子供の脳を育てる食事のマスト知識!タンパク質の摂取は「アミノ酸スコア」を目安に

Hugkum編集部で取った食のアンケートで「お子さんに作る料理でもっとも重視しているポイント」を聞いたところ、回答で一番多かったが「栄養バランス」でした。成長期の子どもの食事に大事な栄養素の「知っていると差がつく」知識を、「育脳ごはん」のパイオニア・管理栄養士の小山浩子さんに伺いました。

 

脳と体の発達のために、まず、「タンパク質」をしっかり摂ることを心がけて

私が講演会などで「栄養バランスを考えて食事を作っている」というママたちに、どういう点に気をつけているのかを聞くと、「味付けが濃くならないように塩分を控えめにしている」「野菜を沢山食べられるような工夫」という声が多いですね。もちろん大事なことなのですが、成長期の子どもにとって、まず、意識をしてほしいのは、「タンパク質の摂取」です。

タンパク質は、糖質、脂質と並ぶ三大栄養素の一つ。私たちの体に欠かせない栄養素です。筋肉、血液、臓器や髪の毛をつくる働きがあることは皆さんご存じだと思います。細菌やウィルスから体を守る力もタンパク質によってつくられます。そして、脳を構成する要素の40%がタンパク質です。脳も体も、子どもを健やかに成長させるに欠かせない要素なのです。

タンパク質が不足すると、体力・記憶力が低下します

一日に摂取したいタンパク質の量(推奨量)は、1~2歳で20g、3~5歳で25gです。肉の場合、種類や部位にもよりますが、およそ100gが目安となります。

タンパク質の摂取ができていないと、どういうことが起こるのでしょうか。筋肉量が低下、疲れやすくなり、免疫力も低下するので、病気にもかかりやすくなるなど、様々な体調不調を招きます。また、タンパク質は脳を構成する要素でもあります。不足してしまうと、神経伝達物質を作り出すことができなくなってしまい、記憶力の低下が起こると言われています。

 

良質なタンパク質がわかる「アミノ酸スコア」とは?

タンパク質は、20種類のアミノ酸の組み合わせによって構成されています。20種類のうち一つでも欠けてしまうと、タンパク質は作ることができません。

タンパク質の栄養価を表す「アミノ酸スコア」

アミノ酸には、体内で合成できるアミノ酸と、合成できないアミノ酸があり、合成できないものは、食品から摂取する必要があるということで「必須アミノ酸」と呼ばれています。タンパク質を構成するアミノ酸20種のうち必須アミノ酸は9種。

食品に必須アミノ酸の含まれる値を示すのが「アミノ酸スコア」です。タンパク質の栄養価は、アミノ酸スコアを使って表します。「アミノ酸スコア」は上限を100とし、数値が高いほどバランスよく栄養価に優れたタンパク質を含む食品と考えられています。

アミノ酸スコアが高い動物性食品、乳製品、豆類の摂取を意識しましょう

アミノ酸スコア100の食品

牛乳 ヨーグルト
鶏肉 豚肉 イワシ アジ

アミノ酸スコア90~99の主な食品

サーモン 98 さんま 96 豆腐 93 枝豆 92
おから 91

不足しやすいタンパク質。毎回の食事での摂取を心がけて

アミノ酸スコアの高い食品を取れば、良質なタンパク質が取れる、と思われるかもしれませんが、毎日、肉だけ、魚だけ、卵だけ、などと偏った食事になると、脂質やコレステロールの摂りすぎになり栄養バランスが崩れてしまいます。

主食となる、米やパン、野菜は、必須アミノ酸自体は含まれているものの、アミノ酸スコア100の食品と比べると栄養バランスが悪いのですが、アミノ酸スコアが低いからといって、食べなくてよいというわけではありません。主食となる米やパンには炭水化物が、野菜には、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。

炭水化物はエネルギー源として必須ですし、ビタミンやミネラルも体調管理、脳を働かせるためには欠かせない栄養素です。

私たちの体は、常にタンパク質を消化・分解し、アミノ酸として吸収しています。一度に吸収されるタンパク質の量には限りがありますし、常に、分解と消費が繰り返されるので不足になりがち。毎回の食事での摂取がとても大切なのです。

成長期の子どもの食事には、良質なタンパク質を多く含む、肉・魚・卵・乳製品・大豆をうまく取り入れながら、バランスをとることを心がけてください。

             日本食品標準成分表2021 八訂
https://hugkum.sho.jp/223240

教えてくれたのは

小山浩子|管理栄養士

大手食品メーカーを経て2003年にフリーに。料理教室の講師やメニュー開発、特に育脳レシピを数多く手がける。2014年『目からウロコのおいしい減塩「乳和食」』(主婦の友社)で、グルマン世界料理大賞を受賞。著書に『子どもの脳は「朝ごはん」で決まる!』『かしこい子どもに育つ! 育脳離乳食』(小学館)など多数。最新著書は『やる気と集中力を養う3~6歳ごはん』(池田書店)。公式ホームページ

イメージカット/繁延あづさ 構成/Hugkum編集部

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