貴船祭とは。2024年の開催日もチェック
貴船祭(きふねまつり)とは、どのようなお祭りなのでしょうか。2024年の開催日も合わせて見ていきましょう。
例年6月1日に行われる貴船神社の例祭
貴船祭は、京都の貴船(きふね)神社が毎年6月1日に催す例祭です。2024年も、例年通り6月1日(土)に開催される予定です。ただし日程は変更になる可能性もあるため、訪れる際は公式サイトで最新情報をチェックしましょう。
貴船神社へ行くには、車やバスを利用します。駐車台数に限りがあるため、祭りの日はバスを利用するとよいでしょう。バスでのアクセス方法は以下の通りです。
●叡山電鉄「貴船口駅」から京都バス33系統に乗り、「貴船」で下車
●市営地下鉄(烏丸線)「国際会館駅」から京都バス52系統鞍馬温泉行きに乗り、「貴船口」で京都バス33系統に乗り替えて「貴船」で下車
春と秋に行われていた御更衣祭が起源
貴船祭が6月1日に行われるようになったのは、明治時代以降です。江戸時代までは、春と秋の「御更衣祭(ごこういさい)」が例祭として執り行われていました。
御更衣祭とは、神様に衣替えしてもらう神事のことです。貴船神社では現在も貴船祭とは別に、4月1日と11月1日に御更衣祭を行っています。
なお、4月の御更衣祭は、神社付近に自生する山菜「虎杖(いたどり)」を採り、大きさや量を競ったことから虎杖祭とも呼ばれました。
同名のお祭りは神奈川にも
「貴船」の名が付くお祭りとしては、神奈川県の「貴船(きぶね)まつり」も有名です。こちらは真鶴町(まなづるまち)にある貴船神社の例祭で、華やかに飾られた神輿船の海上渡御(かいじょうとぎょ)が見どころです。
広島県の厳島神社で行われる「管絃祭(かんげんさい)」、宮城県の鹽竈(しおがま)神社・志波彦(しわひこ)神社で行われる「塩竈みなと祭」とともに、日本三大船祭りに数えられているほか、1996年(平成8年)には国の重要無形民俗文化財に指定されています。
なお、真鶴町の貴船まつりの開催日は例年7月27~28日と決まっていましたが、2023年からは7月の最終金曜日・土曜日開催に変わりました。2024年の開催日は、7月26日(金)~27日(土)の予定です。
祭りをより楽しめる!貴船神社の豆知識
開催場所となる神社についての知識があれば、お祭りをより楽しめます。貴船神社の由来やご祭神、境内の様子を紹介します。
貴船神社の由来やご祭神、御利益
貴船神社のはっきりとした創建年はわかっていませんが、今から1300年以上も前の677年(白鳳6年)に社殿を建て替えた記録があるほど、古い歴史を持つ神社です。創建の由来には、二つの伝説が残っています。
●貴船山中腹の鏡岩に、天界から神様が降りてきて鎮座した
●神武天皇の母・玉依姫命(たまよりひめのみこと)が船で川をさかのぼり、終着地に祠(ほこら)を建てた
祭られている神様は、「高龗神(たかおかみのかみ)」と「磐長姫命(いわながひめのみこと)」です。高龗神は水を司る神様で、運気隆昌や諸願成就の御利益があると信じられています。
古来より朝廷は高龗神を深く信仰しており、日照りや長雨の際には馬を献上して収束を祈りました。やがて馬の絵を描いた板を奉納するようになり、現在の絵馬が生まれたと伝わります。
磐長姫命は、縁結びの御利益で知られる女神です。平安時代の歌人・和泉式部(いずみしきぶ)が貴船神社に詣でたことで、夫と復縁できたとのエピソードが残っています。
境内には三つの社がある
貴船神社には本宮・結社(ゆいのやしろ)・奥宮という三つの社があり、それぞれの社を移動するのに徒歩で5~10分ほどかかります。貴船祭当日は普段よりも混雑が予想されるため、時間に余裕を持って出かけましょう。
お祭りのメイン会場は、高龗神が祭られている本宮と奥宮です。奥宮は玉依姫命の乗った船がたどり着いた場所でもあり、社殿の近くには船を隠したとされる「船形石(ふながたいわ)」があります。また、奥宮本殿の下には大地のエネルギーが噴き出す「龍穴(りゅうけつ)」があるとされ、神聖な雰囲気に満ちています。
貴船神社を参拝する際は、「三社詣」といって最初に本宮、次に奥宮、最後に結社の順に行くのが習わしです。祭りのときも、奥宮で神事を見た後に結社を参拝して帰るとよいでしょう。
貴船祭の見どころ
貴船祭では御神輿巡幸の様子や、伝統的な舞楽の奉納を見学できます。奥宮では、一般客が参加可能な神事も開催されます。それぞれの見どころとスケジュールをチェックしましょう。
迫力ある「御神輿巡幸」
貴船祭のスタートは午前11時です。午前中は本宮の本殿で神事・舞楽奉納・発輿祭があり、13時から御神輿巡幸が始まります。ただし、午前中の行事を見学できるのは招待客のみですので、本宮には御神輿の出発時間に間に合うように向かうとよいでしょう。
本宮を出発した御神輿は、お囃子にのって町内を巡幸し、1時間ほどかけて奥宮へと向かいます。数十人もの担ぎ手が金色の御神輿を支え、威勢のよい掛け声を響かせながら練り歩く様子は、とても迫力があります。
健やかな成長を願う「子供千度詣」
御神輿が奥宮に到着してしばらくすると、地元の子ども達による「子供千度詣(こどもせんどまいり)」が始まります。こちらは子どもの健やかな成長を願うための神事です。
参加者は「おせんどんどん」と声をかけ合い、船形石の周囲を回りながら忌み串と呼ばれる木の棒を石のくぼみに置いていきます。子供千度詣は地元以外の人でも参加可能で、子どもに混じってお詣りする大人の姿も例年多く見られます。自分の子どもの成長を願って、参加してみてもよいでしょう。
演目はお楽しみ「出雲神楽奉納」
子供千度詣と並行して、境内では島根県にある貴船神社の神楽団による「出雲神楽(いずもかぐら)」の奉納が行われます。京都で出雲神楽を見られる機会はほとんどないため、貴船祭の見どころの一つとなっています。
演目は、ほぼ毎年「ヤマタノオロチ」です。2匹のオロチが口から火を噴きながら登場したり、スサノオノミコトと戦ったりするシーンは迫力があり、お祭りを大いに盛り上げます。
ただし、年によっては異なる演目が上演されることもあります。2024年の演目も公表されていませんので、当日のお楽しみにしましょう。
歴史ある神社の例祭を楽しもう
貴船神社はいつ誰が建てたのかもわからないほど古く、さまざまな伝説が残る神秘的な場所です。年に1度の例祭「貴船祭」は、長く人々を見守ってくださるご祭神を、身近に感じるよい機会でもあります。新緑の貴船神社で、歴史あるお祭りをじっくりと楽しみましょう。
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構成・文/HugKum編集部