子どもの「好奇心」の伸ばし方は?家庭でできる方法をハーバード教育大学院卒5児のパパに聞いた!

教育と訳されるeducation の語源はeduce。「能力や可能性を引き出す」という意味です。本来の意味を知る福沢諭吉はeducation を「発育」とすべきと主張したそう。「教える」から「引き出す」へ。この連載では、教える側ではなく学ぶ側を主体とした「発育」をコンセプトに最新の教育事情を紹介します。

子どもが自ら探求する!「好奇心」の伸ばし方

子どもが変化の激しい時代を生きぬく力をつけるために、親ができることとは、どんなことでしょうか?  そのヒントは、子どものすべての力のもとになる「好奇心」を伸ばす子育てにあるようです。

「今、日本の子どもたちに最も足りていない力、欠けている力はなんでしょうか? それは、好奇心、そして好奇心をもって自力で学び続ける力です」

そう語るのは、独学だけで東京大学に合格し、卒業後はハーバード教育大学院で世界の教育を研究。現在、日本財団で子どもサポートチームの責任者を務める本山勝寛さんです。5児の父でもある本山さんは、好奇心を、「自力で学び続けるエンジン」であるといいます。

「これまで日本の教育や子育てでは、知識を増やしたり学力やIQ(知能指数)を伸ばしたりすることに一生懸命でした。そのおかげで国際学力調査では、日本の学力は上位グループにあるにもかかわらず、子どもたちはとくに数学や科学がきらいで、年齢を重ねるごとに本を読まなくなる傾向があります。それは、日本における勉強が、大学受験に向けて〝しかたなくさせられるものであり、自ら興味や関心をもって取り組んでいるものではないこと〟が理由のひとつにあげられます。大学生や社会人になると、学びをやめてしまう。日本が今、国際社会で伸び悩んでいるのは、そういった要因があるのではないかと思うのです」

長男との「ザリガニ釣り」から得た確信

本山さんは大学院での研究に加え、自らの子育ての実体験によって、好奇心の重要性を確信したのだとか。

「長男は生き物が好きで、よく近所の公園に出かけて一緒にザリガニ釣りをしていました。最初の半年は何度やっても釣れませんでしたが、ある日、父である私が先に成功しました。そのとき息子は喜びつつも悔しがっていたので、自分の力で釣れるようになるまで通い続け、そのうち手助けがなくても何匹も釣れるようにまでなりました。息子はこの経験によって、あきらめない気持ちと、餌を工夫するなどの戦術的思考、やればできるという達成感を身につけました。その後も毎週のように通い、その公園では『ザリガニ釣り名人』として知られるようにまでなりました」

ザリガニへの興味はその後も続き、図鑑で種類や飼い方を調べ、観察日記もつけるようになったという息子さん。自由にテーマを決めて話すという小学校の授業では、ザリガニ釣りの経験をスピーチするなど、好奇心が原動力となっていろいろな学びや探求心につながっていったと、本山さんはふり返ります。

叱る「矯正」よりも、褒めて「伸ばす」

「長男は、幼少期は集団生活が得意なほうではありませんでしたが、自分の好きなものには集中して打ち込めるタイプだったので、そこを伸ばしてあげようと考えるようになりました。ザリガニ釣りのような体験を増やして自信をつけたこともあり、小学校に入ってからは社会性を身につけていきました。親は、他の子と比較して子どもの良くないところ、できていないところを見つけて叱ることはしますが、良いところを見つけ、褒めることをなかなかしません。子どもが好奇心をもって学びを深めるためにも、親がよく見て、良いところを認めて伸ばしてあげることが非常に大切です」

「好奇心は自力で学び続けるためのエンジンです」

好奇心を伸ばすというと、「子どもに好きなものや興味がない」と考える親御さんもいるかもしれません。それに対して本山さんは、親が深く考え過ぎなければ、何かしら好きなものが必ずあるといいます。

「例えば、お菓子が好き、何かのキャラクターが好きといったことだって立派な好奇心です。お菓子が好きな子だったら一緒にお菓子づくりや料理に挑戦させてあげてもいいし、一緒にやるのが大変だったら子どもだけでできる知育菓子を買ってあげてもいい。キャラクターが好きになったら、その図鑑を用意してあげることで好奇心を伸ばすサポートができます。我が家でも、ドラえもんのひみつ道具図鑑や鬼滅の刃の公式ブックを用意するなどして、子どもが自分で調べて興味を深められる環境をつくっていました。調べて発見したことを絵日記に書くなど、読み書きを絡めることにより、さらに学びを深められます」

有益な方向に「仕向ける」好奇心ではなく

大切なのは、子どもが何かを表現することを親がサポートするという意識。それが直接勉強につながらなかったとしても、子どもの好きなものに親や周りの大人が共感をもってツールや環境を用意し、子どもが自ら好奇心を深める体験をさせることが大事なのだとか。楽しいと感じながら学んで身につけた力は、変化の激しい時代においても、子どもの強みになりそうです。

「未来を完璧に予想することはできませんが、社会がどう変わろうと、どんな環境でも学び続ける好奇心をもち、自らの内側に学びのエンジンを備えた人は、変化に対応しながら成長し続けることができます。好奇心や学びのエンジンは、遺伝的に備わっているものだけでなく、意識して育てることができるもの。これからの時代に備えるためにも、子育てにおいて意識して育んでいきましょう」

親子で楽しむ好奇心アップホームワーク

生き物や植物の「観察ノート」をつける

生き物や植物の成長をノートに記すことで観察力が磨かれます。絵や言葉で残すことで成長や育成のプロセスを振り返ることができ、成し遂げた成果も実感できます。

「本の読み聞かせ」で言葉が好きな子に

寝る前の本の読み聞かせの習慣は、誰でも短時間でできる最強の教育法です。言葉に対する好奇心を伸ばすだけでなく、親子の絆が深まって子どもの安心感にもつながります。

手紙交換で思いを言葉にする力を養う

伝えたいことを言葉にしたり、気持ちを共有できたりする手紙交換は、読み書きを勉強ではなく自分事にしてくれます。忙しい親子のコミュニケーションツールにも最適。

成長をグラフにして数字を身近に

電車の時刻表、スポーツの成績など子どもの好きなものと数字を結びつけることは算数への好奇心につながります。成長をグラフにするなど日常生活に取り入れるのも◎。

記事監修

日本財団子どもサポートチームチームリーダー兼人材開発チームチームリーダー。
本山 勝寛

小中高と公立学校に通い、独学で東京大学工学部、ハーバード教育大学院に合格。5児の父。著書に『自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て』(大和書房)ほか多数。

本山勝寛大和書房1,400円+税

ハーバード教育大学院卒の5児のパパが教える!子どもの「好奇心」を伸ばし、才能を育むためのシンプルなメソッドが満載!

「発育のススメ」は『小学一年生』別冊HugKumにて連載中です。

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

『小学一年生』2021年4月号別冊『HugKum』 構成・文/山本章子 イラスト/谷端 実

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