子どもが小さいうちに、家族で世界に一冊の絵本づくりにチャレンジしてみませんか。大好きなお絵かきの延長で、絵の具をつけた手形や足形を絵本にまとめれば、子どもの貴重な成長記録にもなります。また、小さくなってしまった洋服をコラージュに使うアイデアも。絵本作家の中川淳さんファミリーに教えていただきました。
手作り絵本アイデア1:家族の手形と足形で成長記録の絵本を作ろう!
ペタペタ手形足形をスタンプするだけ!
手のひらや足の裏に絵の具を塗ってペタペタとスタンプ。紙の上に自分の手形が現れると子どもも大人も大興奮。夢中になって遊びます。手形や足形を絵本にまとめれば、子どもの貴重な成長記録にもなります。家族全員で楽しみましょう。
子どもはカラフルな絵の具を使った遊びが大好きです。むしろ大人のほうが消極的。特に絵心のない人は、筆で描く絵画となると、気後れする人も多いでしょう。そこで、手や足に絵の具をつけてスタンプする、手形、足形絵本を紹介します。これなら輪郭線を描く必要がなく、デッサンが不得意なお母さんも気楽に作品を仕上げることができます。
表現は自由です。子どもの手のひらに数色塗ってカラフルにスタンプしたり、手形を組み合わせたり。指の形やしわ、ふくらみなどを利用して、人間や動物などを表現するのも一案です。人間の身体はすでに造形として完成されているので、工夫を凝らさなくてもそのままの形で十分、見栄えがします。子どもの感性を生かすと、さらにおもしろい作品に仕上がるはずです。
子どもが自由に手形を押して作った作品。厚めの用紙で製本すれば、立派な絵本に。
足の裏に絵の具を塗ってスタンプ。造形的に洗練された足形は、そのままでも見栄えがします。
用意するもの
画用紙(B4サイズぐらい)、水彩絵の具、クレヨン、絵皿、筆、はけ、筆洗、筆拭き布、スプレーのり。ほか、製本用台紙とリボン。
作り方
1、親子3人の姿を手形で表現してみましょう。あらかじめどんな作品にするか考えて、絵の具を手のひらに塗ります。
2、大きめの画用紙に子どもの手形を押します。絵の具は子どもがなめても害のない絵の具を使いましょう。
3、お父さん、お母さんの手形を作ります。手のひらのふくらんだ部分を髪の毛に、指の部分で人間の手足を表現します。
4、子どもの手形の横に、お父さんお母さんの手形を押します。絵の具が乾かないうちに素早く押すのがコツです。
5、親子3人の手形を押した用紙の裏にスプレーのりを吹きかけ、製本用の台紙に貼り付けます。
6、手形の上に、クレヨンで目や口、鼻を描き、親子3人が手をつないでいるシーンを表現します。
完成、ひと言文章を添えて製本すれば、手形絵本のできあがり。絵が苦手な人も失敗なく作れます。さまざまな色を試しながら、親子で楽しく作りましょう。
手作り絵本アイデア2:家族の想い出が詰まった品で、思い出絵本を作ろう!
もう着られなくなった服や帽子などを材料にコラージュ
家族の想い出が詰まった品で、絵本を作ってみましょう。着られなくなった子ども服は、格好の絵本の材料になります。服をカラーコピーして使えば失敗しても安心。何度でもいろいろなパターンで絵本作りが楽しめます。
子どもの成長とともに着られなくなった洋服や帽子。タンスの奥に追いやられた衣服のなかには、捨てるにしのびないほど、想い出が詰まった品もあるでしょう。そんな大事な衣類を一冊の絵本にまとめてみるのはいかがでしょうか。ここでは洋服や帽子をカラーコピーして、絵本の素材にしてみました。
ポイントは、子どもが描いた絵と組み合わせて作ること。洋服のコピーをさまざまな形に切り抜いて、絵に合わせてコラージュ。きれいな柄や布の風合いを生かしてデザインしてみました。紙を〝ちぎる、貼る〟などの単純作業は小さな子どもでも簡単にできます。できるだけ子どもに作業の場を与えて親子で楽しみながら作ってみてください。想い出の品々が絵本のなかで躍動し、家族の宝物となるでしょう。
用意するもの
子どもの洋服や帽子など、思い出の品。画用紙、クレヨン、のり、はさみ。ほか製本用台紙とリボン。
作り方
1、子どもの洋服や帽子をコピー機にのせてカラーコピーします(プリンターでスキャニングプリントしても可)。
2、コピーによってできる布のしわや風合いがデザインに役立ちます。いろいろな部分をコピーしておきましょう。
3、子どもが描いた絵を用意します。その絵からイメージをふくらませて、絵本のデザインを考えます。
4、洋服にあるマークや文字、ワンポイントイラストなど、素材になりそうな柄をあらかじめ切り抜いておきます。
5、デザインのイメージが決まったら、カラーコピーの色や柄を選んで、切り絵を製作します。
6、ここではクレヨンで描いた絵に4、5のパーツをコラージュして、子どもが遊んでいる様子を表現することにしました。
7、カラーコピーを切り抜いて作った帽子や洋服にのりをつけて、子どもの絵の上にバランスよく貼っていきます。
完成、想い出の品である帽子とTシャツで作った作品。2才のいつきくんがクレヨンで描いたものに4、5のパーツをコラージュしました。子どもが手でちぎった切り絵を使うと、さらにおもしろい作品になります。いろいろと工夫を凝らしてみましょう。
指導してくださった先生
中川 淳さん
1977年生まれ。絵本作家、イラストレーター。常に子どもが楽しめる絵の技法を用いて作品を製作。著書に『ぼくとギル』(ネット武蔵野)、『ドングリトプスとマックロサウルス──コラージュとフロッタージュのおはなし』(水声社)。
モデル/淳さんの奥様葉子さんといつき君2歳。
取材・構成/松浦裕子 撮影/茶山 浩