ウズベキスタンってどんな国?
ウズベキスタンという名前は聞いたことがあっても、いったいどんな国なのか知っている人は少ないのではないでしょうか。
カザフスタン、ロシア、キリギスなどと近い中央アジアにある国、ウズベキスタン。そこには数多くの世界遺産があり、別名「青の都」と呼ばれるサマルカンドでは、美術館と思うような美しい建物があり圧巻です。
ウズベキスタンの歴史や文化、観光スポットなどについて順番にご紹介します。
ウズベキスタン基本情報
まずは場所や地域などの基本情報から確認しましょう。
国名
ウズベキスタン共和国
首都
タシケント(Tashkent)
場所
ウズベキスタンがあるのは、中国の西側、ロシアの南側にある中央アジア。北と東はカザフスタン、南東はキルギス、南はタジキスタン、西はトルクメニスタンと隣接しています。中国からローマ付近までを結び、中央アジアを横断する交易路「シルクロード」のちょうど中間地点にあたります。
日本との時差
4時間(日本の方が4時間進んでいます)
面積
44万7400平方km
日本の総面積は37万8000平方㎞で、ウズベキスタンは日本の約1.2倍の広さです。
エリア
ウズベキスタンには12の州と、1つの共和国、1つの特別市があります。首都タシケントがあるのは、タシケント特別市です。
人口
約3440万人(2022年の国連人口基金のデータ)
日本の人口は1億2477万人(2023年1月1日時点)。ウズベキスタンの人口は、日本の約4分の1になります。
言語・公用語
国家語はウズベク語
ロシア語も広く使われています。
通貨
スム(Sum)
1スム=約0.012円(2023年2月9日時点)
宗教
主としてイスラム教スンニ派
歴史
ウズベキスタンと隣接する4つの国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)とウズベキスタンを入れた5か国は「中央アジア5か国」と言われ、いずれも旧ソ連の崩壊でできた新しい国です。日本は中央アジア5か国と外交関係を30年以上も続けています。
紀元前250年頃 グレコ・バクトリア王国成立
1世紀~3世紀 クシャーン朝による支配
6世紀中頃~ テュルク系遊牧民(突厥)の侵入、次第に住民のテュルク化が始まる
7世紀 ソグド人の活動が最盛期に
8世紀以降 アラブ勢力の侵入、イスラム教の受容
9世紀後半~10世紀 サーマーン朝成立(文芸・学問の発展)
13世紀 モンゴル帝国の支配
14世紀後半~15世紀 ティムール帝国(首都サマルカンド)成立
15世紀末~16世紀 遊牧ウズベク集団の侵入、シャイバーン朝の成立
18世紀~19世紀 ブハラ・ハン国、ヒヴァ・ハン国、コーカンド・ハン国の支配
1860年~1870年代 ロシア帝国による中央アジア征服
1867年 ロシア帝国、タシケントにトルキスタン総督府を設置し、統治を開始
1918年 ロシア連邦共和国の一部としてトルキスタン自治ソヴィエト社会主義共和国成立
1920年 ブハラ人民ソヴィエト共和国、ホラズム人民ソヴィエト共和国成立
1924年 旧ソ連における中央アジアの民族・共和国境界画定によりウズベク・ソヴィエト社会主義共和国成立
1989年6月 フェルガナ事件(ウズベク人とメスフ人の民族間衝突)
1990年3月 カリーモフ大統領就任
1990年6月20日 共和国主権宣言
1991年8月31日 共和国独立宣言、「ウズベキスタン共和国」に国名変更
天気・気候
ウズベキスタンは大陸性気候で、夏はとても暑くなり、冬はマイナスになることもあるほど寒くなります。季節の変化は、日本と近いと言えるでしょう。
旅行に最適なのは、4~6月頃の春と、9~10月頃の秋。7~8月の夏は酷暑になり、40℃を超える地域も出てきます。
ウズベキスタンの治安・住みやすさ
ウズベキスタンの治安や住みやすさはどうでしょうか。
治安はレベル1、ただし危険な場所も
外務省「海外安全ホームページ」によると、2022年2月9日時点で、ウズベキスタンの危険レベルは1または2(一部はレベル3)。首都タシケントを含め、全土のほとんどのエリアは、「十分注意してください」と注意喚起を呼び掛けているレベル1です。
ただし、「渡航中止勧告」を出しているレベル3なのが、タジキスタンとキルギスの国境沿いの山岳地帯。ウズベキスタンでは過去にイスラム過激派組織や麻薬の密輸組織などの対策として、タジキスタンやキルギスの国境付近の山岳地帯に地雷を埋めています。それらは現在も残ったままになっているものもあり、とても危険です。
また、隣国のアフガニスタンはイスラム過激派組織の勢力が強いことから、アフガニスタンとの国境近くのエリアも、非常に危険です。
住みやすさはまずまず
ウズベキスタンは数多くの民族が暮らしています。英語はあまり通じないため、現地のウズベク語やロシア語をマスターしておく必要があるでしょう。
物価は日本より安めで、交通手段なども整っています。治安面では危険な地域もありますが、それらを避ければ、各段に暮らしにくいと感じることはないのではないでしょうか。
ウズベキスタンの見どころ・観光
ウズベキスタンの主要な観光スポットをご紹介します。
サマルカンド
サマルカンドは「青の都」と呼ばれる街。サマルカンドブルーと呼ばれる青色をベースにした、イスラム建築の建物が数多くあり、芸術品のような美しさを誇っています。
特に有名なのが、街の中央にあるレギスタン広場。3つのマドラサ(神学校)があり、それぞれに独特の美しい建物でできています。
ブハラ
ウズベキスタンの中央近くにある街ブハラは、旧市街地が世界遺産として登録されています。砂漠の中にできたオアシスの都市で、シルクロードの要衝として栄えた都市のひとつです。
中央アジアにある最古のイスラム建築の建物であるイスマイル・サマーニー廟など、独特の世界が広がっています。
チョルスー・バザール
首都タシケントで最大と言われる市場です。青いドーム型の建物の中と周辺には、食料品からあらゆる日用品が並べられ、市民が利用している活気ある市場です。
地元ならではのフルーツなどの食材を調達したり、伝統品や陶器などのおみやげ品を見つけたり、さまざまな楽しみ方ができそう。
ウズベキスタンの特徴・有名なもの
ウズベキスタンといえば、シルクロードの中間地点であることでよく知られています。
シルクロードのオアシス
シルクロードは、中国からローマ付近まで東洋と西洋を結んだ交易路のこと。その中間地点にあるウズベキスタンは、東洋と西洋の文化が交錯しており、イスラム文化が開花してきました。イスラム様式の美しい建物などから、「シルクロードのオアシス」と呼ばれ、旅人たちを癒してきたのです。
ウズベキスタン料理
ウズベキスタン料理に欠かせないのが、小麦粉でできたナン。羊肉や牛肉などの肉料理が多く、ナンと一緒に食べます。
ウズベキスタンでは米も食べられていますが、食卓には必ずナンが出されるほどよく食べられています。肉饅頭のような料理があったり、日本人にも比較的味わいやすい料理が多いのだそうです。
歴史と文化が息づくウズベキスタン
青色を基調に細部まで凝った装飾の建物が多く、訪れる人々を魅了している国ウズベキスタン。砂漠のなかで生まれたこの国は、かつてシルクロードを渡ってきた旅人の心も癒してきた場所なのでしょう。
現代でも、ウズベキスタンを訪れるとそんな歴史や文化を体験できるはずです。日本から遠く離れた国ではありますが、もし旅行する機会に恵まれたら素敵ですね。
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文・構成/HugKum編集部