1月校1校目はいきなり×。不安のまま試験本番へ
―1月校は受けましたか。
母 受けました。1月校の初戦は、いきなり不合格でした。
―それはショックでしたね。1月校は、不本意な結果になることもあると言いますが…。
母 塾からは、不合格なこともありますよとは注意されていましたが、息子はちょっと泣いていました。
そのとき、息子に言われたことがあるんです。「ママは、受かると思っていなかったから、『あれ、やったの』『ここは、大丈夫?』って、いろいろ口出ししてきたんだ」と。
実は、親としては、ちょっと遠いけど、その学校に受かったら行かせてもいいかな…と思い始めていたところで、余計心配になってあれこれ言ってしまっただけなんですが…。受かってほしいという思いが全面に出すぎたみたいでした。もっと子どもを信頼すべきだったと反省し、それ以降2月1日までは「あなたは本番に強いから、大丈夫」と言い続けました。
―1月校は他にも受験されましたか。
母 塾からは1月校で必ず1つは〇を貰ってくださいと言われていましたので、2校目を受験。偏差値―5の学校に出願しようと思っていたのですが、試しに過去問をやらせてみたら、苦手の国語がやっぱりダメで、このままじゃこの学校も×かも…と思い、急遽、偏差値−10の学校を受験しました。
―その辺りは、親の情報力や調整力が必要ということですね。
母 小学生には難しいですよね。やはり親の出番だと思います。
―結果はどうでしたか。
母 2校目は〇をもらい、何とか落ち着いたものの、不安のまま本番に突入することになりました。というのは、1月校の中には、自分の得点を開示してくれる学校があるのですが、1校目も2校目も国語の点数がかなり低く、偏差値とは関係なく、息子は国語が苦手なんだなとしみじみ感じたので。
いよいよ2月。本命校の受験がスタート
―2月1日午前中は、大本命のA校ですね。正直、勝算はどれくらいありましたか。
母 塾からはずっとチャレンジ校だと言われ続けていました。1日にA校ではなく、他校を受けると、受験がぐっと楽になるだろうとも言われました。それでも私が「いいえ、A校を受けます」と頑張りつづけたんです。
―それだけA校を熱望されていたのですね。
母 はい。A校の受験は1回限りで、複数回チャレンジすることはできません。1回限りの勝負に、息子は精一杯挑んでくれたと思います。午後校は、あまり体力に負担がかからないように、受験教科の少ないB校を受けました。
―送迎は、お母さんが付き添ったのですか。
母 私だと、また一月校のときのように、あれこれ心配して余計なことを言ってしまいそうだったので、連れて行くのはパパにお願いして、私はお迎えの係をすることにしました。息子も、心配性の私より、どっしり構えて落ち着いているパパと一緒のほうがよかったみたいです。
―1日の結果はいかがでしたか。
母 こちらの熱望が伝わったのでしょうか、A校は見事〇をもらいました! ただし、結果が分かったのは3日だったので、1日の夜は2日目の受験校をどうするか、考えなくてはなりませんでした。実はB校が×だったのです(B校の結果は、1日夜に判明)。
親としては、B校は大丈夫だろうと思っていたので、意外でしたし、ショックでした。慌てて塾の先生に相談して、すばやく翌日の方針を決めました。私は泣きたいのを我慢して、子どもには動揺を見せないように気を付けました。
―2日目はどうだったのですか。
母 午前にB校を受けました。今度は4教科受験です。その発表は当日の夜でしたが、とにかく1日目の午後校(B校)の×を受け、急遽、その日の午前中にC校に出願し、午後も受験することにしました。今から思えば、何とかしなければと焦っていたのだと思いますが…。午前中の試験を終えて出てきた息子に「午後も受けるよ」と言うと、「え~、そうなの⁉」と言われたほど、急展開でした。
―3日の午前中、待望のA校の合格がわかります。合格発表は一緒に見ましたか。
母 親子3人、パソコンで見ました。受験番号などを打ち込むと、「合格です」というメッセージがバーンと表示され、「おお~!」となりました。塾の先生には「大金星だよ。よくやったね」と褒められ、本人もすごくうれしそうでした。
―勝因は何だと思いますか。
母 最後まで諦めなかったことに尽きると思います。息子は諦めずに最後までがんばり続けたので、後のびしたと思います。本人も、「緊張して入試に臨んだら、思っていたよりも問題が解け、受験を楽しむことができた」と言っていました。
―おうちで基礎力UP、塾で応用問題というスタイルが、息子さんにピッタリだったのですね。
母 各教科の先生の的確なアドバイスのおかげで、今があると思っています。また、塾で一緒だったお友達にも感謝したいです。
―塾のお友達ができたのですか。
母 小学校のお友達は同じ塾には一人もいませんでしたが、たくさんのお友達ができたのが楽しかったようです。特に日曜特訓のクラスは、講座が終わってしまうのは寂しいと言っていたほど。塾のお友達のおかげで、最後まで楽しく受験に臨むことができました。
―3日は受けなかったのですか。
母 はい、もともと3日は、受験を予定していませんでした。1月に出願締め切りの学校で、受験するかどうか悩んだ学校はあったのですが、過去問の国語がやはりネックで、とても受かる気がしなくて、結局出願しないままだったんです。
【アオイくんの受験日程と合否】
―かなり冒険的な受験スケジュールでしたね。
母 塾でも、「3日は、どこも受けないんですか!?」と驚かれましたが、受けたい思える学校が見つからなくて。1日目、2日目に受けたB校は、仮に両方×だったとしても5日にも受験できるからと、3日は受けないことに決めたんです。A校の合格で、息子の受験は終了しました。
サッカー部にも入部し、楽しい中学校生活
―現在のお子さんの様子を教えてください。
母 毎日楽しそうに学校に通っています。その姿に、親子ともども、最後まで諦めないでよかったなと思います。
―部活はやっていますか。
母 知らなかったのですが、A校のサッカー部はわりと強いらしく、サッカー部に憧れて受験されたお友達もいるようです。息子は、最初、受験後に復帰したクラブチームに入ろうかと悩んだみたいですが、結局、学校の部活に入り、元気にサッカーを続けています。
―これから受験されるおうちの人、受験生へのメッセージをいただけますか。
母 最後まで諦めないことだと思います。息子は、国語の解き方の一つとして、「問題文の線を伸ばしていけば、その周辺に答えのヒントがある」と塾の先生にさんざん教わっていたのに、それがようやく実際のテストで実践できたのは、2月1日、A校のときでした。それまで教わっていたのに、身についていなかったのか、いざ試験になると忘れちゃっていたみたいなんです(笑)。最後の最後で、できて良かったですけど。
―中学受験は、最後の日まで伸びるといいますよね。見事な後のびの勝利でしたね。受験で得たものはなんでしょうか。
母 本人が「楽しかった」と言えたのが良かったですね。
我が子にぴったりの学校を選んだお母さん、どっしり構えつつ丁寧に息子の勉強に寄り添ったお父さん、本番で見事に実力を発揮して楽しい学校生活を送っているアオイくん、親子3人力を合わせて得た勝利ですね。幸せな学校生活が続きますように!
前編はこちら
文・構成/ひだいますみ