読者アンケートで3人に1人の子どもが履いている『瞬足』。なぜ足が速くなるの? 開発者に聞いた!

筆者が子どもと靴を買いに行くと、必ずと言っていいほどねだられる靴があります。カラフルな色と豊富なラインナップの「瞬足」です。筆者の息子たち(8歳と6歳)は、「瞬足じゃなきゃ嫌だ!」と言って譲らず、ほかの靴に見向きもしないこともしばしば……。実はHugKum編集部でも同じようなママが多数いることが分かり、読者アンケートを実施。そして、瞬足を製造、販売するアキレスさんに、疑問をぶつけてみることにしました! 知られざる瞬足の秘密をご紹介します。

読者アンケートで3人に1人が買っている事が判明!

子ども達から絶大な支持を得ている『瞬足』。HugKum読者の方に、『かけっこが速くなると言われている靴を購入したことがあるかどうか?』アンケートを行いました。

(※2021年8月・HugKumメールマガジン会員向けにアンケート実施。有効回答数 940人

アンケート940人大調査!40%のファミリーが『瞬足』を購入したことがあると答えました!

アンケート回答者の半分の方が「かけっこが速くなると言われている運動靴を買ったことがある」と回答。うち、『瞬足』を買ったことがあると回答したのは382名と、回答者全体の40に! アンケート回答者の3人に1人が『瞬足』を買っていることがわかりました。

『瞬足』の生みの親に、ママの疑問を全部ぶつけてきました!

発売から18年。今も子どもに支持され続ける『瞬足』について、開発から担当しているアキレス株式会社の津端さんに、お話をお聞きました。

『瞬足』を履くと速く走れるのはなぜ?

―『瞬足』を履くと速く走れるのは本当でしょうか。どんなギミックがあるのですか?

開発のきっかけは、足の速くない子を応援したかったから

津端さん:実は、当初から「速く走れる」とは言っていないんです。多くの方から“速く走れる靴”として認知いただいていますが、『瞬足』が生まれた背景には「足の速くない子を応援したい」という思いがありました。私自身、小さな頃に運動が苦手だったのですが、開発当初1年生だった私の娘も同じように運動が苦手。運動会は大嫌いでした。運動の苦手な子にも、走る喜びを味わってもらいたい、足が速くない子にも夢を与えられるような靴が作りたい、『瞬足』の根底にはそんな思いがあります。

コーナーに強い、左右非対称ソール

津端さん:小学校の校庭を調べてみると、一周が200m以下の学校が多く、そのぶんコーナーの角度がきつくなるため、曲がる時に横からの重力がかかります。しかも、土の上に砂が敷いてあるため、運動会の時にコーナーで滑ってしまう子がいますよね。スキーやスノーボードでは、回転をスムーズに進めるために滑り止め(エッジ)を板に付けています。そこから着想し、左足の外側と右足の内側に、滑り止め(ゴムのスパイク)を付けることでコーナリングがしやすいようにしました。滑り止めがあればコーナーでスピードが落ちることがなく、いつも最下位だった子も、4番、3番に上がれるかもしれない。そんなシーンを想像していました。

左右非対称って、体に影響はないの?

―左右非対称になっているとは知らずに買っていました。でも、足に悪影響を心配する声もあるようですね。

通常の歩行では、左右対称の靴と変わらない

津端さん:『瞬足』が発売されてから18年。実際そのような不安の声をいただいたこともあり、当社の商品開発センターで、実際に子どもに走ってもらい測定を行いました。『瞬足』の左右非対称ソールと、通常の左右対称ソールで足にかかる足圧を比較。立っている時、まっすぐに道を歩く時、走る時で比べてみると、左右非対称ソールと左右対称ソールでは、足圧が同じという結果になりました。また、10㎏の重さを入れてかかとを20度上げてみるとスパイクはフラットになります。走っている時、歩いている時、コンクリートなどの固い路面でもスパイク部分はへこんで平らになります。唯一違うところは摩擦係数。左右対称の靴と比べて、『瞬足』は摩擦係数が(土の上では)30%高いことがわかりました。つまり、校庭の土でしっかりグリップがかかり、コーナーを走る時に効果を発揮するわけです。現在、おかげ様で7,500万足売れていますが、左右非対称に関係するクレームは1件も来ていません。

