メンタルが弱い子の特徴は? 克服して、折れない心を身に付ける方法

すぐに落ち込んだり、泣いてしまったり。わが子の繊細すぎる様子を目の当たりにすると、「うちの子、メンタルが弱いのかも」と心配になることもありますよね。何事にもポジティブに向き合えるような強い心は、どうしたら育んでいけるのでしょうか。本記事では、「メンタルが弱い」子どもにはどんな特徴があるのかを解説の上、何事にもポジティブに向き合える力や、折れない心を身につける方法をお伝えしていきます。

メンタルの弱い我が子が心配…

ほんの些細なことなのに、すぐに落ち込んでしまう。傷つきやすく、つねに保身が優先で、新しいことにチャレンジができない…。

このような子どもの様子に「うちの子はメンタルが弱いのではないか」と、不安を感じる親はきっと多いはず。ポジティブな考え方や、何事にも前向きに取り組めるような力は、どうしたら育むことができるのでしょうか。

子どものメンタルの弱さと克服についてリサーチ

そこで今回は、子どものメンタルの弱さと克服についてを調査。メンタルが弱くなりがちな子どもの特徴から、原因、克服方法までを解説していきます。

まずは、HugKum読者のご家庭に、「子どものメンタルの弱さが気になった経験」の有無をアンケート調査してみました。

Q.子どものメンタルの弱さが気になることはありますか?

回答では、一番多かったのが、『たまにある』(40.5%)、ついで『気になったことはない』(30.6%)、『ある』(19.0%)、最も少ない回答が『メンタルは強いほうだと思う』(9.9%)との結果に。『たまにある』『ある』を合わせると過半数を超えるように、子どものメンタルの弱さを気にした経験がある親は決して少なくないことがわかりますね。

また、回答に添えられたコメントには、傷つきやすいがゆえに諦めが早かったり、積極的に自分の意見を言えなかったりなど、お子さんの「メンタルが弱い」と感じた原因やエピソードの詳細が寄せられています。以下では、みなさんからのコメントを引用の上、ご紹介していきます。

「友だちの意見に振り回されて自分の意見が言えない」(30代・大阪府・子ども2人)
「体操教室などで一度失敗すると、次に同じことをやりたがらない。」(30代・神奈川県・子ども2人)
「友達と話をしていて、冗談で「イヤだよー」と言われて、嫌われてしまったと本気で落ち込んでいた。 横で聞いていて、完全に冗談で言っていると分かったのに・・・。」(50代・東京都・子ども2人)
「真面目な性格なのであまり先生に叱られたことがなく、たまに強い口調で注意されると落ち込んだり泣いたりしてしまう。 知らない子に声をかけるのが苦手で、頑張ったものの緊張から話しかけられず、帰宅後ずっと落ち込んでいた。」(30代・神奈川県・子ども1人)
「怒られることを極端に嫌っていて、クラスの他の子が叱られていることを自分も叱られているように感じてしまうことがある。」(50代・神奈川県・子ども1人)

【特徴・性格】どんな子が「メンタルが弱い」?

アンケートの回答に「傷つきやすいがゆえに諦めやすい」「真面目ゆえに何でも真に受けやすい」などといったエピソードが登場したように、「メンタルの弱さ」は、お子さんの性格や気質にも結びついていることがうかがえます。

ここでは、どんな子がメンタルが弱いとされる傾向にあるのか、その特徴をお伝えしていきます。

自分に自信がない

まず挙げられるのが、「自分に自信がない」タイプ。このタイプの場合、自分の短所ばかりを気にしてしまい「わたしにはきっとできない」と決めつけているせいで、何かに新しく挑戦できなかったり、引っ込み思案になってしまいがち。自分の意見や主張にも自信がないので、自己主張が苦手な傾向にもあるようです。

真面目で完璧主義

「真面目で完璧主義」ゆえに、自分の些細な失敗が許せず落ち込みやすい場合も。志が高いことは決して悪いことではありませんが、自分自身にプレッシャーをかけ過ぎてしまうと、それがストレスになってしまうこともあるようです。「完璧ではない自分=ダメな人間」とレッテルを貼ってしまうことで、何事にも消極的になっているパターンも多いと言われます。

ネガティブ思考

また、成功したときのことよりも失敗したときのことを考えてしまうなど、常にネガティブに物事を捉えてしまう「ネガティブ思考」も、メンタルの弱さに直結します。嫌われてしまうかもしれない、自分とは相性が悪いかもしれない、と何事も悪い方向に考えがちなので、交友関係も広がりにくいようです。

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【原因】どうしてメンタルが弱い子に?

では、上記に挙げたような「メンタルが弱い」とされる特徴・性格が形成されてしまうのはなぜなのでしょうか。ここではその原因を探ってみましょう。

親が過保護になりすぎている

子どもが失敗しないように先回りをしたり、本来子ども自身で解決すべき問題にも介入したりと、親が過保護になりすぎることは、子どもの心の成長のきっかけを奪っているかもしれません。

子どもが失敗や問題を自分の力で乗り越えていくことは、「失敗したけど乗り越えられた」という成功体験に繋がります。これは自信を育むためにも重要なプロセス。このプロセスを経験しないと、いつまでも自信が身につけられず、引っ込み思案になってしまうことも。

親が自分の意見や価値観を押しつけている

親の意見を押しつけてしまうことも、子どものメンタルの弱さを助長する一因に。

たとえば、自分の意思ではなく、親の意思によって習いごとをしている場合。つまずいたり、失敗したりする度に、親の理想と実際の自分との乖離を目の当たりにし、劣等感を抱いてしまうかもしれません。結果、「どうせわたしなんて」というネガティブ思考や自信の喪失に繋がることが想定されます。

