【現役小学校の先生がおすすめ!】子どもも保護者も楽ちん&楽しい 夏休みの読書感想画と読書感想文 

読書感想文や読書感想画 夏の課題として出されることも多いですよね。課題図書を読むのも億劫、自由図書ではどうしてよいかわからない、といった悩みを多く聞きます。そして絵を描くのが苦手なお子さんにとっては、本も読み絵も描き…ただただつらい課題になってしまいます。少しでも楽しく取り組めるコツを紹介します。

子ども(親御さん)に不人気な読書感想画・読書感想文

夏休みの宿題で、読書感想画や読書感想文がよく出ます…。

私は、今年で小学校教師になって21年目ですが、子どもたちに読書感想画や読書感想文が夏休みの課題にあることを話したとき、
「やったー!」
「楽しみ!」
と言って、喜ぶ子どもは1人も出あったことがありません…。逆に、とても残念そうな表情や嫌そうな表情をする子どもたちが多いです。

 私に、「先生、それって、絶対にやらないといけないんですか?」
と言って質問してくる子どもが毎年いるほど、読書感想画や読書感想文は子どもに不人気だというのが実感です。

やりたくならない理由は、三つあります。

第一に、時間がとてもかかる

本を読む、感想をまとめる、読書感想文は、時間がかかります。
読書感想画は、作業だけでも半日はかかるでしょう。こだわって丁寧に描けば、1日以上かかります。単純に、四つ切画用紙に絵の具やパスで塗るだけでも時間がかかります。

夏休みは、子どもにとって、とても楽しい時間です。よっぽど、文章を書くのが大好きな子ども、絵を描くのが好きな子どもでないと、夏休みの貴重な時間を割いてまで取り組もうとしません。(小5の息子がいますが、毎年、夏休みの最後の週に慌てて突貫工事で仕上げています。)

第二に、本を読まなければならない

休日に、しかも夏休みに、読書ができる子どもは、よっぽどの本好きです。小さい頃から、絵本など読書に親しむ環境が整っていたご家庭と思います。
日記などの作文を書ける、絵だったら描ける、でも、「読書」にはとても抵抗感をもつ子どももいます。
そして、読書嫌いな子どもにとって悩みの種は、「本選び」です。読書感想文、読書感想画を描くために、どんな本を選んだらよいかが分からないのです。読みたくないから、書きたくないから、描きたくないから、選びたくないのです。(このことを小5の息子やクラスの子どもたちに話すと、大きく頷いてくれました♪)

「本を読まなければならない(選ばなければならない)」というのが、子どもたちに読書感想文や読書感想画が不人気な1番の理由です。

第三に、書き方、描き方が分からない…

学校の授業で習っていないところがほとんど。そもそも、国語の教科書に、読書感想文の書き方のページがないのです。

教科書の内容を精一杯だと、読書感想文の書き方を授業する余裕はありません。読書感想画も同じです。

結局、子ども任せ、家庭(親御さん)任せになってしまいます。子どもも親御さんも書き方、描き方が分からないので、本当に苦しみます。私も父親になって実感しました。親御さんは、子どものように夏休みはありません。せっかくお子さんと過ごす貴重な時間が、イライラの時間になってしまっては悲しいですよね。


 以上、三つの理由から、私は、読書感想文や読書感想画をやる・やらないは、「自由」にしていますが、学校によっては必須課題のところもあるでしょう。
親御さんがお仕事で忙しくて見てあげられないと、子ども1人で取り組まなければなりません。読書感想文や読書感想画をきっかけに、読書嫌いになってしまっては、悲しすぎますよね…。そこでおすすめするのが以下のアイデアです。ぜひ参考にしてみてください。

楽しくて華やか!おすすめの読書感想画は「スクラッチアート」で

 子どもにとっても、親御さんにとっても、楽しく&楽ちんにできるのが「スクラッチアート」という描き方です。
 次は、小学校6年生の子どもたちが描いた作品です。(許可を得て掲載しています。)どれもすごくおしゃれで素敵に見えませんか?

【描き方】

➀ パス(赤・黄・青・緑・ピンク・水色・黄緑・白色など)で、画用紙に好きに塗る。


② 黒色や紺色のパスで、上から塗り重ねる。

③ ゼムピン、竹串など先の尖った物で、削る。(すると、下の鮮やかなパスの色が見えます。)

【スクラッチアートの長所】

➀ 削るだけで、色の変化が出る。

② 絵の具で塗った作品よりも、雑さが目立たない。(むしろ芸術的に見えることもあります♪)

③ 絵の具よりも丁寧さが必要ない。

絵の具だと下描きの線をはみ出して塗らないように気をつける必要がありますが、スクラッチアートは、下描きをすることがないので、一気呵成に仕上げる形になります。下の色が最初からランダムでカラフルなので、少しの失敗は全く気にならないのも良いポイントです。

