【我が家の中学受験物語】目指すは大学付属女子校!スタートは5年生「背伸びせず、等身大の塾・志望校を選びました」

今年も中学受験シーズンが終わりました。第一志望校に進学できるのはわずか3割ともいわれ、辛い、大変というイメージが先行する中学受験。実態はどうなのでしょうか? HugKumでは、中学受験に取り組んだ親子6組にインタビュー。本音の体験談をお届けします。
【第1回-前編】神奈川県在住で、都内の大学附属校に通うマナちゃん(中1/女子/仮名)が体験したのは「無理をしない受験」。塾や学校選びのポイント、実際の受験ドラマについて、母(神奈川県/K・Hさん)の思い出エピソードと感想を聞きました。

志望校決めのポイントは偏差値ではなく、学校の面倒見の良さ

兄はチャレンジ校合格も入学後に苦戦。妹は背伸びをしないことに

―中学受験をしようと思ったきっかけはなんですか?

 兄(高2)が中学受験を経て大学附属学校に進学していたので、親子ともに何となく妹も中学受験をする雰囲気がありました。それに、親としては、中学、高校になって思春期や反抗期に入ったとき、いざ進路を話し合おうとしても、親の言うことを素直には聞いてくれなくなるかもしれないと不安でした。

それなら、中学受験を通して親の考えや思いを伝えられるうちに、親としても安心して子どもの成長を見守れる学校を受験させたいと思いました。

―志望校を決めるときに意識したのは?

 大学附属校がいいなと思っていました。

―大学附属校を選ばれた理由はどんなところでしょうか? 一般的に、大学受験をするより、エスカレーター式で進学できる大学附属校のほうがラクだと言われていますね

 確かに、そう言われがちですし、実は私自身もそう思っていました。でも、大学附属校も、それなりに大変。学校によっては他校へ転校したり、留年したりするケースもありますから。

―なるほど。入学してみて分かることもありますよね。

 とはいうものの、やはり大学附属校への進学は、学校の進度に合わせてちゃんと勉強していけば、この先、大学に進学できる保証があるという意味で、親としては安心できます。また、最近は、付属の大学への進学する他に、他大学を受験するコースを用意している学校も多いので、子どもの成長や方向性によって選べる点にも惹かれました。

―娘さんはどんな学校を希望されていましたか?

 娘は、進学校でガンガン勉強して、ゆくゆくは大学受験を自力で突破したいというより、大学附属校のほうがのんびりできていいなと思っていたようです。

―親と子の方向性は一致していたのですね。

 そうですね。親としては、妹は大学附属でありつつ、しかも面倒見のよい学校、たとえば補習制度が充実していたり、高校に確実に進学できたりする学校が良いと考えました。

―女子校は希望だったのでしょうか?

 本人も親も「共学でないとイヤ」とは考えていなかったので、伝統ある女子校を選びました。

―ご主人も志望校選びに参加されていましたか?

 志望校のひとつB校については、パパは4年生ごろから娘と一緒に文化祭などを見学して、「いい学校」だという印象を持っていました。それに、娘を通わせている様子も頭にイメージできていたみたいです。

おまけに、昔から名の知られている伝統校だったので、義母も大いに賛同して応援してくれました。実は、昔は今よりも偏差値がずっと高かったんですけどね(笑)。その後、だんだん女子校人気が落ちてきて、近年は昔のように偏差値の高い学校ではなくなっていたのですが。それでも、やはり名のある伝統校は、上の世代の印象やイメージが良いのだと実感しました。

―各学校の説明会で、聞いておきたかったポイントはありますか?

 やはり、高校と大学への進学率ですね。そのほか、高校進学の段階で他校に行くケースはあるのか、また大学進学時に他大学を受験する割合はどれくらいか気にかかっていました。娘のときは、オンラインでの学校説明会が多かったので、そばに座って一緒に聞いていた娘から「ママはいつも、そこにこだわっているね」と苦笑されたほどです。

―学校選びでお子さんがこだわった点は?

 宗教色の強い教育の学校は避けたかったみたいです。偏差値や校風よりも、学校の立地を気にしていました。神奈川県在住なのですが、都心の学校に通いたいと。都心への定期「神定期」があれば、下校の際にお気に入りのお店や人気スポットに寄ったり、休日に友達と遊びに出かけたりする際にも便利だと思っていたようです。

小規模な塾で5年生からスタート。その後、同じ塾の大規模校へ異動したワケ

同じ塾の違う校舎へ異動したワケは?(photo/AC)

―塾はどうやって選んだのでしょうか

 女の子なので、自宅からあまり遠くない、それこそ「無理をしない」で通える塾に入りました。中学受験生としてはちょっと遅めの、5年生のときです。個別ではなく集団授業ですが、偏差値によるクラス分けがない、小規模な塾です。

―お兄ちゃんの塾選びは参考にしましたか?

