滋賀・関西の「丁稚(でっち)羊羹」、普通の羊羹とどう違う? 甘さ控えめであっさり・もちもちな美味しさの秘密とは

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丁稚羊羹を作ってみよう。

「丁稚羊羹(でっち羊羹)」とは、小豆と砂糖で作った餡に小麦粉を混ぜてできた羊羹のこと。近江八幡地域から大阪や関東など各地域に奉公にでた「丁稚(でっち)」と呼ばれる少年が、奉公先へお土産と持ち帰ったことから呼ばれるようになりました。そんな丁稚羊羹の歴史や由来、特徴などを紐解きます。

丁稚羊羹とは

「丁稚(でっち)」とは、年少のうちから商家で住み込みで働く少年のことをいい、年少のころから下働きとして勤務することを「丁稚奉公(でっちぼうこう)」といいます。

そんな「丁稚」の名前がついているのが、「丁稚羊羹(でっち羊羹)」です。従来の羊羹なら寒天が使われますが、その代わりに小麦粉を使って作られたのが、丁稚羊羹です。

場所・エリア

丁稚羊羹は滋賀県の特産品のひとつで、かつて近江八幡地域から大阪や関東など、全国各地に奉公へいった丁稚にちなんで生まれたと言われています。1998年には、滋賀県の選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」に選ばれています。

また福井県、関西地方などにも丁稚羊羹が名産としてあり、それぞれの地域で作り方や味などに特徴があります。

丁稚羊羹は滋賀県の特産品のひとつ。また、福井県、関西地方などにも丁稚羊羹が名産。
丁稚羊羹は滋賀県の特産品のひとつ。また、福井県、関西地方などにも丁稚羊羹が名産。

いつ、どんなときに食べる?

昔は砂糖が高価な食材だったため、砂糖をたっぷり使う羊羹も高級品でした。しかし、丁稚羊羹にはあまり砂糖がたくさん使われていません。砂糖をたくさん使った羊羹なら保存もききますが、丁稚羊羹はそこまで保存できないため、特に冬に食べられることが多かったと言われています。

歴史

丁稚奉公が行われていたのは、主に江戸時代。明治時代などになっても続いていたと言われており、丁稚羊羹が生まれたのも江戸時代頃と考えられています。

由来、言い伝え

丁稚羊羹という名前の由来には、いくつかの説があります。ひとつは、丁稚が実家に帰省する際や、奉公先へ戻る際に、お土産として持ち帰ったという説。給料の少ない丁稚でも購入できる安いお菓子だったと言われています。

その他には、菓子作りで餡などを練り合わせることを「でっちる」ということから、「丁稚羊羹」と言われるようになったという説もあります。

さらに、丁稚羊羹では従来の羊羹の作り方と比べて、煮詰める工程が足りないことから、「半人前」という意味で「丁稚」と付けられたという説もあります。

丁稚羊羹の特徴

丁稚羊羹には、どんな特徴があるでしょうか?

丁稚羊羹の特徴
丁稚羊羹の特徴は?

特徴1:もちもちとした食感

丁稚羊羹は、小豆と砂糖で餡を作り、そこに小麦粉または上新粉を混ぜて、蒸して作られます。丁稚羊羹は砂糖の使用量が少なく、甘さ控えめであっさりとした味わいが特徴です。また従来なら寒天が使われるところ、小麦粉を使って蒸しているため、もちもちとした食感があります。

特徴2:竹の皮で包んでいる

丁稚羊羹は、竹の皮で包まれているのも特徴のひとつです。小豆と砂糖でできたこし餡に小麦粉をよく練り合わせたら、水で湿らせた竹の皮に餡をのせて包み、これを蒸し器で蒸して仕上げていました。羊羹の表面にうっすらと竹皮の跡が残り、竹の香りもほんのりとして、風情があります。

特徴3:シンプルな材料

丁稚羊羹は、小豆と砂糖でできたこし餡に小麦粉を練りまぜただけのお菓子。シンプルな材料だからこそ、小豆や砂糖の素材の味わいを楽しめるものです。現代で売られている丁稚羊羹は、小豆などの材料の品質にこだわっているものも多く、そんなシンプルな味を楽しむといいでしょう。

