【小学生が算数好きになるためのすべて】学年別つまずきや教え方、おすすめ本&問題集まで

算数が苦手な小学生の子供をお持ちのママ、パパはいませんか? 算数は、その学年で習うことをしっかり学べば、確実に身につく教科です。そこで今回は、小学生の算数で身につく力や、小学校で習う算数の内容を学年別に解説します。また、小学生の子供への算数の教え方、小学生におすすめの算数の本・問題集もご紹介。家庭学習での参考になさってください。

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小学生の算数で身につく力とは?

小学校の算数で身につく力

文部科学省の小学校学習指導要領の算数編によると、目標は、資質・能力の三つの柱に対応した「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力など」、「 学びに向かう力・人間性など」で構成されています。具体的にはどういったことなのかをここで解説します。

小学校の算数で教わること

足し算や引き算、掛け算、割り算といった基本的な計算はもちろん、整数や小数点、分数などの数字の仕組み、図形や数量、グラフの見方なども教わります。さらに2020年度からは「プログラミング教育」が導入されます。

知識及び技能

小学校の算数によって、数量や図形などの基礎的・基本的な概念や性質を理解できます。このことで、日常にある数字や図形などを、数理的に処理する技能を身につけられます。

思考力、判断力、表現力

思考力、判断力、表現力が身につくのも、小学校算数の大事なポイントです。具体的にいうと、日常にある数字や図形などを数理的に捉え、見通しをもって筋道を立てて考察する力や、基礎的・基本的な数量や図形の性質などを見いだして統合的・発展的に考察する力、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表したり目的に応じて柔軟に表したりする力です。

学びに向かう力、人間性等

さらに、数学的活動の楽しさや数学のよさに気付き、学習を振り返ってよりよく問題解決しようとする態度も身につきます。算数で学んだことを生活や学習に活用する態度もそうですね。

小学校の算数で習う内容

「小学校 年間指導計画作成資料 算数−東京書籍」に基づいて、学年別に算数で習う内容をご紹介します。学年が上がるごとに、難易度がどんどん上がり、覚えることが増えていく傾向があります。

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小学生の算数で習う内容を学年別にご紹介

小学1年生

小学1年生では、数の構成と表し方と、足し算、引き算を習います。

数の構成と表し方とは、個数をくらべたり、順番を数えたり、数の大小などのことです。また、時計の読み方や絵や図を用いた数量の表現なども学びます。

とくに重要なのが、足し算、引き算です。最初は小さな数同士の足し算、引き算ですが、繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算と難易度が上がります。これは、算数の基本なのですが、苦手になる子が多いので、しっかり理解できるようにしておきたいものです。

小学2年生

小学2年生の算数の肝は、なんといっても九九でしょう。九九は何度も唱えて完璧に暗記するようにします。さらに1/2、1/3など簡単な分数や三角形や四角形などの図形も登場します。

もちろん、1年生で習った足し算、引き算は、けたが増え、大きな数の計算もしなければなりません。そこで登場するのが筆算です。繰り上がり、繰り下がりを理解しておかないと、つまずいてしまう可能性も…。

小学3年生

小学3年生で登場するのが割り算です! 割り算は、九九が基本。すらすらと九九が言えるようにしておくことが大切です。また、足し算、掛け算の筆算も学びます。2年生のころにくらべ、3、4桁の筆算にレベルアップ。計算ドリルなどで、練習あるのみです。

割り算以上に難しく感じられるのが小数点と分数。小数点と分数の意味を学び、足し算、引き算も学習します。さらに、時刻と時間の求め方や長さ・重さの測り方も習います。これは、時計や定規など、身近なものを使って学習しやすいので、家庭でも練習するとよいでしょう。

小学4年生

小学4年生では、折れ線グラフや表が出てきます。そこから、特徴や傾向を読み取る統計的な見方を学習します。また、角の大きさ(角度)や、直線の垂直や平行の関係,台形,平行四辺形,ひし形、立方体、長方体など、図形ついても学びます。さらに、面積の測り方と表し方も登場します。

難関なのは、計算のきまりです。今までのような単純な計算ではなく、計算の順序に関わるきまりについて学びます。計算の中に、+、−、×、÷が出てくるので、混乱しないようにルールを頭にたたきこむことが重要です。