兄弟や友達と比較されている

兄弟や友達と比較されることも、子どもの自信の喪失やネガティブ思考の原因として挙げられます。

たとえ、比較をされた上で褒められていたとしても、子どもとしては「自分の本質を見てくれていない」という感覚になってしまうかもしれません。そのことにトラウマを持つ可能性もあるので、誰かと比較をすることはできるだけ避けましょう。

生まれつきの気質が関係している可能性も

ただし、メンタルの弱さは生まれつきの気質が原因になっている場合も。中でも、「HSC(Highly Sensitive Child=人一倍敏感な子)」と呼ばれる性質は、5人に1人と言われるほど、多くの子どもが持つもの。

この性質の子は、人一倍感受性が強く敏感なので、心身に疲れを溜めやすいと言われています。無理に心を強くしようと働きかけると、それをストレスと感じてしまうことがあるので、まずは親が子どもの性質をしっかりと受け止めて、HSCについてよく知る必要があります。

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子どものメンタルの弱さを克服するには

たとえ子どもの「メンタルの弱さ」が生まれつきだったとしても、前向きに考える力を後天的に身に付けることは決して不可能ではありません。ここでは、子どものメンタルの弱さを克服するために、親としてやっておきたいことをお伝えしていきます。

子どものありのままの姿や感情を受け止める

落ち込みやすかったり、くよくよしやすかったりしても、まずは子どものありのままの姿を受け止めましょう。自分のネガティブな一面を親に理解し受け入れてもらえたことは、自己肯定感にも繋がります。不安感が長引くようであれば、さらに「大丈夫」と安心感を与えてあげましょう。

ありのままを受け止めた上で、応援する

また、ありのままの姿を受け止めた上で、たとえば「つらいけど、大丈夫。まずは〇〇からはじめてみよう」とその後の応援をしてあげることも大切です。

どうすれば目の当たりにしている状況を打破できるのか、対策を共に考えることも◎。自分の意見を押し付けない程度に共に考え、背中を押してあげましょう。自分で考え抜いた上で一歩を踏み出せば、その行動自体が今後の自信に繋がるはず。

失敗しても、がんばったことを認める

子どもが「親に認めてもらいたい」と思うことは自然なことです。しかし「一位になった」「賞を獲った」といった結果がないと認めてもらえないと子どもが感じている場合、いつまでも自己肯定感が育まれない場合があります。

失敗したとしても、がんばったことや伸びたことをしっかり認めてあげることで、困難にも前向きに立ち向かえるような心が育まれていくはず。

子どものメンタルの弱さを克服したママパパの体験談

では、実際のご家庭ではどのような方法でお子さんの「メンタルの弱さ」を克服しているのでしょうか。Hugkum読者のご家庭にアンケート調査をした結果、お子さんと根気強く向き合ったことで克服に至った体験談が寄せられました。

以下では、みなさんからの体験談を引用の上、ご紹介します。

「子供の話をひたすら聞いて言い分を受け止める事を繰り返している。割り切ることがだんだんできるようになってきている。自分の考えや行動を認められるようになってきつつある。」(50代・大分県・子ども1人)
「ゆっくりでいいと言ったり、少しでも進歩したらたくさん褒めたり励ました。できなかったことが少しずつできるようになった。」(30代・神奈川県・子ども2人)
「できなくても経験して回数を重ねる。人前で話したり何かをすることができるようになっていると感じる。」(30代・神奈川県・子ども1人)
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子どもの折れない心を育てるために

メンタルの弱さを克服すると同時に、子どもの「折れない心」もしっかりと育んでいきたいもの。様々な困難にも負けない心を身につけるには、やはり「わたしなら大丈夫」と自分を信じられる「自己肯定感」を高めることが大切です。

では、「自己肯定感」を高めるには、どのようなことをしていけばいいのでしょうか。

努力のプロセスを褒める

子どもの自己肯定感を高めるために重要なことのひとつは「褒める」こと。ただし、褒める材料には注意する必要があります。たとえば、先述したように、他人と比べて褒めたり、「1位になった」「賞を獲った」などの結果だけを褒めるのは逆効果。結果に至るまでの努力のプロセスや、たとえ失敗してしまったとしても、子どもがどのように頑張ったのかをしっかり観察し、褒めてあげましょう。それが「また頑張ろう」と思える活力の源になるはずです。

完璧を求めない

子どもに期待を持つことは、決して悪いことではありません。けれども、それが子どもにとって大きなプレッシャーとなってしまうと、裏目に出てしまうことも。失敗したときの自信喪失や自己否定に陥る原因ともなりかねないので、子どもに完璧を求めすぎるのはやめましょう。

また、どうしてもできないことや、時々落ち込んでしまうことを子どもの「個性」として受け入れることも、時には必要です。

「得意分野」を見つけ、伸ばす

なにかひとつ「得意分野」を見つけ、伸ばしていくことも子どもの自己肯定感を高める大切な要素です。

たとえば「音楽が得意で、ピアノが弾けるようになった」など。自分の取り柄を見つけて伸ばしておけると、他の科目で困難に直面したときも、ピアノが弾けるようになるまでの努力の経験を思い出し、前向きに取り組むことができます。まずは、お子さんはどんなことが得意か、じっくり考えてみましょう。

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まずは、わが子がどんなことに「辛い」と感じているのかを振り返りましょう

なにかを「辛い」と感じる度合いは、子どもによって異なります。子どものメンタルに問題を感じる場合、まずは、わが子がどんなことに「辛い」と感じているのか、どんなときに落ち込んでいるのかをじっくり振り返ってみましょう。その上で、今回ご紹介した方法の中でも、お子さんに適したやり方で自己肯定感を育めるようなアプローチをしていくことが大切です。

 

構成・文/羽吹理美

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