子どもと考える自由な居場所。地域で子どもを育てる街カフェ大倉山ミエルの活動とは

2010年から多世代が交流できる地域の居場所を創りたい、という想いからコミュニティカフェの運営やフードパントリーなどさまざまな活動をしているNPO法人街カフェ大倉山ミエル。地域ぐるみの活動は、まちづくりのモデルとしても注目されています。「子どもと考える子どもの自由な居場所」として行っている乳幼児親子、小学生の活動について紹介します。

地域の人たちと子どもを育てるコミュニティカフェの活動


子育て世帯に占める核家族の割合が増え、近所の人たちとの出会いや支え合える場所が少なくなり、子育て中の親御さんが孤立してしまうというケースも…。大倉山(神奈川県横浜市)で活動をしているNPO法人街カフェ大倉山ミエルの代表である鈴木智香子さんは、子育て世代の「社会的孤立」を解消したいという想いからさまざまな活動をしています。

NPO法人街カフェ大倉山ミエルとは?

NPO法人街カフェ大倉山ミエルでは実際にどうのような活動をしているのか、代表の鈴木智香子さん、鈴木健夫さんご夫婦に話を聞きました。

ーNPO法人街カフェ大倉山ミエルの活動について教えてください

智香子さん:近所のマイナス1歳から101歳の多世代が気軽に集まり交流できる街カフェとして、さまざまな活動をしています。ミエルでは子どもたちや親御さんに自主的に地域とつながる企画を考え実行してもらおうと、「コミュニティカフェを基地に『子どもの自由な居場所』を子どもたちと作る」というプログラムを考えました。子どもの自主性は親の自主性からということで、ミエル企画部のメンバーや参加者の企画・運営で進めてもらっています。

例えば「みつばち探検隊」という乳幼児親子の活動では、子育て中のお母さんが中心になって企画を立て、ミエルを基地にして近くの公園や少し遠出して遊びにいったり地域の人と交流を深めています。

健夫さん:ミエルALLというミエルに関わる人のライングループがあって、現在は約230人が参加しています。その中には、畑部、赤ちゃんカフェ、放課後ミエルなどたくさんの活動グループがあって自然発生的に増えていくんです(笑)。私たちは、その活動に対して指示をしたりすることはなく、荷物を運んだり道具を保管したりサポートをするくらいです。


ーミエルの活動に参加している親御さんの反応はいかがですか?
智香子さん:コロナ禍では孤立してしまうご家庭が多く、子どもが産まれてから始めて家族以外の人と話しましたというお母さんが何人もいたんです。ミエルでは赤ちゃんカフェを随時開催していて、この時期にお母さんたちの居場所ができたということはよかったと思います。
「ミエルがあるから大倉山で子育てをしようと思った」と言ってくれる人もいて、2人、3人目と子どもの出生率に貢献できているのではないかと思っています(笑)。

ーこれからのミエルについて新たに考えていることはありますか?
健夫さん:ミエルはいま、多世代のコミュニティでみんなが自発的に活動できる良い状態です。私たちが居なくても他の地域でミエルのような場所が増えたらいいなと思っています。
ミエルの“ゆるい活動”は、言葉で説明するのは難しいので興味があれば近所ではなくてもふらっと遊びに来てほしいですね。

子どもの自主性は親の自主性から

ミエルでは、初夏と冬の年2回、大倉山記念館のギャラリーでイベントを開催しています。イベントを企画・運営するのは「みつばち探検隊」で活動をしている子育て中のお母さんたち。


イベントを運営していたお母さんたちは、どのようなきっかけでミエルに参加するようになったのでしょうか?

うえださん:きっかけは近所の友だちに誘われて遊びにいったことです。ミエルは多世代が集まるので先輩ママさんたちとの交流があり、第一子出産後不安になりながらの子育て期間中に強い見方ができたような感じで、ここに来れば安心だなと通いはじめました。
まつもとさん:コロナ禍に出産をして、転勤で大倉山に引っ越してきたときに同じように育児をしている人と繋がることがなくて孤独を感じていました。そんな時にミエルで開催されていた赤ちゃんカフェに参加したのがきっかけで、いろんなイベントに参加するようになり交友関係が広がって、いま子どもたちも一緒に楽しく活動させてもらっているのでありがたく感じています。

子どもたちが自主的に活動する場所「放課後ミエル」

「放課後ミエル」では、週に2回小学生を対象に自主的に過ごせる時間を設けています。どのような活動をしているのか、担当の谷 篤さんにお話を聞きました。


ー「放課後ミエル」とは?
谷さん:小学生の放課後の居場所は、この地域ではキッズクラブ、学童などがあります。キッズクラブができてからは、希望者は全員入れるようになったので基本的に学童の待機児童はいなくなったんです。
子どもたちの居場所は既にあるのですが、現実的にはその居場所が自分に合わなかったり、条件が満たせず入れなかったりする子がいます。コロナ禍では、家で一人で過ごすという子もいました。一人で家に居ることが悪いとは思いませんが、ゲームをやるとしても時々はみんなでやるとかそういう場所があれば、子どもたちの放課後の居場所に選択肢が増えるからいいなという想いからできた場所です。

「放課後ミエル」に参加するのに登録は必要ありません。登録制にしてしまうと参加できない子が出てくるので、誰でも参加しやすいようにしています。学童に行っている子でミエルにくる子もがいれば、キッズクラブが終わった後にくる子もいるし、自由に遊びに来ていい場所です。

ー子どもたちはどのように過ごすのでしょうか?
谷さん:「放課後ミエル」では基本的に2人以上の大人が居るようにしていて、大人と一緒に近所の公園に遊びに行ったりミエルで工作したり、本を読んだり、おしゃべりをしたり、子どもたちは好きなことをして過ごしています。


子どもたちのやりたい!という声から「駄菓子屋」「逃走中」「鶴見川でハセ釣り」などのイベントを開催することもあります。イベントは子どもたちで企画を考え、計画を立ててもらいます。

子どもたちのやりたいイベント以外にも、地域のスペシャリストに話してもらう企画ではテレビ会社に勤めている人にYouTube講座をしてもらったり、「衆院議員選」について考えるイベントも開催しました。

ー「衆院議員選」について考えるイベントは、どのような内容なのですか?
谷さん:「衆院議員選」について考えるイベントでは、自分たちがどの政党の政策がいいと思うのか話し合いました。


子どもたちがメディアなどを通して感じた政党に対するイメージが影響しないように、各政党の政策を説明するときに政党名を伏せ、政策を聞いたうえで比較表を作り、どこの政党がいいのか各自選んで最後に政党を伝えました。みんなそれぞれの視点で考えて選ぶのがおもしろくて、その時の参加者が10人くらいいてちょうど平等に票が分かれたんですよ。

これからやりたいイベントのひとつに、「子ども哲学」があります。ひとつのテーマに対して子ども達が主体的に話し合いをする機会を定期的に開催したいと思っています。

地域の人と育む子どもの未来


地域の人とつながることで、広がる世界。知らないだけで、自分の住む街でも同じような活動をしている場所があるかもしれません。気になったら、一歩踏み出すことが大切。ミエルのような場所を自分が暮らす街でも作りたい!という人がいれば、気軽に相談してほしいという代表の鈴木夫妻。こんな居場所が、どんどん広がっていけば子育てがもっと楽しくなりますね。

地域の人たちの悩みに合わせて変化し続けるミエルの活動は、ホームページやSNSから確認できます。

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NPO法人街カフェ大倉山ミエル ホームページは>こちら

撮影/五十嵐美弥
取材・文/やまさきけいこ

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