津端さんが毎年運動会に足を運び、リサーチしてきた子ども達の靴の写真

足の成長に合わせた設計

津端さん:足の成長を心配する方には、むしろアキレスの子ども靴はオススメなんです。子どもの足というのは成長とともに形が変わってきます。赤ちゃんの時の台形から、長方形になり、やがてひょうたん型になっていきます。アキレスでは「足育(商標も取得)」設計といって、非常に時間と手間はかかりますが、子どもの成長に合わせてサイズ別に最適な設計値、木型(靴の土台)で靴を作っています。1つの木型を作って、後はサイズを拡大、縮小してしまうメーカーさんもありますので、そういったものと比べても安心して履いていただけると思っています。

 ―7,500万足! これまで多くの子ども達が履いてきたのですね。どんな反響がありましたか?

『瞬足』のおかげで速く走れた! 子ども達からの手紙は宝

津端さん: 発売から2年程たった時、小学生のお子さんをもつお母さまから「うちの子は足が遅くていつもビリでしたが、『瞬足』を履いたら3番になりました」というFAXが届きました。まさに私たちが目指していたことで、嬉しかったですね。そのほかにも、原稿用紙45枚にわたるお手紙をもらったことがあります。その中には「毎年『瞬足』を履いて運動会を頑張り、最後にはリレーの選手になって1番を取りました」という内容が書かれていました。その子には後日談があり、なんと大学で駅伝部に入ったそうです。こういった手紙は励みになりますし、会社で大切に保管しています。

原稿用紙5枚にわたり、『瞬足』への思いを伝えてくれた手紙

絶対『瞬足』がいい! と子どもが惹かれるデザインの秘密は?

―子どもが不思議なくらい惹かれる『瞬足』のデザイン。何か秘密があるのでしょうか。

子どもの好きな素材を使い、選べる楽しさも

渡邉さん:『瞬足』のメインターゲットは小学校低学年~中学年。人気があるのは、ツヤツヤした素材や、キラキラのパーツです。子どもが好きなカラーはアンケートを取っていますが、毎回、黒、赤、青が上位に来ることが多いです。ですが、限られた色だけを作ることはしません。子ども達にとって、たくさんの色の中から選ぶのが楽しいので、1つの品番でも3~4色くらいご用意しています。

ただ、子どもの欲しがるデザインと、親が買ってあげたくなるデザインは違うんですね。キラキラ系は履かせたくないけど、子どもが『瞬足』を履きたがる、という声もあります。そんな親御さんは、アパレルブランドさんの別注商品でしたら、落ち着いたカラーリングやデザインがありオススメです。

購入する時は幅もチェックして!

渡邉さん:『瞬足』は、色だけでなく足幅のバリエーションも豊富なんです。幅が足にあっていない靴を履くと、靴の中で足が動いてしまい、きちんと踏み切ることができません。靴底に表示があり、1E2E3Eなど数種類ご用意しています。足にフィットするもの選ぶことで、より『瞬足』の機能が活かせますので、デザインだけでなく足幅もチェックしてみてください。

『瞬足』が指名買いされる理由はたくさんあった!

左:アキレス株式会社 津端 裕さん 右:アキレス株式会社 渡邉 岳慶さん

子どもに寄り添った製品づくりが、気持ちをつかむ

アキレス株式会社、 津端 裕さん・ 渡邉 岳慶さんのお話を聞き、子どもが驚く程惹かれるワケは、子ども心&親心を理解して技術を織り込み、気持ちに寄り添った商品設計をしているからなのだと分かりました。『瞬足』には、たゆまず続けてきたリサーチや、幅広いラインナップで靴を買う楽しみまでも想像しての店頭作りのほか、鬼滅の刃とのコラボや、親世代も好きなアパレルメーカーさんとの別注企画まで、親子共々ツボにはまってしまう施策が満載でした!

そして「この靴を履いたら速く走れる!」というお守りのような存在であることも大きいですよね。運動会で1位を取ろうと意気込む子だけでなく、運動会が憂鬱な子も履いてみることで、前向きな気持ちで運動会を迎えてくれたらいいなと思います!

 

構成/HugKum編集部 取材・文/寒河江尚子

 

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