引き続き、割り算の筆算、小数の計算も学んでいきます。分数のかけ算、割り算も4年生で習います。さらに文章題も難しくなってきます。さまざまな計算を駆使して解いていきましょう。

小学5年生

小学5年生でも、たくさんのことを学びます。

数については、そのしくみを学びます。たとえば、整数及び小数の十進数としての特徴や、分数と小数、整数の関係を学びます。さらに、偶数、奇数、倍数、約数などについて知り、整数の性質についても習います。それらを理解した上で、小数のかけ算、割り算、分数の足し算、引き算、かけ算、割り算も引き続きやっていきます。

数の勉強についてポイントとなるのは、比例です。伴って変わる2つの数量の関係を表を用いて考察することを通して、学習します。また、数量を比べることも学びます。平均を計算で求めたり、百分率とグラフで、全体や部分の関係を考察することも登場します。

図形については、あらゆる図形が登場します。図形の合同の意味や合同な図形の性質などについて理解し,平面図形についての理解します。また、平行四辺形,三角形,台形,ひし形などの面積を計算で求めることや、図形の内角の和によって、図形の性質を見出すことも学習。さらに、正多角形と円周の長さ(円周率)や、直方体や立方体の体積を計算で求めることも。角柱、円柱の意味や性質について理解し、空間についての感覚も学びます。

小学6年生

小学6年生は、1〜5年生まで習ったことを活用しながら、さらにいろいろなことを学習します。引き続き、分数のかけ算、割り算の学習はもちろんのこと、図形については、対称を学んだり、円の面積を計算で求めたり、角柱や円柱の体積を求めます。また、拡大図、縮図を描く学習もあります。

さらに、2つの数量の比と比の値(割合)や量の単位のしくみ、並べ方と組み合わせ方、さまざまなグラフを用いて、資料を調べる授業も。

ほかにも、数量の関係を文字を用いて式で一般的に表したり、文字を用いた式から数量の関係を読み取って具体的な場面に表したりすることを通して、式を活用する能力を伸ばします。平たく言えば、x や y を用いた計算が、ここで登場します。

6年生の山場は、「速さ」と「比例・反比例」です。「速さ」の学習では、速さの単位はもちろん、早さ、道のり、時間を計算で求めることを学びます。「比例・反比例」は、比例や反比例の関係にある2つの数量の関係を、式や表、グラフに表します。

小学生への算数の教え方

ミスをしても叱らない、これが教え方のコツです。叱られると、萎縮してしまい、苦手意識が生まれ、算数を嫌いになってしまいます。家庭で子供たちに楽しく算数を教えるには、生活周りの数や図形、道具を使うのがおすすめ。割合なら、スーパーなどに行き、割引商品で計算したり、分数ならピザやホールケーキを1/4や1/6にしたり、スケールや計量カップを使ってものを測ったりするなど、生活と結びつけると覚えやすくなります。

ただし、算数は、足し算、割り算、かけ算、割り算が基本。学年に合わせた難易度の計算問題を繰り返しすることが、算数を得意になる第1歩だということを忘れないようにしてください。

それでは、分野ごとの対策を見ていきましょう。

くり上がり、くり下がりが苦手な子の対策

くり上がり、くり下がりのある計算は、最初におとずれる関門です。ここがクリアできないと、算数が苦手になってしまいます。

くり上がりが苦手な子は、10の分解・合成(10を2つの数に分けたり、10になる数を合わせたりすること)や、数の分解(数を2つの数に分けること)がすらすらできないことが原因です。
ですので、数を2つに分ける練習、特に10を2つの数に分ける(1と9、2と8、3と7、4と6…9と1の、九通りあります)練習をするのがコツです。

決して「もっと練習すれば、そのうちできるようになるだろう」とばかりに計算問題をさせ続けるのではなく、どこでつまずいているかを見て、対策を講じてあげるようにしましょう。

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くり下がりは、くり下がりのひき算の全部のパターンの問題を1枚の紙に書き出し、コピーをとって毎日同じ内容のプリントをくり返し解くことで、対策になります。

