過干渉な親にならないためには? 子どもに与える影響と改善方法を紹介

子育てをしていると、自分が過干渉なのではないかと不安になってしまう人もいるでしょう。過干渉な親には、どのような特徴があるのでしょうか?  子どもに与える影響や過干渉にならないための方法を紹介します。

過干渉とは?

「過干渉」という言葉を聞いたことがあっても、どのような状況を指すのかよく理解していない人もいるかもしれません。そもそも過干渉とはどのような意味なのでしょうか?

また、過干渉と並んで親子の関係性を指す「過保護」という言葉があります。それぞれの意味について見ていきましょう。

必要以上に干渉すること

「過干渉」の意味は、漢字が表わす通り「干渉し過ぎること」です。人間関係において、他人の物事に立ち入って口を出すことを「干渉」といいますが、親として未熟な子どもに干渉することは、悪いことではありません。

しかし、親が手を出す必要がないことや、子どもが望まないことにまで関わろうとすると過干渉になります。

子どもの気持ちを考えずに口を出したり、自分の思い通りに支配したりすると、子どもには大きなストレスとなり、度が過ぎると虐待に捉えられるケースもあります。

過保護とは意味が異なる

「過保護」という言葉もありますが、過保護と過干渉では意味が異なります。

過保護とは、欲しがる物は全て与えたり、苦手なことをやってあげたりして、子どもを甘やかし過ぎることです。

子どもをかわいがる気持ちから、希望することは全てかなえようとすると、過保護になってしまいます。

つまり、子どもの要望をかなえようとしてさまざまなことをやり過ぎるのが「過保護」、子どもの気持ちを尊重せず望まないことまでやり過ぎるのが「過干渉」です。

どちらも「子どもに手をかけ過ぎる」という意味では同じですが、子どもの気持ちを重視しているかどうかが大きな違いといえます。

保護も干渉も、子育てをする際には必要なことです。しかし、どちらにしても度が過ぎるとデメリットのほうが大きくなってしまいます

過干渉な親の特徴

自分の子どもへの接し方は、なかなか客観的には見られません。人によっては過干渉になっていないかと、不安に思うこともあるでしょう。

では、過干渉な親にはどのような特徴があるのでしょうか?  自分の行動と比較しながら、チェックしてみましょう。

子どもに意見を言わせない

過干渉な親によく見られるのが、子どもに意見を言わせないようにすることです。

例えば、学校の先生や医者などの第三者が、子どもに対して問いかけをしているにもかかわらず、親が先に返事をしてしまうケースがあります。

子どもが口下手でうまく答えられない場合もありますが、そうでなくても親が先に話し始めてしまうため、子どもは話す隙がなくなってしまいます。

子どもが伝えられない気持ちを親が代わりに話すというより、勝手に気持ちを決めつけてしまうのです。

また、親子で会話をしているときにも、子どもの話を聞かなかったり、話を途中で遮ったりして、自分の意見を押し付けてしまうこともあります。

交友関係を勝手に決める

子どもは成長するにつれ、保育園や学校、習い事などで友達ができます。普通であれば気が合う子同士が仲良くなっていくものですが、交友関係に口出しをするのも過干渉な親の特徴です。

「○○ちゃんと仲良くしてはダメ」「○○くんと遊びなさい」などと言い、親が気に入る子とだけ仲良くさせようとします。

ほかの子と仲良くしたいと思っていても、子どもの意志は関係ありません。「○○ちゃんのママはいじわるだから」「○○くんは乱暴だから」など、親の好みや希望を優先させてしまうのです。

親と違う考えは許せない

子どもが自分と違う考えを持つことが許せないと考えるのも、過干渉な親の特徴です。本来ならば、子どもであっても別の人間である以上、親と全く同じ考えを持つことはありません。

しかし、それを受け入れることができず、親である自分の考えが最も正しく、子どもも自分と同じように考えるべきと思い込んでしまうのです。服装の趣味や習い事の好みなど、ささいなことでも自分と違うことが許せず、その考えを強制的に変えさせようとするケースもあります。

その結果、「○○しなさい」「○○してはダメ」などと、命令口調になってしまうことも少なくありません。

口癖は「あなたのため」

子どもへアドバイスを行う際に「あなたのため」と言うのが、過干渉な親の口癖です。もちろん、本当に子どものためになっていることもあるでしょう。

しかし、「あなたのため」と言いつつ、親の思い通りに子どもを誘導しようとするのが過干渉な親の特徴です。

子どもとしては「あなたのため」と言われると、反発しにくくなります。親も子どもが逆らわないように、わざと言っている場合もあるでしょう。

しかし、「自分のしていることは子どものためだ」と心から思い込んでいる人もいます。

過干渉な親になってしまう理由

子育てをしていると、気づかないうちに過干渉になってしまうケースも少なくありません。では、過干渉な親になってしまうのには、どのような理由があるのでしょうか?

