犯罪から子どもを守る合言葉「はさみとかみはおともだち」知ってますか?

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「いやです」「だめです」「いきません」。あなたのお子さんは、この3つの言葉を言えますか?実は、子ども自身が「いや」という意思表示をすることで、7.8割の犯罪者が行動を起こすことをやめているというデータがあるのです。子どもたちに「あぶない場所」「あぶないひとの特徴」「あぶない目にあったらどうするか」を伝え、「子ども主体」で防犯意識を高めていくことが求められています。犯罪から子どもの身を守る安全教育の専門家、NPO法人体験型安全教育支援機構代表理事の清永奈穂先生に、お話を伺いました。

これから必要なのは、子どもが「自分で自分の身を守る」安全教育

安全教育の方向性は、これまで「大人が守ればいいから子どもに教える必要はない」という考え方が主流でした。

でも、その考え方は少しずつ変わってきており、子どもが自分で自分の身を守ることができるための「体験型安全教室」のニーズの高まりも感じています。コロナ禍で、ここ2年、私たちは「コロナに感染しないように」ということに常に一番意識がいっていたのではないでしょうか。今、改めて防犯にも意識を向けて行く必要があると感じています。

知っている人でも注意!「あぶない人」についての教え方

「あぶない場所」だけではなく、「あぶない人」についても子どもと一緒に考えてみましょう。あぶない人といっても、「怖い顔」など、見た目だけでわかるわけではありません。

その場所、その時に「似合わない人」に注意!

たくさんの警察官や元犯罪者に聞いてみてわかったのは、その人、その場所、その時に「似合わない人」があやしい人だということでした。ですから、動きや行動が、その人、その場、その時にそぐわないことが見分けるポイントになると思います。

怪しい人は「はちみつじまん」

具体的に、「あぶない人」になる前のあやしい人の特徴として、次の「はちみつじまん」の合言葉を覚えておきましょう。

なしかけてくる人

かづいてくる人

つめてくる人

いてくる人

っとっている人

?と注意

 

知っている人でも、「どこかへ移動させようとする」のは危ない!

あぶない人は、知り合いの中にいないとも限りません。そこの見極めは難しいところですが、「どこかへ移動させようとする」ということがキーポイントになるかと思います。

たとえ知っている人でも、家や車には入らない、お父さんやお母さんに聞いてからにする、ということを子どもに伝えましょう。

あぶない時はどうしたらいい?逃げる方法を教えておきましょう

では、もし実際にあぶない目にあってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?

犯罪を起こそうとしている人は、実はとてもビクビクしているものです。ちょっとでも「第三者が出てくるかもしれない」という気配が生じることが嫌いなので、子どもがどこでもいいから駆け込めるようにしておくことは大切です。

玄関で「お母さん!」と叫んで難を逃れた子も

家の門扉を「カチャッ」と押すだけでも違います。家の中に誰かいると思わせるために、玄関で「お母さん!」「おじいちゃん!」などと声を出したことで助かった子もいます。

犯罪を起こそうとしていても、「逃げられた」「警戒された」「誰かがくるかもしれない」と感じる行動を子どもがとれば、そこでやめるかもしれません。

危ない人から身を守る「はさみとかみはおともだち」

あぶない人から逃げる方法を、次の「はさみとかみはおともだち」の合言葉で子どもに教えておきましょう。

しる-20メートルは走って逃げる

けぶ-大きな声を出す

る-前を見てしっかり歩く

びこむ-いちばん近くの家に「助けて」と飛び込む

かみつく-防犯ブザーを鳴らす。うでブンブンや足をジタバタする。それでもだめなら噛みつく

っきり、きっぱり断る-「いやです、だめです、いきません!」

お友だちと助けあう

ただ、これらの逃げる方法は、言葉で聞いただけではいざという時、なかなか実践できません。体験学習として普段から家族で練習しておくことで、子どもが実際に使える力となります。

いやです!とはっきり言う、20メートル走って逃げる練習を!

中でも、前を見てさっさと歩くこと、「いやです」とはっきり言えること、20mは全力で走ることは特に大切ですので、日ごろから練習しておきましょう。

前を見てさっさと歩くことで、子どもはあぶない人やあぶない場所が目に入りやすくなり、結果として自分の身を守ることができます。

1 いやです・だめです・いきません

まず、大人が子どもに「あぶない人がしそうな声かけ」をします。それに対して子どもが、「いやです、だめです、いきません」のどれかの言葉を使ってはっきりキッパリ断ります。実際の状況を想定し、親が車の中から声をかけてみて、それに対して子どもが大きな声で断る練習も、ぜひしてみて下さい。

2 犯罪者は20メートル走って追いつけなければあきらめることが多い

犯罪を起こす人は、20メートル離れた所で狙いを定め、4~6メートルまできたら実行に移し、20メートル走っても追いつけなければあきらめることが多いと言われています。そのため、子どもに20メートルを猛ダッシュで逃げ切る力を身につけておくことは有効です。

防犯ブザーをつける位置にも注意!

ランドセルに防犯ブザーをつけていると思いますが、いざという時に防犯ブザーがきちんと使えるように備えておくことも大切です。
防犯ブザーは、腰の位置くらいに引っぱるひもがあると、うでをつかまれたり抱きつかれた時でも鳴らしやすいです。防犯ブザーは、月に1度は音の大きさ、鳴らしやすい位置についているかの確認をする習慣をつけておきましょう。

子どもに生きていく知恵として、もっと防犯の知識を知ってもらいたい

子どもが自分の身を守る術を身につけておくことは必要ですが、親自身にも子どもの安全を守るためにできることはあります。

それは、地域の見守り環境をつくっていくことです。

私も子育てをしている親として、自分の子が犯罪に巻き込まれるかもしれないと考えることは、すごく怖いです。ですが、怖がるばかりではなく、子ども自身に身を守るための安全基礎体力をつけ、見守ってくれる地域の環境を作っていくことが、大切だと思っています。

防犯という言葉を難しく捉えず、子どもが生きていく上で必要な知恵として、多くの方に知ってもらえたらいいなと思います。できることから少しずつでいいので、防犯の意識を生活に取り入れ、子どもを守っていきましょう。

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「いやです、だめです、いきません」 親が教える 子どもを守る安全教育

あぶないときは いやです、だめです、いきません 子どもの身をまもるための本

清永奈穂/著 石塚ワカメ/絵 岩崎書店/刊

子ども自身が自分で危機をはねのける力をつけ、大人がそのサポートをしていくという「子ども主体」の安全教育を教えてくれます。ただ警戒するのではなく、子どもを守るためにどんなことに注意すべきかを伝えていく親子で楽しみながら意識を深めていける書籍と子ども自ら手に取って楽しみながら読める絵本。

教えてくれたのは

清永奈穂さん|

NPO法人体験型安全教育支援機構代表理事。株式会社ステップ総合研究所所長。日本女子大学学術研究員。博士(教育学)。2000年にステップ総合研究所を設立。犯罪、いじめ、災害などから命を守るための研究に取り組み、大学などの研究員や政府、自治体等の委員会委員なども務める。各地の自治体、幼稚園、保育園、小学校などで独自の体験型安全教育を行っている。著書に『犯罪から園を守る・子どもと守る』(メイト)、『犯罪からの子どもの安全を科学する』(共著 ミネルヴァ書房)、『危険から身を守る 学校・通学路・遊び場・家』(監修/一部 岩崎書店)など。

取材・構成/佐藤麻貴 イラスト/石塚わかめ(『あぶないときは、いやです、だめです、いきません』(岩崎書店より) 写真(清永さん)/HARUKI

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