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息子が発達障害という診断を受け、絶望の日々
著者は、秋田県で美容室を経営している菊池ユキさん。2歳(大夢くん)とまだ生後3か月だった二人のお子さんを抱えて、離婚を決意されたそう。
シングルマザーとしての生活
保育園時代の大夢くんは、自分の気持ちを言葉で表現することができず、お友達に手を出してしまったり、外出先で奇声を発して床に寝そべってしまったり、とにかくトラブルが絶えなかったと記されています。
そのたびに、ユキさんは「どうして大夢は、よその子と同じようにできないんだろう」と悩み続ける毎日だったといいます。
医師に相談したところ、大夢くんは発達障害という診断を受けます。
「授業にならない」とクレームも
その当時、地域の人にとっては馴染みのなかった発達障害。
小学校に上がると「大夢くんがいると授業にならない」などといったクレームがきたそうです。
他人から、我が子に対する批判を聞かされるのは、本当にダメージを受けること。批判をしてくる人達から距離を置きたくなってしまいそうな状況ですよね。
「この子が誰かを殺す前に、私が始末しなきゃ」
ユキさんは将来を心配するあまり、どん底に落ちた時期もあったとつづっています。
また、本の「おわりに」には、ユキさんがその当時、思っていた感情が赤裸々に書かれていました。
大夢が小学生のころは、本気で「この子が誰かを殺す前に、私が始末しなきゃ」と思っていましたし。その後も「大学進学なんて、そんな贅沢な夢は見ちゃいけない」と、ずっと思っていました。(本から引用)
周囲からの批判に「負けてたまるか」
一口に発達障害と言っても、その子によってそれぞれ違う特徴があります。大夢くんの場合は、初めての場所、初めてのシーンに弱いところがあります。それが学校でのトラブルの引き金になると気づいたユキさん。
周囲の人間の理解を得ることで、大夢くんが過ごしやすくなるのでは?
そう考えたユキさんは「負けてたまるか」と奮起し、味方を増やしていったそう。
子どもに向き合い続けた姿はまさに強い母ちゃんそのもの。ユキさんが尽力した多数のエピソードは、涙なしでは読めませんでした。
対応できることは先回りを
ユキさんは子どもの弱みを理解し、初めてのシーンに戸惑わないよう、遠足も、運動会も、全て予行演習をしていたといいます。
仕事をしながら子育てをするだけでも大変な中、遠足の練習に行くなんて、本当に頭が下がります!
どうやって、東京大学合格へ?
そんな親子が、どのようにして、東京大学合格というところまでたどり着けたのでしょうか。
勉強禁止!
本では、意外な一文があります。
「テスト前でもなんでも、勉強禁止。勉強して、点数がとれるのは当たり前だし。勉強しないでとった点数が、あなたの素のレベルだべ? だから、もう勉強禁止!」(本から引用)
中学2年生のときに、数学の面白さに目覚める
しかし、大夢くんは数学の面白さに中学2年生のときに目覚めたそう。
そこからは、数学の問題を解くことが日々の喜びとなり、東大を目指すようになったようです。
著者の子育ては、実はシンプルだった
著者のユキさんから、この本の中で、子育てに対する名言と言える一言があります。
「子どもは皆、ダイヤモンドの原石。諦めることなく磨き続けたら、キラキラと眩い光を放つに違いないと確信しています」(本から引用)
我が子が発達障害と診断されたとき、どん底と例えたユキさん。きっと、その当時は、将来自分の子が東大に行くなんて、考えることもできなかったはずです。
しかし、ユキさんが大夢くんの弱点をカバーしながら、ダイヤの原石を磨くがごとく育児をしたことで新しい世界が開けたのです。
子育てで親がすることとは
筆者は仕事柄、発達障害の専門医に話を聞くことがありますが、発達障害のお子さんは、日々失敗をして叱られてしまうことが多く、自尊感情が低くなりがちだそうです。これが、鬱などの二次障害を引き起こす原因にもなるので、周囲のサポートがとても重要になります。
ユキさんは、まさにこのサポートが自然にできていた人。丁寧なサポートによって大夢くんは成功体験を増やし、自信をつけていけたのでしょう。
親は、どんなことが起きても「まぁ、それがうちの子だから」と受け止めてあげることが、子どもの個性を最大限良い方向に向かわせる方法なのだなと感じました。
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編集/HugKum編集部