丁稚羊羹の違い

丁稚羊羹は、地方によっても若干の違いがあります。

地方によって、異なる丁稚羊羹。
地方によって、異なる丁稚羊羹。

違い1:滋賀の「蒸すタイプ」

丁稚羊羹は近江地方が発祥と言われ、滋賀県の特産とご紹介しました。この丁稚羊羹は、竹の皮に包んで蒸して作ります。大阪、京都などの関西地方でも、丁稚羊羹は名品となっていますが、主に滋賀の蒸して作るタイプが主流です。

違い2:福井の「水羊羹タイプ」

一方、福井県などの北陸地方にも丁稚羊羹があります。砂糖の使用量が少なく冬に食べられるという共通点はありますが、福井県の丁稚羊羹は竹の皮には包まれておらず、つるんとした水羊羹のタイプ。昔は駄菓子屋や八百屋の店頭で丁稚羊羹が販売され、へらですくって売られていたそうです。

違い3:大阪・北摂地域の「寒天を使った羊羹」

大阪の北摂地方にも丁稚羊羹があり、北摂地方では寒天が作られていたため、地域特産のその寒天を使って丁稚羊羹が作られていました。高価だった砂糖の使用量は少ないですが、寒天が使われているため、できあがった羊羹の食感が他の地域の丁稚羊羹とは異なります。

違い4:現代の丁稚羊羹は味も進化

現代も和菓子屋などで売られている丁稚羊羹。昔のままに竹皮で包んだ丁稚羊羹もありますが、黒糖を使ってコクのある味わいに仕上げたり、栗などを入れて食感に変化があったり、バリエーションが豊富になっています。販売する和菓子屋によっても、見た目や味わい、食感などもそれぞれで異なるので、そんな違いを楽しんでもいいでしょう。

丁稚羊羹の作り方

丁稚羊羹は、小豆や砂糖、小麦粉といった身近な材料だけで作れるため、昔は家庭でもよく作られていました。現代では和菓子店などで購入するケースが多いです。ここでは滋賀県の丁稚羊羹の作り方をご紹介しましょう。

丁稚羊羹を作ってみよう。
丁稚羊羹を作ってみよう

材料

基本の材料は、次の通り。

  • 小豆
  • 砂糖
  • 小麦粉
  • 竹の皮

小豆と砂糖で餡を作ってもいいですが、市販のこし餡を購入してもいいでしょう。

作り方

  1. こし餡を作る
  2. こし餡に小麦粉を混ぜ、よく練り合わせる
  3. 竹の皮を水で湿らせ、餡をのせて包む
  4. 蒸し器に入れて蒸す
  5. 蒸し器から取り出し、熱いうちに重石をのせて平らな形にする

丁稚羊羹のおすすめ

通販で購入できる丁稚羊羹のなかから、おすすめのものをご紹介しましょう。

でっち羊羹

近江銘菓の丁稚羊羹発祥の店と言われる、和菓子屋「和た与」。職人が丁寧に1本1本しあげた羊羹を天然の竹皮で包んでいる、滋賀名物の丁稚羊羹です。竹の香りと、独特の平べったい形が特徴的。

藤江屋分大 丁稚羊羹

1818年に兵庫県明石で生まれた老舗、藤江屋分大の出路羊羹です。粒選りの小豆を使い、甘さ控えめに仕上げられています。

明植堂 出路羊羹

明示8年創業の明植堂が手がける丁稚羊羹です。北海道産の小豆を使い、冷凍ではなかなか出せない風味や歯ざわり、味などを研究して作られています。

デッチ羊羹

京都にある菓子店、丸貴が手がける丁稚羊羹です。使用する小豆は、100%北海道産。独自の製法により手間暇をかけじっくりと炊きあげています。“デッチ”とカタカナで書かれたパッケージも、レトロでおしゃれな雰囲気。

でっちようかん

福井県小浜市にある老舗和菓子店、志保重の出路羊羹です。1806年創業という同店で脈々と受け継がれてきた味とおいしさが詰まっています。黒砂糖を使っていないため、とてもあっさりした味わいが特徴です。福井の丁稚羊羹を楽しみたい方にぜひ。

羊羹・餡好きの方におすすめ

滋賀県の特産として知られる丁稚羊羹ですが、滋賀県以外の地域にも、福井県や関西地方など、多くの地域で丁稚羊羹が売られています。そして、それらは同じ丁稚羊羹という名前がついていても、それぞれで材料や作り方が異なり、味わいも違います。そんな丁稚羊羹の歴史や違いを知ってから食べると、よけいに味に深みが感じられるかもしれません。羊羹が好きな方、餡が好きな方などは、ぜひ丁稚羊羹を楽しんでみてはいかがですか?

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