文科省もおすすめ!「キッズペイ」から始めるマネー教育。FPおすすめの取り入れ方とは

お子さんにマネー教育はしていますか?「おこづかいはまだ早い気が…」「何からすればいいか分からない」など、必要なことと分かりながらも、なかなか始められないママパパも多いのではないでしょうか。そこで、子どもにお金の大切さを教えてくれるキッズマネースクールの武田務先生にご家庭で楽しく取り組める「キッズペイ」や、自身のお子さんへのマネー教育についてお話を聞きました。

楽しく学べる「キッズペイ」ってなに?

キッズマネースクールのHPからダウンロードすることができる「キッズペイ」は文部科学省のホームページの中の『子供の学び応援コンテンツ』にも掲載されています。例えば「掃除を手伝ったら100キッズペイ」「ドリル1ページで50キッズペイ」など、毎日の生活の中で取り組んだことに対してもらえる「キッズペイ」を家族で事前に決めて使います。目標のキッズペイを貯めると、最初に決めておいたご褒美がもらえたりと、家庭内のオリジナル通貨のような役割を果たしてくれます。たのしく「お金」のことを学べるコミュニケーションツールになりますよ!

ステップ①キッズペイグッズをダウンロード

登録なしで簡単にダウンロードすることができます。

ステップ②ハサミでチョキチョキ

プリントアウトしたキッズペイをハサミで切ります。未就学児でも簡単に切ることができますよ。ボックスは紙パックなどに貼り付けて使いましょう。キッズペイウォレットもついています!

ステップ③キッズペイ契約書を作成

 

実際に使い始める前にまずはルール決めから。キッズペイはもらえるポイントだけでなく、マイナスになるポイントもあります。「手洗いうがいができたら」「21時までに寝られたら」「兄弟げんかをしたら」など、行動に対してのポイント数を決め、貯まったポイントと交換できるハッピータイムも決めて記入しましょう。記入出来たら見やすい場所に貼っておくのがおすすめ!

ステップ④キッズペイを使ってみよう

ルールに従ってもらったキッズペイは、キッズペイBOXやキッズペイウォレットを使って貯めていきましょう。マイナスになった時は、ママやパパにキッズペイを返すのもお忘れなく!

ステップ⑤ハッピータイムを過ごそう

キッズペイで貯まったポイントを使って希望のものと交換したり、行きたい場所に行ったり…!目標まで到達したら、ハッピータイムを過ごしましょう。自分が頑張って獲得したキッズペイのおかげで得られる物や時間は、子どもにとってとても有意義。最高の思い出になること間違いなしです。楽しいハッピータイムを過ごせるよう、親子で話し合ってみてくださいね。

おすすめの使い方や声のかけ方は?

3歳くらいから小学年高学年までは十分楽しく遊べるというキッズペイ。使い方などのコツをキッズマネースクール認定講師の武田先生に聞いてみました。

どういったあそび方がお薦めですか?

武田先生:「遊び方やルールの決め方は一緒ですが、年齢に応じてルールのレベルを変えるのが良いかと思います。例えば兄弟姉妹がいる場合は、別々の「キッズペイ契約書」でルールを決めるなど、ご家庭の環境でカスタマイズしてみましょう。それぞれのお子さんに合わせてルールを決めて、取り組みやすくすることが大切です。ルールを決める際は、なるべく親は口を出さずに常に子どもが自発的に意識できる内容を決めてみましょう。そして、親は『何キッズペイ貯まった?』『交換まで何キッズペイくらい?』などと、時々声かけすることで、改めて意識するきっかけにもなると思います。そして、キッズペイをあげる時には『がんばったね』『〇〇してくれて嬉しかったよ』と、褒めてあげることが何よりも大事ですね」

キッズペイと聞くと、ご褒美のようなプラスのイメージを想像しますが、実際はマイナスされてしまうこともルールで決めていきます。

例えばどんなことをマイナスルールにするのでしょうか?

武田先生:「決まり事ではないですが、例えば早く寝て欲しいとか、歯磨きをきちんとして欲しいとか、子どもに注意してしまいがちなことをマイナスとして設定する方が多いですね。そうすることで、親も注意したり、毎日同じことでイライラする機会を減らせると思います。また、早起きや習い事、スポーツクラブの昇級など『子どもが目標としている事を達成したら100キッズペイ』などのように自分の目標を達成する動機つけとして使うことをされている方も多くいらっしゃいます。子どもの性格にも合わせて獲得キッズペイを設定できるので、とても取り入れやすいんです」

武田先生が実際にご家庭で行っているマネー教育

小学4年の男の子と小学2年の女の子のパパでもあり、ファイナンシャルプランナーの資格も持っている武田先生。実際に家庭でどのようなマネー教育をしているのか、一部をご紹介します。

おこづかいは報酬制

武田先生:「おこづかいの額の決め方は、家庭によって様々だと思います。例えば、文房具などの学用品やお菓子などを、おこづかいから出すか出さないかによっても金額は変わってきますよね。我が家の場合、小学1年生の頃からおこづかいを渡し始めたのですが、お手伝いをしたらもらえる報酬制にしています。お風呂掃除で100円、ゴミ捨て30円など金額が決まっているのですが、これを決める際、家族会議を開いて『ママがどんな家事を手伝ってほしいか、何が大変だと思っているか』について話し合いました。今は子ども達に定着して、定期的にお手伝いをしますが、欲しいものができた時などは特に頑張っていますね」