④ 親御さんがお子さんを手助けする必要がない。

【スクラッチアートの短所】

➀ パスの塗りカスが出るので、机が床や服が汚れないように場づくりが必要。
 (下に新聞紙などを敷くだけでOK。)

② 下地づくり(鮮やかな色に黒で塗る)は単純作業だが、多少時間がかかる。

みんな困っている 読書感想文は、「本選び」が肝 

 読書感想文は、自分の経験と読んだ本の登場人物や出来事と比較しながら書きます。それがないと、本の文章を読んで、文章を丸写しするだけになってしまいます。「面白かったです」「楽しかったです」「ワクワクしました」「印象に残りました」と書き添えるだけになってしまいます。

だから、本選びがとても重要に!

『名探偵コナン』が好きだからといって、『名探偵コナン』の小説版を購入してしまうと感想文を書くときに困ってしまうことが多いかと思います。コナンくんと似た経験(事件に遭遇・推理で解決)が自分にほとんどないからです。だから、読むための本でなく、書くための本を選びます。

例えば、サッカーが好きなお子さんでしたら、本田圭佑選手などサッカー選手の自伝や、サッカー漫画の小説版がおすすめです。
自分のサッカー経験(なぜサッカーを始めたのか、サッカーをやっていて楽しかったこと、しんどかったこと、練習や試合でのエピソード、ライバルチームや選手など)と比較しながら書くことができます。

 ゲームやYouTubeが好きなお子さんも同じです。「ゲーム」「ユーチューブ」「本」「子ども向け」「小説」「物語」「自伝」などでキーワード検索すれば、たくさんの本を見つけられます。

自分が今、熱中していることや、趣味に関する本を選ぼう

 もし、熱中していることや趣味がない場合は、「夏休み」「本」「物語」「子ども向け」などでキーワード検索してみてください。

「夏休み」を舞台にした物語本が見つかるかと思います。そして、自分の夏休みの過ごし方(家での過ごし方、外出、帰省、夏祭り、友達と遊んだこと、家族との思いでなど)と比較して感想文を書き進められます。

 自由図書でなく課題図書を読んで、感想文を書けるのは、よっぽど読書が好きで、なおかつ作文力があり、作文を書くことに抵抗がないお子さんです。そして、ご家庭のサポートを受けられるお子さんです…。(課題図書に限らず、自由図書でもですが、ご家庭のサポートを受けて書いた感想文かどうかは、子どもたちと毎日過ごす先生方でしたらすぐに分かります。)

先生おすすめ!読書嫌い、作文嫌いの子どもも楽しく書ける読書感想文の書き方

➀ 自分の夢や趣味に関する本を選ぶ。

② 本を読む前に、自分の夢や趣味のことを書く。

「本を読む前に」というのが大切です。本を読んでからだと、「本の内容に関することを書かないといけない」と思い、ハードルが上がってしまいます。例えば、ゲームが好きだったら、どんなゲームにはまっているのか、どれだけはまっているのか、はまる理由は何か、これまでどんなゲームにはまったか、次にほしいゲームは何か、など自由に書きます。

③ 本を「選んだ理由」と、本の「登場人物と自分との比較」について書きます。

例えば、「ゲームが好きだから選びました。」となります。そして、②で書いた内容と本の内容との違いを書きます。

④ 最後に、これから自分はどうしていきたいかを書く。

例えば、「子ども時代にしかない夏休み、たっぷりゲームを楽しみたいです!」「将来、ゲーム関係の仕事について、~~したいです。」など、素直な気持ちを書きます。

作文の文量のイメージは?

まず②の「本を読む前に、自分の夢や趣味のことを書く」が、全体の5割~6割程度です。

次に、③の「本を選んだ理由と、本の登場人物と自分との比較について書く」が全体の4割~3割程度です。

そして、④の「最後に、これから自分はどうしていきたいかを書く」が、全体の1割程度

つまり、②と④(自分のこと)で6割~7割程度書きます

読書感想文を書くのが苦手なお子さんほど、自分のことを書く文量を増やすのが、秘訣です!
ぜひこの夏、参考にしてみてください。

公立小学校教諭|松下 隼司
1978年生まれ、2児の父親。大阪の公立小学校教諭(教員歴20年以上)。令和4年度 文部科学大臣優秀教職員表彰。
第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞を受賞。著書 絵本『せんせいって』『ぼく、わたしのトリセツ』/教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』 教科書編集委員

2児の父親としても、小学校教師としても、悪戦苦闘の毎日です。上手くいかないことばかりで、たくさんの失敗をしてきました。
そんな経験を元にした工夫を紹介いたします。少しでもお役に立てれば嬉しいです!

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文・構成/松下隼司

夏休み☆自由研究ハック

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