全部のパターンはたったの36問(算数の教科書に全部載っていますから、それをもとに紙に書き出すといいでしょう)。いきなり36問では多すぎるようなら、半分の18問程度から始めてもOKです。「1分程度で1枚をサッと解き終える」ことができるようになったら、24問⇒30問⇒36問と、段階的に問題量を増やしていく方法もよいでしょう。

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図形が苦手な子の対策

図形が苦手な子は、頭の中で形を想像するのが苦手なのかもしれません。頭で想像するのが苦手なら、紙に描いて可視化するのが1番。図形をノートに書くことで、情報を整理し、理解することができるようになります。また、図形を使ったパズルを解くのもおすすめです。数理的思考力を身につけることができます。

百分率や割合が苦手な子の対策

5年生になると、百分率や割合の考え方が登場します。「定価の○パーセント引き」というような問題です。これは、なかなか紙上では考えにくいもの。対策としては、スーパーやデパートなどに行って、実際に計算してみることがおすすめです。「20%引き」とあれば、商品の値段を計算させます。実生活に活用することで、百分率が理解できるようになります。

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小学生におすすめの算数の本・問題集

算数の本といっても、計算ドリルから、専門的な数学をやさしくあらわした図鑑など、さまざまあります。ここでは、算数が好きになる、苦手意識を克服できる本を厳選してピックアップしました。参考になさってください。

マンガでわかる! 10才までに遊んできたえる 算数脳パズル250(永岡書店)

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マンガでわかる! 10才までに遊んできたえる 算数脳パズル250(永岡書店)

この本は、迷路、平面図形、論理、立体、数などを使ったパズルから、数理的思考力を鍛えられます。ポイントは、4問解き終わるごとに、子どもが自分で答え合わせをし、さらに解説マンガを読んで復習することで、身に付けた力の定着ができること。保護者向けの解説も充実しているので、勉強の充実感を親子で得られます。4問一組の問題248問+スーパー問題2問の合計250問で構成。数理的思考力を鍛えることができれば、文章題にも強くなりますよ。

陰山英男の徹底反復シリーズ 陰山英男の徹底反復 百ます計算(小学館)

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陰山英男の徹底反復シリーズ 陰山英男の徹底反復 百ます計算(小学館)

基本的な計算で算数の苦手を克服するなら、「陰山英男の徹底反復 百ます計算」がおすすめ! 毎日同じ問題を、2週間続けることで、めきめきと計算力がつきます。本書は、この陰山メソッドの基本実践をご家庭でも完全に行えるよう構成されています。たし算、ひき算、かけ算、わり算の各プリントを2週間分(14枚)セット。もちろん、コピーは不要です。陰山英男の徹底反復シリーズには、「図形」や「およそのかず」、小学校6年間文の「算数プリント」もあります。

陰山英男の徹底反復シリーズ 陰山英男の徹底反復 百ます計算

きらめき算数脳 小学1・2年生(主婦と生活社)

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きらめき算数脳 小学1・2年生(主婦と生活社)

ゲームを利用した問題、図形問題など、パズル感覚で楽しく解ける、SAPIXオリジナル思考力問題を収録したこちらの本。読解力・論理的思考力・問題解決力が身につきます。
キャラクターと一緒に謎解きしているうちに、どんどん思考力が鍛えられます。「算数って楽しい」、「もっと解きたい」と子どもたちのヤル気を引き出すSAPIXマジックがこの一冊に凝縮。今までの問題集では満足できなかったスーパーキッズのために、SAPIXオリジナル思考力問題も収録しています。
シリーズには、入学準備〜小学1年生、小学1・2年生、小学2・3年生、小学3・4年生、小学4・5年生があります。

小学校の算数は、中学・高校の数学につながる基礎

小学校6年間で習った算数の知識や技能は、中学・高校での数学につながる基礎です。各学年でしっかり算数を解けるようにしておけば、学年が上がっても今までの知識や技能を応用することでほとんどがカバーできます。苦手分野をつくらないよう、本やパズルなどを上手に利用すれば、きっと算数を好きになります。

参考サイト

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編−文部科学省
小学校 年間指導計画作成資料 算数−東京書籍

 

文・構成/HugKum編集部

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