おこづかいの一部をドルであげる

武田先生:「毎月渡しているおこづかいの中の100円だけを1ドル札で渡すことにしています。渡す時のレートは関係なく『はい、100円』として渡して『使いたい時にその日のレートで換金するね』と伝えています。息子が『ドルを換えたい』と言ってきたタイミングで『今日は112円だけどいい?』とその日のレートを伝えます。『じゃあ、今日は円を使う』と言ったりします。ドルを取り入れることで、毎日の為替レート(=円の価値)は変わるということが自然と身につくようになります」

電子マネーに追加でお金を入れる

武田先生:「子ども達は習い事に行くときにバスを使うのですが、その際にPASMOを使っています。今は10円単位からチャージができるので、必要な交通費以外に毎月数十円を追加でチャージしておきます。一緒にコンビニに行った時、子どもの前でPASMOで支払いをし『これでも支払えるんだよ』と伝えることで、電子マネーの説明をしています。今はPASMOの残高や支払い履歴を確認できるアプリもあるので、それを使って『こうやってお金を使ったね』と説明してあげると分かりやすいですね。あとは、子どもにお金を持たせるのは不安と感じる時も、電子マネーの存在を教えておくと良いと思います」

武田先生の家だけのマイ銀行!『パパ銀行』に貯金

武田先生:「子どもが貯めたおこづかいやお年玉などの管理について『そのまま財布に入れておいても増えないよね。それをパパ銀行に預けてもらえれば年利12%がつくから6年間で2倍の金額になるよ。途中で引き出したくなったら言ってね』と話しています。マネー用語で“72の法則”というお金が2倍になる便利な計算式があるのですが、それを分かりやすく説明することもできます。実際は私がお金を管理しているので、エクセルなどに預かったお金を入れ、プラスになった金利も都度入力していきます。もちろん手書きでもOKです」

小学生のおこづかいが4,500円⁉

武田先生:「これは私ではなく、キッズマネースクールの代表の三浦の話ですが、子どもが小学校2年生の時に、おこづかいを4,500円渡していたそうです。渡しているおこづかいの4,500円のうち4,000円は、子ども自身のスイミングの習い事の月謝代でした。習い事にもお金はかかっているということを、自分のおこづかいから払うことで学べたそうです。色々なものにお金がかかるんだということを体感させることは、とても大切なことだと思いますね。」

簡単にできるマネー教育のポイントとは?

子どものお金の使い方に対しての悩みや疑問はたくさんありますよね。最後に、どんなことを意識しながらマネー教育をしていけばいいのかを武田先生に聞きました。

おこづかいはいくつかの財布で管理する

武田先生:「大人と同じく、子どももたとえ500円だとしても、全財産を持ち歩くのではなく、これは今日使うお金、これは欲しいものを買うために貯めるお金、用途に分けて財布や入れ物を変えるのがおすすめです。子どもにしたら500円は大きなお金です。たくさんお金を持ち歩いていると、つい使い過ぎてしまうので、財布を分けることで使い過ぎをセーブすることができます」

値段を意識して話す

武田先生:「子どもは大人の財布にはいくらでも入っている、ケータイゲームにお金はかからないなどと思っていることもあります。例えば、外食をする時など『このハンバーグは800円なんだね』と、声をかけたり、いくらかかっているかを、日々の会話からなるべく意識さして話しましょう。子どもにそういうことを話さない方がいいと思いがちですが、物の値段や価値を気にするようになることはとてもいいことです。キッズケータイやスマホを持っている子どもに対しても、メールは送信も受信もお金がかかることがあるなど、説明してあげるのもいいですね」

おこづかいの使い道に口出しをしない

武田先生:「せっかく貯めたお金をゲームなどで一瞬で使い、無くなってしまうところを間近で見ていると、次からは止めたい気持ちになりますよね。でも、そこはグッと我慢して、渡したお金に関しては自由に使わせて、一切の口出しをしないこと。子どもに自分で気付いてもらうということが大事です。『渡されたおこづかいを月の最初の頃に使ってしまうと、月の最後はお金がなくなる』。これこそが学びだと思います。そういう小さな学びを繰り返して、次から少し計画的に使おうと考えるようになります」

人として必要な力を学べるマネー教育

今までなにげなく渡していたおこづかいや、どうやって管理すればいいかがあいまいだったお年玉などの子どもの貯金。ちょっと親の意識を変えるだけで、親子共にマネーリテラシー(お金の「知識と判断力」)が向上できそうです!

「お金に関する学び」は、お金のこと以外にも学ぶことがたくさんあると武田先生は話します。

武田先生:「私たちキッズマネースクールでは親子向けにたくさんのキッズマネーセミナーを全国各地で開催しています。活動を通して伝えたいこととして、「お金に関する学び」は、お金儲けやお金を増やす目的ではなく、自分で考える・判断する力を養うことが本質であると考えています。目標に向かって頑張って積み上げていくこともおこづかい教育から学べると思います。まずはご家庭でぜひ、キッズペイを取り入れてみてくださいね。」

今回紹介したキッズペイを足掛かりに、おうちでマネー教育を始めてみてはいかがですか?

記事監修

ファイナンシャルプランナー
武田 務さん

ファイナンシャルプランナーと宅地建物取引士の資格を持つ武田先生は、小学4年と2年の子どもを持つパパ。「自分自身がお金に無頓着だったこともあり、もっときちんと学び、子どもにも教えたい」と考え、上のお子さんが小学生になったころ、キッズマネースクールに出会い、本格的にマネー教育をし始めたんだそう。

 

全国各地で体験型「キッズマネースクール」もたくさん開催中!

全国各地で楽しくマネーの事が学べる「キッズマネースクール」が開催中。時代に即したオンラインセミナーも導入され、ますます参加しやすくなっています。色々なテーマが設定されているので、お子さんの年齢に合わせて参加してみて下さい。

詳しい開催予定はホームページからチェック>>

取材・文/本間綾

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