右手首欠損症の「ミニっち」の母として。美馬アンナさんが「障害のあるお子さんの子育て」で大事にしていること

HugKumでは、生まれ持って右手首の先がない「右手首欠損症」という形成不全の障害を持って生まれた「ミニっち」の母である、女優・ママタレントの美馬アンナさんに子育てについて伺いました。お子さんは、現在、1歳11ヶ月。子育てで大事にされていること、子どもへの想い、東京パラリンピックを観て思ったことなどインタビューさせてもらいました。

右手首欠損症の「ミニっち」が生まれたとき

美馬アンナさんは、千葉ロッテマリーンズの美馬学選手と2014年に結婚され、その後2019年10月に「ミニっち」を出産されます。

生まれる前までは、ミニっちが「右手首欠損症」という形成不全であることを知らず、産後大きなショックと不安でいっぱいになったそうです。

時には自分を責めることも。

そんなとき、夫の美馬選手から

「俺は右手のことが分かっていたとしてもアンちゃんに生んでほしいと頼んでいたよ。俺にとっては覚悟できていたか覚悟できていなかったかそれ位の差でしかない。それに俺はこの子が俺とアンちゃんの間に生まれてきて良かったと幸せにしてあげられる自信がある」

と言ってくれた言葉に救われ、日に日に現実を受け入れることができるようになったと語ります。美馬アンナさんのインスタより(@mima_79_anna

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また、「ミニっち」というニックネームは、美馬投手の愛称「美馬っち」をもじってとのこと。取材の日は、スタジオに一緒にミニっちも来てくれて、元気いっぱいに走りまわっていました。

子役だったアンナさんの幼少期は?

アンナさんの子育ての基本となっているのは、ご自身の母親の子育ての方針に大きな影響を受けていると教えてくれました。

Q. アンナさんはどのように育てられましたか?

※以下「 」内、美馬アンナさん談話

「私は、本当に親にあれしろ、これしろと言われた経験がなくて……。自分がやりたい!といったことを全力で応援してくれたんですよね。やりたいと言ったあとに途中で辞めたくなったと言えば、『じゃあ、辞めれば?』と干渉された経験が一切ないんですよ。

過保護にされた記憶もなくて……。

私は、子役として小学2年生のときから仕事をしているのですが、ほかの子はオーディションにお母さんと一緒に来ているのに、私のお母さんだけは来ないとか。もちろん、事前に行き方だけは教えてくれました。なので、当日は地図をみながらオーディション会場へ1人で行くんです。だから、お母さんがいないと何もできない、ということがなかったかも。いい意味で野放しだったなぁと思います」

障害のあるお子さんの子育てで大事にしていることは

ミニっちが大きくなるにつれて、人の目や世間からの差別に傷つくのではと不安を抱えながらも、アンナさんはご自身のお母さまの子育て法を受け継いで子育てをしていると話してくれました。

Q. 障害を持って生まれたお子さんの子育てで、大事にしていることを教えてください。

「私も母と同じで、とにかく過保護にならないこと、手をかけ過ぎないことを大事にしています。ほったらかし育児です。これは、もう0歳のときから徹底しています。

例えば、ミニっちが走って転んでも絶対に助けません。走ってどっかに行ってしまっても追いかけたりはしません。

また、障害を持っていると、どうしても何もできないと思われたり、人に助けてもらう場面が多いんですよね。

しかし、『やってあげるね』という親切に甘えて欲しくないんです。障害に甘えるダメ人間にならないよう、私が厳しくしないと!と思っています。

 

今、プレスクールに通っているのですが、先生にもミニっちが何かをやろうとしているときには、『どうしてもできないとき以外は、手助けをしないでください』と頼んでいます。本人も今のところ不便なことはないんじゃないかな?と思います。

ちょうど昨日、HugKumの中で【メンタルが弱い子の特徴は?】という記事を読んだのですが、メンタルが弱くなる原因に『過保護』、『親が自分の意見や価値観を押しつけている』などと書いてあり、改めて過保護にならないようにしようと思ったところでした」

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Q.障害については、どう思われますか?

東京パラリンピックを観ていたら、ある選手が『自分に障害がなかったら、パラリンピックに出られなかったので、障害に感謝している』と話したんです。それを見て、このようなメンタルを育てるにはどうやって教育をしていけばいいのだろうと考えさせられました。

障害を持っていると、人の目、世間からの嫌な声に合うと思うからこそ、負けないメンタルを持った子に育ってもらいたい。いつもどうしたらいいか考えています」

お子さんもプロ野球選手になってほしい?

お子さんの将来についても伺ってみました。

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Q. お子さんがもしも野球をしたいと言ったら、プロを目指して欲しいと思いますか?

「難しい質問ですね。これは、自分の中でも矛盾していると思うのですが、プロになってほしい、一番になってほしいとかは思わないですね。

自分がやりたいと言ったことは、楽しく最後までやってほしいなという想いはありますが、プロになれとは絶対に言わないと思います。夫を見ていて大変なのも分かっていますし、変なプレッシャーもかけたくないので。

ただ、途中で辞めたいと言い出したときは、最後まで自分の言ったことには責任を持ってほしいとは思ってしまいます。自分の母のように、辞めたいと言われたら辞めればいいと言えるような大きな気持ちで受け止めてあげられるかは自信ないですね。あ、辞めたいと言い出した時、理由を聞いて、納得できたらいいのかな……。

ミニっちの場合は、やれることとやれないことが出てくるので、やりたいということが見つかったというだけで幸せだなと思います。

昨冬ミニっちと雪遊びやソリ遊びをしたんですが、すごく楽しそうだったので、私の趣味の一つであるスノーボードを美馬っちがキャンプに行っている間に(笑)、今冬は楽しめたらいいなとは思っています♪」

お菓子をほおばるミニっち
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今後の目標は

アンナさんにこれからのことについても伺いました。

Q. これから挑戦してみたいことや、今の目標を教えてください。

「ミニっちが障害を持って生まれたことで、いろいろなきっかけをくれたので、障害を持って生まれた親子と関わる時間を作りたいです。

例えば、美馬っちが「野球教室」を開いたり、私が子ども達の未来や、親御さんたちの不安や悩みを解消できたりするようなことに常に挑戦していきたいと思いました。

というのも、ミニっちが障害を持って生まれたことを世の中に発信したことによって、こんなにも多くの人が悩んでいたんだ、ということに気が付いたからです。

私と同じ境遇のお母さんと出会って話したときに力になったので、今度は自分が共有や共感をして窓口になっていきたいと思っています」

HugKumでも美馬アンナさんの今後の活躍を応援させて頂きたいと思います。今日は素敵なお話ありがとうございました。

プロフィール

女優・タレント
美馬アンナ

1987年7月9日生まれ。神奈川県出身。夫はプロ野球「千葉ロッテマリーンズ」美馬学投手、1児の母。子役としてデビューし、現在はCM・広告、ミュージカル・舞台、映画、TVなど多方面で活躍している。2021年に念願のアパレルブランド「RITA select」を立ち上げる。レディバード所属。
公式Instagram:mima_79_anna

撮影/五十嵐美弥(小学館) 文・構成/HugKum編集部

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