『バースデー・ワンダーランド』で子どもと一緒に冒険の世界へ!【親子で観たい映画】

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

柏葉幸子の児童文学「地下室からのふしぎな旅」(講談社青い鳥文庫)を、大人もむせび泣いた『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』の原恵一監督がアニメ化した『バースデー・ワンダーランド』が、4月26日(金)より公開されます。とにかく、本作は原監督のみずみずしい感性で紡がれた映像美が秀逸。劇場へ行けば、「ふしぎの国のアリス」さながらに、観たことのないようなワンダーランドへ飛び込んだ気分になれます。

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

原恵一監督といえば、河童と少年との心温まる交流を描く『河童のクゥと夏休み』や、直木賞作家・森絵都の同名小説を映画化した『カラフル』、浮世絵師・葛飾北斎の娘・お栄を主人公にした『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』で、国内外の映画賞を数多く受賞してきたアニメーション界の巨匠です。『バースデー・ワンダーランド』も、「2019アヌシー国際アニメーション映画祭」の長編映画コンペティション部門にノミネートされ、話題を呼びました。

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

それぞれ作品の毛色は違いますが、原監督は独自の世界観とストーリーテリングで、アニメーションの可能性を広げてきました。新作『バースデー・ワンダーランド』は、“色が失われる”危機に瀕した幸せ色の国、ワンダーランドが舞台ということで、美しい色使いが感性に訴えかける映画となっています。

『千と千尋の神隠し』を思わせる冒険ファンタジー

 

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

誕生日の前日に叔母チィが営む骨董屋を訪れたアカネ(声:松岡茉優)。そこで突然、地下室の扉が開き、謎の大錬金術師ヒポクラテス(市村正親)とその弟子・小人のピポ(東山奈央)が現れます。アカネは、2人に「私たちの世界を救ってほしい」と懇願され、チィと共にしぶしぶ骨董屋の地下の扉からつながる“幸せ色のワンダーランド”を訪れることに。

本作は『千と千尋の神隠し』のように、自分に自信がなかった少女が冒険を経て、人生の荒波に一歩踏み出す勇気を得ていくという心温まる冒険ファンタジー。原監督はその成長を描くにあたり、あざとい演出を極力避けて、今を生きるリアルなキャラクターたちに、溢れる思いを語らせています。

ワンダーランドの吸い込まれそうな世界観に心を奪われる本作。時空を操るクモの橋や、まんまるでモフモフの羊たち、カラフルで巨大な金魚や鯉が泳ぐ湖、ヴィヴィッドな色彩の花畑など、原監督のイマジネーションが炸裂した映像美が圧巻です!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

これまでの原監督作とは、少し画のタッチが違う本作。すばらしい原作の世界観を表現すべく、原監督はキャラクター/ビジュアルアーティストに、ロシア出身の新進気鋭な若手イラストレーター、イリヤ・クブシノブを抜擢。いつになく、キュートなキャラクターやエスプリを感じる洗練された画は、女の子たちにも好評を博しそう。

松岡茉優、杏、麻生久美子と、声優陣のアンサンブルも秀逸

 

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

声優陣も豪華な布陣となりました。主人公のアカネ役に松岡茉優、アカネとは正反対の自由奔放な性格の叔母チィ役に杏、アカネの母・ミドリ役に麻生久美子、 アカネを“ワンダーランド”の世界へ導く大錬金術師ヒポクラテス役に市村正親。彼らが織りなすアンサンブル演技が心地よいです。

ママ的には、友人関係に悩む娘アカネに接するミドリのほどよい距離感にも共感できそう。とにかく映画館で観るべき、美しくも雄々しい映画なので、親子でめいっぱい体感していただきたいです。

『バースデー・ワンダーランド』4月26日(金) より全国ロードショー
原作:柏葉幸子「地下室からのふしぎな旅」(講談社青い鳥文庫)
監督:原恵一
声の出演:松岡茉優、杏、麻生久美子、東山奈央、藤原啓治、矢島晶子、市村正親…ほか
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/birthdaywonderland/

文/山崎伸子

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