素材でつくられた帽子や衣服を利用するのもよい方法です。

 

子供に日焼け止めは必要?小児科医のおすすめは?

手刺激な子供、ベビー専用のものをセレクトして

日陰のない海や山などで長時間遊ぶときは、日焼け止めを使うとよいでしょう。未就学の子どもには、「ベビー用」「子ども用」などと表示されたものがおすすめです。日焼け止めの効果は、U‌V-Bをカットする「SPF(数値)」と、U‌V-Aをカットする「P‌A(+の数)」で表されます。

また、紫外線をカットする成分には、大きく分けて「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があります。SPF値やP‌A値が極端に高いものや、紫外線吸収剤を使用したものは刺激が強い場合があるので、子どもの肌には避けたほうが安心。「ベビー用」など子ども向けの日焼け止めには、SPF値などが高すぎず、紫外線吸収剤も使われていないものが多いです。

子供への日焼け止めの塗り方は?

重ね塗り、塗り直しが肝心です

日焼け止めを正しく使うことも大切です。子どもの顔に塗る場合、乳液タイプなら一円玉大、クリームタイプなら7~8ミリ大の量を全体にのばし、さらに同じ量を重ね塗りするのが基本。効果を持続させるため、2~3時間おきに塗りなおすとよいでしょう。

日焼け止めの落とし方は?

日焼け止めを塗った日は、肌に成分が残らないよう、入浴時に石けんでていねいに洗います。

万一、子供が日焼けしてしまったときの対処法は?

冷たいタオルで応急処置!保湿剤も利用を

万が一、肌が真っ赤にほてるような日焼けをしてしまった場合は、冷たいぬれタオルを当てて痛みが治まるまで肌を冷やします。日焼けした肌は乾燥しているので、痛みが治まったら保湿剤を塗っておきましょう。日焼けから脱水を起こすこともあるので、水分補給も大切です。重症の日焼けは、やけどと同じです。冷やしても痛みが治まらないときや日焼け後に皮がむけてきたときは、皮膚科を受診しましょう。

 

記事監修

金井正樹|小児科医

東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。

イラスト/小泉直子 再構成/HugKum編集部
出典:『めばえ』2015年5月号

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