今日は2007年から認定された8月9日の「ハグ」の日。毎年この日には、ハグを推進するキャンペーンがあちこちで開催されています。前篇ではハグを推進する日本チャイルドボディケア協会代表の蛯原英里さんにハグの驚くべき効能について伺いました。今日は蛯原さんご自身がハグをする中でできた目標や、オススメの絵本について話していただきました。
蛯原恵里さんが語る、ハグがくれる親子の時間
1日に10回ハグってほんと!?
-毎日、娘さんと10回以上は「ハグ」をするという蛯原さん。ハグの大切さをご自身で実感するうち、もっとこの魅力を伝えたい!と思ったんだとか
そうなんです。ハグは無制限に、すぐに親子でできる一生の宝物だと思っています。ハグだけじゃなく、寄り添うとか、頭をポンポンとなでてもらうだけでもいから、海外みたいにスキンシップがもっと日常的になってほしい。
実は、スキンシップやふれあいが必要なのは赤ちゃん時期ももちろんですが、乳幼児期もより大切だったりするんです。その理由は、記憶を司る脳の“海馬”という部分が完成するのが2,3歳だから。「自分は大事にされている愛されている」って実感があれば、人にも優しくできる子になる。
ベビーマッサージもふれあいもハグも、子どもの「心」を育むことができるんです。それは子どもにとっても、ママにとっても最高のプレゼントになる。子どものなかに自己肯定感も育つし、何か失敗したり、壁にぶつかったりしたときにも、乗り越えられる力、折れない心を育てることにつながります。
-そうはいってもハグって恥ずかしい…と思うママに、おすすめの方法はありますか?
絵本とか歌とか、なにかきっかけになるものがあるとコミュニケーションが盛り上がりますよ。たとえば『だいすき ぎゅっぎゅっ』(岩崎書店)という絵本。娘と私みたいに毎日何度もハグをするうさぎの親子のおはなしですが、読みながらぎゅーっと抱きしめると、とても楽しい読み聞かせタイムになります。
あとは私が代表をつとめる日本チャイルドボディケア協会でも“だいすきぎゅっぎゅっ”のフレーズが入っている歌を作りました。娘もすぐ大好きになってくれて、いつも歌っています。
-協会の活動を通じてたくさんのママに会うことで、どんなことを感じていますか?
私は2015年に日本チャイルドボディケア協会を立ち上げ、年間1000組くらいのママ&ベビーとお話しをする機会があります。
本当に真面目なママが多くて、ネットで情報を調べ尽くしていたり、私の講座に参加してくれるときも、最初は眉間にシワがよってしまっていて、がちがちに緊張した状態でいらっしゃいます。そんなママの赤ちゃんは必ずといっていいほど体がこわばってかたくなっているんですよね。
「子どもとふたりでいるときに、どう接していいか分からない」という質問も多くいただきます。核家族が増えているから、ママに負担がかかっているんです。でも、そんなママにこそしっかりお伝えしているのが、「正解は目の前のお子さんの中にある」ということ。ネットなどで情報を調べるのではなく、子どもによって正解は100通りあるから、しっかり向き合って、触れて、ハグして、なでて、目と目を合わせて、ハートとハートを向かい合わせてふれあうことが大事。心が通じ合っていないと、いくらスキンシップをしていても意味がないと思うんです。
もちろん私自身もカンペキではないけど、いつもできるように練習中です。
『だいすき ぎゅっぎゅっ』
定価:1,100円+税
岩崎書店
取材/DAKKO編集部 撮影/田中麻衣