 兄のときも、自宅から通いやすい塾の体験授業をいくつか受けて、本人が決めました。娘のときも、本人に選ばせました。何といっても、通うのは本人ですから。結果的にはお兄ちゃんと同じ塾でした。6年生の春期講習以降は、同じ塾の2~3駅離れた校舎へ通うことになりました。

―違う校舎に異動した理由は?

 塾側の体制がオンライン授業から対面授業が戻ってきたタイミングで、人数の多い校舎に異動しました。理由は、過去問の演習をレベル別でやってくれたり、補習や自習時間が充実していたり、小規模な校舎とは違ったメリットがあったからです。それと、同じように頑張っている子が身近にいるという環境も、娘にとって刺激になると思いました。

コロナ禍の中学受験は、意外なメリットもあった

オンライン授業で理解度を親も把握し復習へつなげられた

―コロナ禍は影響した?

 (コロナ流行前の)兄のときは、塾での学習内容や進度、本人の態度などについてあまり情報がありませんでした。でも、娘の場合は、コロナ禍のため、自宅でのオンライン授業に切り替わりました。意外かもしれませんが、私としては、オンライン授業になったのはかえって良かったと思います。

―それはなぜ?

 オンライン授業のおかげで、親も授業の様子をそばで聞けたからです。娘の反応を見ながら、「あ~、今日の授業のこの部分、たぶん理解していなさそうだな」と思ったら、すぐに「さっきの分かっている?」と声をかけて親子で復習しました。

―なるほど、オンライン授業をうまく活用されたのですね。

 オンライン授業の場合、わからないところを先生に質問しようにも、接続の順番を待たなければならないけど、親がサポートすれば、より早く解決して勉強が進むと思ったので、なるべく娘のそばで授業を聞いていました。

―コロナ禍の中学受験で、大変だったことは?

 実際に学校見学ができなかったり、オンライン説明会の予約ですら取りにくかったり、コロナ禍の影響は大きかったと思います。女子校は特に参加人数の制限が厳しいので、それこそ、人気の遊園地やイベントのチケットの争奪戦みたいな感じでした。受付開始時刻になったら、すぐにスマホのボタンを連打するみたいな(笑)。

ただ、授業内容の把握の他、通塾の時間も省略できたので、食事や睡眠など生活時間が遅くなって、体に負担がかからなかったのは、かえって良かったと思います。

習い事との両立は、結果的にはよかった

週1回のチア・ダンスは継続した(photo/AC)

―習い事との両立はされましたか?

 娘はチア・ダンスを習っていました。週1の活動だったので、それほど塾通いにも負担になりませんでしたし、今、中学校でチア部に入って楽しそうに活動していますから、そういう意味では、ずっと頑張っていたのは、良かったと思います。

夏期講習でいっぱいっぱいになる6年生の夏休みからは、さすがにお休みしました。秋以降もチアのイベントに参加するとなると、土日の模試と重なってしまうので。でも、半年ぐらいのお休みなので、中学受験生としてはギリギリまで続けていたほうだと思います。

―塾選びや学校選び、習い事の両立など、すべてにおいて「無理がない受験」ですね。

 そもそも娘はガツガツと勉強する上昇志向タイプではないので、親も少しでも偏差値の高い学校に進学させたいというより、「本人にとって無理がないこと」を基準に選択しました。

「受験やめる」発言もたびたび。感情的にならずに続けたサポート

成績がふるわない時は基礎を見直した(photo/AC)

親子バトルは兄の受験で反省。成績が振るわない時は基礎を見直し

―親子ゲンカはなかったのでしょうか?

 お兄ちゃんとは激しくバトルをしましたが(笑)、娘とは激しいケンカはありませんでしたね。ただ、友達が遊んでいる様子がうらやましいようで、「受験やめる」と言い出したことは何度もあります。

―そういうときには叱らなかったのですか?

 そうですね。娘を追い詰めるようなことはしませんでした。そもそも受験をスタートしたとき、「いつでも、受験やめていいからね」と言っていましたから…。「ただし、6年生の冬休みになってやっぱり受験やめるというのは、勘弁して」とも言っていました。中学受験の塾通いに、お金がかかるのも現実ですから。とにかく、感情的になって叱ることはありませんでした。

―成績不振のときにどんなサポートをされたのでしょうか?

 あまりに成績が悪いときは、「これだと困るよね」と声をかけ、「ここをこうしたら、点数が上がったじゃない?」と基礎問題を見直したりしました。

―毎日の勉強で、ルーティーンは?

 漢字練習とか計算問題とか朝学習させたくて、それ用の問題集を買ったけど、結局はできませんでした。塾の宿題が多くて、余裕がなかった感じですね。

―パパのサポートはありましたか?

 塾のお迎えのほか、模試の成績(点数、偏差値)をパソコンに打ち込んで、管理してくれていました。 

親も子も無理を重ねがちな中学受験。その中で、あえて無理がかからないように歩んだマナちゃん母娘。果たして、その受験結果は!? 

後編へ続く>>

 文・構成/ひだいますみ

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