現役小学校教諭がすすめる【パソコンで自由研究】まとめのコツ&夏の宿題を楽にするヒント

文部科学省が、2021年の夏休みから1人1台端末の貸し出しを推奨し、パソコンやタブレットの持ち帰り学習が広まりつつあります。(以下、1人1台端末を「パソコン」と表現させていただきます。)

【パソコンは、大人が思っている以上に、子どもにとって魅力的】

小5の息子は、鉛筆を持つことが嫌いで、ノートやドリルなどに、鉛筆で書くことが苦手です。

そんな勉強大嫌いな息子がパソコンを使うと、驚くほど熱中して勉強に取り組みます。これは、息子だけでなく、学校の子どもたちにも見られます。

例えば、「調べたことを新聞やポスターに書いてまとめよう」という授業で、なかなか意欲的に取り組めない子どもも、紙でなくパワーポイントなどのプレゼンテーションソフトを使ってまとめようにすると、驚くぐらい熱中して取り組むことがあります。休み時間にも自主的に取り組むようにさえなります。

【紙でなくパソコンだと、意欲的に学習に取り組む理由】

息子や勉強嫌いな子どもに、「なぜ、紙と鉛筆でなくパソコンだったら勉強をがんばれるの?」と聞いてみました。その答えが次です。

① 鉛筆よりも、パソコンの方が簡単だから。楽だから。

確かに、パソコンのキーボードを打つ方が、鉛筆で書くより小さな力で、文字を入力できます。
タイピングに慣れてきたら、難しい漢字を書くのもパソコンの方が楽で、短い時間ですみます。
手の疲れ具合が全然、違います。鉛筆で書き続けると、大人でも手が疲れます。でも、パソコンだと指でポチポチと打つだけなので楽ちんです。

しかも、パソコンだと、漢字の変換が簡単にできます。 鉛筆だと、分からない漢字があったら、平仮名で書いたら、先生や親から叱られることもあります。

そして、漢字を調べて、消しゴムで消して…面倒くさいし、時間もかかるし、疲れます。
「面倒くさいことも勉強!」「時間をかけてするのも勉強!」「勉強は疲れるもの!」と、教師目線、親目線で、つい思うことがありますが、面倒くさいことをいかに効率よく時間を短くするかも大切な勉強だとも思います。

② 紙よりも、簡単に写真を貼れるから!

ノートや新聞やポスターに写真を貼ろうとすると、プリンターで印刷しないといけません。貼りたいサイズで拡大・縮小も調整しないといけません。ハサミで切って、ノリで塗らないといけません。そもそも、家にプリンターがなければ、印刷もできません。プリンターがなかったり、子どもが自分で印刷できなかったりする場合、写真を見て、紙に描き写すことにもなります。

でも、パソコンのパワーポイントなどのプレゼンテーションソフト(Wordでもいいのですが)だと、あっという間に、貼り付けることができます。拡大・縮小も簡単です。プリンターも必要ないです。(写真をパワーポイントやワードなどに貼り付ける作業が大好
きな子どもも多いです。一瞬で貼り付けられるのが楽しいのだと思います。)

③ パソコンで遊べるから!

パソコンで、タイピングゲームやプログラミングのゲームをすることができます。
タイピングやプログラミングをゲーム感覚で学習するソフトを子どもたちは日頃、楽しんで取り組んでいます。
子どもにとって、パソコンは勉強道具であり、遊び道具でもあります。だから、鉛筆という勉強道具よりパソコンの方が、学習へのハードルを下げることができます。勉強が嫌いな子どもにとって、パソコンは子どもの意欲を高めるありがたい“楽習アイテム”です。

おすすめ!【子どもが家で1人でもできるパソコンをつかった自由研究】

子どもにとっては長い夏休みですが、大人に長い夏休みはありません…。そこで、子どもが家で1人でもできるパソコンを使った自由研究を紹介します。

1番のおすすめは、「日記」です。

日記だと子ども1人でも取り組みやすいです。紙と鉛筆で書いていた日記を、プレゼンソフトやWordなどパソコンを使うことで、子どもも意欲的に取り組めるかと思います。

でも、「え?日記って、研究??」と思われるかもしれません。

日記を書くことで、自分の経験や感情を記録することができます。日記は個人的な成長や思考の変化を追跡するのにも役立ちますし、文章力や表現力も向上させることができます。

さらに、夏休み中の出来事や思い出を記録することで、後から、楽しい思い出を振り返ることができます。自由な形で書くことができるので、自分自身の興味や関心に基づいたトピックを選ぶこともできます。

どのようなアプローチを選んでも、日記は有益な自由研究の選択肢です。頑張って書いてみてください!

パソコンを使った文章だけの日記ももちろんいいですがアレンジの方法も無限大です。

アレンジアイデア6選

① 写真日記

パソコンでネット検索した写真などを添付するのも楽しいです。文章との関連はあってもなくても構いません。
あとで、見返したときに「なんで、こんな写真を選んだんやろ~」と楽しむこともできます。毎日、同じ場所から撮った写真を添付するのも味があるかと思います。例えば、ベランダから撮った景色や、部屋の観葉植物や、金魚…など。

② 短歌日記

文字数を制限することで、勉強嫌いな子どもも「やってみよう!」と意欲がわきます。
5・7・5・7・7の31音の短歌で表現するのは頭を使います。
勉強嫌いな子どもだと一文書くのもハードルが高いです。でも、31音の短歌で表現すると、短くても満足度が高く、自己肯定感が下がることはありません。むしろ短い言葉でセンス良く表現できた!と自己肯定感も上がります。
(写真などを添付するのもいいかと思います。)

