「アリス・イン・ワンダーランド」シリーズなどの鬼才ティム・バートン監督が、ディズニーの名作アニメーションを実写映画化した『ダンボ』が、3月29日(金)より全国公開されます。1941年に制作されたアニメーション映画『ダンボ』では、親子の絆だけではなく、コンプレックスを個性として捉えていくすばらしさという普遍的なメッセージも入っていました。今回の実写映画もしかりで、まさに親子で観ていただきたいおすすめの映画となっています。
先日、ダンボの運命を握るキーマン、ホルト役を務めたコリン・ファレルとティム・バートン監督が来日し、日本語吹替版の声優を務めた西島秀俊と共にジャパンプレミアに参加しました。彼らのコメントから、本作の見どころを読み解いていきましょう。
『ダンボ』では、大きすぎる耳を翼に変えて空を飛ぶ子象ダンボが、サーカス団の仲間と共に、金儲けを企む興行師によって引き離された母象ジャンボの救出に挑みます。アニメーション版ではダンボとジャンボ親子の愛が軸になっていましたが、実写映画では、コリン・ファレル演じる父親ホルトと子どもたちとの家族の絆も打ち出し、より深い人間ドラマに仕上がっています。
風変わりなキャラクターに光を当ててきたティム・バートン監督
ティム・バートン監督といえば、『シザー・ハンズ』(90)、『チャーリーとチョコレート工場 』(05)、「アリス・イン・ワンダーランド」シリーズなど、数多くの作品でジョニー・デップとタッグを組んできましたが、いずれも外見や中身も含め、少し風変わりな個性派キャラばかりでした。監督は他の作品でも、異形の者や個性的なアウトサイダーたちの魅力を見事に紡ぎ上げていますが、今回の『ダンボ』でも「他と違う面を持つダンボの物語を、現代に紹介したいと思いました」と本作に懸けた思いを語っています。
耳の大きすぎるダンボはもとより、ホルトもハンディを抱えたキャラクターです。彼はサーカスで曲芸乗りを得意としていた看板スターでしたが、戦争で傷つき、さらに妻も亡くし、子どもたちの喪失感も埋められずに悩んでいました。ティム・バートン監督は、これまでの作品と同じく、そんなキャラクターたちが試練を乗り越えた先に見える希望を描こうとしたそうです。
コリン・ファレルは、ティム・バートン監督と初タッグを喜びつつ、作品について「他人と違うところが、自分を特別なものにしてくれている、という物語の核にあるハートが大好きです」と、本作のメッセージについてアピールしていました。
また、西島も「ティム・バートン監督作の登場人物は、個性が強くて、どこか周りから浮いてしまう瞬間があります。でも、その個性で周りの人たちを幸せにしていくというテーマがあります。僕自身も勇気づけられたし、皆さんも勇気づけられて、自分らしく生きていこうと感じられるのではないかと」と、同じく熱い思いを口にしました。
まさに『ダンボ』は、オリジナル版も含め、人とは違う個性を摘み取らずに、いかにして伸ばすか、という“多様性”がテーマになっています。ハリウッドでは近年、“多様性”が訴えられていますが、いま子育て中のママたちの心にも大いに共感できる内容ではないかと思います。
また、大人も子どもも、ダンボがここぞというタイミングで飛ぶシーンは、無条件に楽しめること間違いなし。春休み期間にぜひ、家族揃って劇場でご覧いただきたいです。
監督:ティム・バートン
出演:コリン・ファレル、エヴァ・グリーン、マイケル・キートン…ほか
日本語吹替版・声の出演:西島秀俊、井上和彦、浦山迅、沢城みゆき…ほか
公式HP: https://www.disney.co.jp/movie/dumbo.html
文/山崎伸子