子どもと一心同体だと思っている

自分と子どもが一心同体だと思っている親は、過干渉になりやすい傾向があります。

自分が産んだ子どもを、分身のように感じてしまうことは少なくありません。しかし、子どもが成長するにつれ、自分とは別の人間ということを自覚して、気持ちを尊重できるようになります。

ところが、全ての親がそうなるとは限りません。子どもが成長したにもかかわらず、自分と同一視してしまうと、望まない言動や違った考えを持つことが許せなくなってしまいます。

子どもを独立した一人の人間だと認識できないために、思いを過剰に重ねてしまうのです。

親自身も過干渉を受けて育った

親自身が過干渉な親に育てられたことで、無意識に同じ道をたどってしまうケースもあります。

ほかの家の親子関係がどのようになっているかは、外から見ているだけではなかなか分かりません。そのため、自分の親子関係が特殊であることには気づかず、当たり前だと思ったまま大人になってしまうのです。

親は自分の子ども時代と同じようにしているだけで、そこに違和感を覚えることはありません。また、親が過干渉だったと分かっていても、気づかないうちに親と同じような行動をしてしまうこともあります。

過干渉な親に育てられた子どもの特徴

親の「育て方」は、子どもの成長に大きな影響を与えると言っても過言ではありません。過干渉な親に育てられた子どもには、どのような特徴があるのでしょうか?

自分で物事を決断できなくなる

親から意見を押し付けられて育った子どもは、自分で物事を決断できなくなってしまいます。

幼い頃から、親の言う通りにするのが当たり前の状況が続くことで、だんだん自分の意見を持たなくなってしまうのです。

また、自分の発言を否定され続けると、心の中で思うことがあっても、何か発言しようという気持ちが薄れてしまいます。

一人で決断しなければならない場合になっても答えを出せず、考えを言葉にすらできなくなるかもしれません。

責任を他人に押し付けるようになる

過干渉な親の元で育つと、子どもはいつも指示されたり命令されたり、ほとんどのことに従って過ごすことになります。

自分で決めることなく、常に人の指示で動いていると「行動に責任を持つ」という経験ができません。

その結果、何が起こったとしても「自分が決めたことではないから、自分のせいではない」と考え、物事に対して責任感が生まれなくなってしまうのです。

大人に成長しても、何かトラブルが起こったときは、誰かに責任を押し付けるような行動を取ってしまう可能性があります。責任転嫁が当たり前になると、人間関係にも影響が出てくるでしょう。

親の顔色をうかがうようになる

親の言う通りに行動するのが当然だと思って育つと、何をするにも親の顔色をうかがうようになります。

「自分がどうしたいか」よりも「親がどう思うか」を優先し、子どもが本当にやりたいことを選べなくなってしまうのです。

このような経験が積み重なると、友人との関わりや会社の人間関係でも同じような影響が出る場合があります。自分の気持ちを主張できず、嫌われないようにと、人に合わせるのが当たり前になってしまうかもしれません。

過干渉な親にならないためには?

子どものことを考えると、ある程度の干渉は必要ですが、過干渉になることはよい状態とはいえません。過干渉な親にならないために、気を付けたいポイントを紹介します。

子ども自身に選択させる

子ども自身にどうしたいかを考えさせ、自分で選択させるように心がけましょう。

もちろん悩んでいるときには、アドバイスをしたり、相談に乗ってあげたりすることは大切です。しかし、最終的な決断には親が口を出さないようにし、自分で選んだという意識を持たせましょう。

親としては、子どもが決めたことに不安があったり、納得できなかったりするケースもあるでしょう。

それでも、自分で考えて選んだことであれば「たとえ失敗しても受け入れる」という責任感が生まれてくるはずです。

先回りせずに見守る

子どものやりたいことや、やらなければならないことを親が先回りするのではなく、自分でできるようになるまで見守ることが大切です。

子どもの性格によってはなかなか決められなかったり、物事を始めなかったりして、イライラしてしまうこともあるでしょう。しかし、そこで親が手や口を出してしまうと、自立心が育たなくなります。

子どもが何をしたいのかが分かっても、どうしたいのかを自分の口から言わせるようにするのがポイントです。そのような体験から、自己主張をすることや、さまざまな物事を自分で考えることを覚えていきます。

何か困っていて助けを求めることがあったら、親はいつでも協力できる態勢を整えて見守りましょう。

子育て以外のことに意識を向ける

親自身が子どもにばかり気を取られ過ぎていると、過干渉になってしまう可能性があります。

「自分はこれだけ子どものためにがんばっている」と親の方が依存しているような状態になり、過干渉を加速させることにもなりかねません。

もちろん子どものことは大切ですが、子育てだけに集中し過ぎないよう、他のことにも意識を向けてみましょう。

仕事に集中したり、趣味の時間を持ったりすれば、自分のことを考える時間が生まれます。子どもと少し距離を置くことで「子どもと自分は別の人間だ」と認識するきっかけになるかもしれません。

子どもの自立心を育てよう

親にとって子どもは大切な存在であり、心配する気持ちから口を出したくなるのも当然です。しかし、子どもの将来を考えれば、親がずっとそばにいて守ってあげられるわけではありません。

子どもが成長して親から離れたとき、健やかに過ごせることを考えるなら、過干渉はデメリットになります。干渉し過ぎないよう適度な距離感を持ち、自立心を育ててあげましょう。

 

文・構成/HugKum編集部

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