③ 親子短歌

5・7・5の上の句をお子さんが、7・7・の下の句を親御さんが書きます。お忙しい親御さんも7・7の14音だけでいいので負担が少なく済みます。何より短歌づくりを通して、お子さんとのコミュニケーションの機会になります。

事例/

「ぼんやりと テレビつけたら 甲子園」(お子さん)
「今度の休みに 観に行ってみよっか?」(親御さん)

「夏休み 毎日のんびり サイコーだ」(お子さん)
「いいな!いいな! パパものんびりしたい」(親御さん)

④ 読書日記

家で読んだ本のタイトルや、一言感想、読んだ日を記録していきます。1日1冊でなくても大丈夫です。
同じ本を読む日が続いても大丈夫です。その日に読んだページの感想があれば、例え同じ本を読む日が続いても、変化があって楽しいかと思います。

⑤ 食品ロス日記

その日、家で出た食べ残しなどを写真に撮って記録します。
記録をすることで、食品ロスを減らそう、食べ物を大切にしようという意識づけにもなりSDGsとも関連します。
「捨てないためにはどうすればよかったか」を考えて、自分なりのアイデア、改善策を書くのもいいかと思います。

⑥ お手伝い日記

その日にしたお手伝いを記録します。
例えば、玄関の靴ならべだったら、ビフォーアフターの写真を撮って、添付すると分かりやすいです。
パソコンのカメラには、タイマーで予約撮影機能があるかと思います。〇秒後に撮影と設定しておき、自分がお手伝いをしているところを撮ることもできますね。
親御さんのお時間があるときに、お手伝い日記を読んで、一言メモを書き足すとお子さんの励みにもなるかと思います。

記録としても便利で、子どもの思い出にもなる!

①~⑥の日記は、固定して同じテーマでしても構いませんし、「今日は、お手伝い日記。明日は、短歌日記」というように、その日でテーマを変えられても構いません。お子さんに合わせて楽しく取り組めるのが一番いいかと思います。

パソコンを使った日記の良さは、子どもの意欲を高めるだけでなく、保存・管理の利便性もあります。
すぐに、その年の日記を読み返すことができ、次の年に、またパソコンを使った日記をするとき、これまでの日記を読み返して、自分自身の成長や変化を知ることができます。

「あ~、〇年生のときは、こんなことをしていたんだな~♪」
「よし、今年の日記は、去年よりも、内容も量も日記をがんばるぞ!」

など振り返ることができますし、パソコンに保存したデータを印刷することもできます。

学校のパソコンは卒業したら、基本、データを見られなくなるかと思います。でも、印刷しておくことで、卒業後、大人になっても見返すことができます。とてもおすすめですよ。

日記の他にも、おすすめの自由研究を紹介します♪

① 読書感想文の下書きをパソコンでする

鉛筆で原稿用紙に書かせると、漢字や送り仮名の間違い、句読点の打ち間違いなど、修正に時間がかかります。
消しゴムで消すと、原稿用紙もくちゃくちゃになってしまい、子どもの意欲も下がってしまいます。親御さんもつい、イライラしてしまうかもしれません。

そこで、パソコンのWordで、書式を原稿用紙にして下書きを書きます。(原稿用紙は、文字数も設定できます。)
パソコンだと、分からない漢字があっても変換することがすぐにできますしし、間違った書き方をしていても、修正が鉛筆よりも簡単にできます。これで子どもの負担もかなり減ります。

② 絵や貯金箱の完成までの過程をまとめる

学校からの夏休みの宿題で、絵や貯金箱があるかと思います。
絵や貯金箱の完成作品を学校に持って行って提出するだけでなく、その制作過程を写真に撮って、Wordやパワーポイントなどにまとめます。図工の作品づくりだけでなく、自由研究にもなって一石二鳥!

また、次の年の夏休みに制作過程を見返して、次の作品づくりの参考にも。やっておいて損はありません。

③ 親子でタイピング対決

学校で、お子さんはさまざまなタイピングゲームをしているかと思います。
1人1台端末が導入される前とは段違いに、子どもたちのタイピング技能は向上しています。子どもの吸収力はすごいです。
中には大人顔負けのタイピング技能をもった子どももいます。お時間のあるときに、お子さんとタイピング対決をしてみてください♪
その結果を記録して、自由研究として提出するのも面白いです。
親子のコミュニケーションの機会にもなりますし、お子さんの成長を感じられる機会にもなるかと思います♪

④ 月の満ち欠けや、雲の形を記録

理科と関連した人気の自由研究です。「月の満ち欠け」は、小学校4年生の理科で学習します。
月の満ち欠けのサイクルは約30日で、ひと回り分を観察すると分かりやすいです。

「雲の形、雲の名前」は、小学5年生の理科で学習します。ベランダから見た雲を写真で撮って、雲の名前を調べます。時間のある夏休みならではの自由研究になりますよ!

いかがでしたか?ぜひ参考にしてみてください。

公立小学校教諭|松下 隼司
1978年生まれ、2児の父親。大阪の公立小学校教諭(教員歴20年以上)。令和4年度 文部科学大臣優秀教職員表彰。
第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞を受賞。著書 絵本『せんせいって』『ぼく、わたしのトリセツ』/教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』 教科書編集委員。
2児の父親としても、小学校教師としても、悪戦苦闘の毎日です。上手くいかないことばかりで、たくさんの失敗をしてきました。そんな経験を元にした工夫を紹介いたします。少しでもお役に立てれば嬉しいです!

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文・構成/松下隼司

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