稲垣吾郎、平凡な父親役だからこそ光る演技力【ママが観たい映画】

©2018「半世界」FILM PARTNERS

稲垣吾郎が主演を務めた映画「半世界」が2月15日(金)より公開されました。第31回東京国際映画祭で観客賞を受賞した本作は、俳優・稲垣吾郎の成熟した演技が堪能できる人間ドラマ。田舎町を舞台に、親子愛や夫婦愛が丹念に紡がれた内容で、今子育て真っ最中のママやパパはもちろん、ちょっぴり親にたて突く年頃になったお子さんも、大いに共感できる味わい深い映画となっています。

漫画や小説が原作とする映画があまたあふれている昨今、本作は「エルネスト もう一人のゲバラ」(17)の阪本順治監督がオリジナル脚本で手掛けた意欲作です。稲垣は持ち前の輝くオーラを封印し、田舎で備長炭の炭焼きに勤しむ平々凡々なアラフォーの父親・高村紘役に挑んでいます。

稲垣吾郎が、反抗期の息子を抱える無骨な父親役

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稲垣吾郎が演じる紘は、父の稼業を継いだ炭焼きをしながら、妻・初乃(池脇千鶴)と、反抗期の息子・明(杉田雷麟)と慎ましやかに暮らしています。決して理想的な父親ではなく、どちらかというと不器用なタイプです。

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紘はある日、中学からの旧友で、海外派遣されていた自衛隊員の沖山瑛介(長谷川博己)と再会します。同じく同級生で、仲の良かった岩井光彦(渋川清彦)と3人で会うと、すぐに学生時代の関係性に戻れますが、それぞれに人並みの悩みは抱えているようです。童心に返った3人が、おしくらまんじゅうをするシーンもほほえましいです。

また、紘と初乃の夫婦は、反抗期の子どもを巡ってぶつかることもありますが、初乃は毎日紘への愛妻弁当を欠かしません。桜でんぶで描いた「おバカ」の文字も、2人のかけがえのない夫婦の絆を物語っていて、思わずほっこりします。

ドラマは後半で予想外の展開を迎えますが、そこで改めて、なにげない幸せがいかに尊いかということを痛感させられます。観終わったあと、なんだか日常そのものがとてもいとおしくなり、改めて家族の大切さを実感できる映画となりそうです。

稲垣吾郎が、全国74館中継で舞台挨拶

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公開に先立ち、2月14日の19時より全国74館中継舞台挨拶つき先行上映が実施され、主演の稲垣、池脇千鶴、渋川清彦、阪本順治監督が登壇しました。

阪本監督が、稲垣に炭火焼き職人役をオファーしたのは、稲垣に「役者として新しい景色を見せたかったから」だそうです。実際、稲垣自身も「僕にとって新しい景色を見せてくれた、そういう映画になりました」と力強く語っていました。

本作は、稲垣が「新しい地図」として独立後、初の主演映画となりました。「僕にとって新しいスタートとなる作品でもあったけど、第1作目の作品としてはすばらしい作品でした。僕も映画はすごく好きですし、観るのも大好きですが、いままでは出演本数も少なかったので、これからはいっぱい参加させていただきたいです」と今後の抱負も語ってくれました。

『半世界』2月15日(金)より全国ロードショー
脚本・監督:阪本順治
出演:稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、小野武彦、石橋蓮司ほか

公式HP:http://hansekai.jp/

文/山崎伸子

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