発表時間が遅れるトラブル発生!
―成績も安定していたということで、1月校も無理なく受験できたのではないでしょうか。
父)埼玉県の学校(B校)は、合格をいただきました。続いて、同じく埼玉県のC校を受験。試しに受けたら、人工芝のグラウンドがとてもきれいで、野球やサッカーなど部活動も充実していることを実感したらしく、本人がとても気に入りました。「受かったら、この学校に行きたい」と言っていたのですが…。
母)残念ながら、結果は×。
父)本人は「苦手の算数以外は、わりと出来た」と言っていましたが、後から聞くと、どうやら親を安心させたかったようなんですよ。「何で落ちたんだろう」と言っていましたが、本人は緊張したのかもしれません。まあ、受かればラッキー的な学校でしたから、親としては冷静に受け止めました。
―いよいよ2月です。2月1日の受験はいかがでしたか?
父)午前中はA校(進学した学校)を受験。午後は、塾の先生とも相談して、偏差値的には大丈夫だろうと思える学校(D校)を受験しました。
―発表は当日でしょうか。
父)A校は22時に発表予定だったんですが、何らかの通信トラブルがあったらしく、発表が遅れたんです。先に、午後受験したD校の発表がありました。それが…。
母)まさかの×だったんです! 本人は寝ていたのですが、もう頭は真っ白!
父)この先、数時間、家庭で自分は一体どういうふうにふるまえばいいんだろうと焦りました。まさかの×って、本当にキツイですね。最終的には、どこか受かるだろうと思っていましたが、そこが先に×が来たことで、文字通り、顔面蒼白になりました。
―塾へはすぐに連絡しましたか?
母)すぐにメールをしました。算数一教科受験だったのですが、同じクラスにやはりダメだった子もいたということでした。
父)その日の別の午後受験校候補(E校)と検討した結果、偏差値的にはÐ校のほうが確実だと思って受けたのですが…。塾の先生からは、ひたすら「申し訳ない」と言われましたが、頭の中は混乱状態でした。実際、30分間ほど、地獄のような時間でした。
―その後、遅れていたA校の発表ですね。
父)「大丈夫だよ。受かっているよ」と言いながら、実は私自身、ノープランでした。受かっていなかったら、どうしよう…とすごく緊張していました。
―30分遅れて、結果が発表に。合格の瞬間は?
父)万歳三唱です! すぐに。寝ていた息子を起こして、ジュースで乾杯。祝勝会をやりました。
―そして翌日、2日の受験はどうしましたか?
父)午前にF校を受験。午後は受験しませんでした。F校の結果は×。2月3日の午前は、A校の2回目受験を予定していましたが、1日で合格できたので受験はしませんでした。
―見事に志望校合格を果たした勝因は何だったと思いますか?
父)過去問は相性が良かった印象があります。偏差値も大切な基準だとは思いますが、その学校の試験との相性のほうが大事だなと思います。
―受験期に、親が気を付けていたことを?
父)うちの子は、集中力はあまりないタイプのようなので、長時間は勉強しない。息抜きも必要だと思い、野球中継も一緒に見ていましたが、「そろそろ勉強したら?」と声をかけ、20時にはテレビは消したことぐらいです。
大学付属の中学校での生活
―今、どんな学校生活を送っていますか?
父)楽しそうですね。結局、息子はサッカー部に入りました。本人は野球よりサッカーが得意だと思っていたのかな。陸上部にも関心があるようなので、将来は箱根を目指しているのかもしれません(笑)。
―中学に入ってからの勉強はいかがですか?
母)受験を通して、勉強する習慣は身についているようなので、定期テストも大丈夫。本人も、基準を満たせば大学までいけることも分かっているので、真面目にやっているようです。
―今、塾には通っていますか?
母)以前通っていた英語塾(英会話)のみです。
―息子さんにはどう育ってほしいと思いますか?
母)一言で言うと、頑張り屋さんです。幼稚園の先生にも「できるまでやる子」と言われていました。負けず嫌いで、できるまで頑張れる、努力をし続けることはできる子だと思います。同時に、何かやるときには、準備が必要だと思うタイプ。これからも、本人なりに頑張ってほしいですね。
父)そういえば、小学校のとき、最初のスポーツテストでBという評価がついたんです。それがとても悔しかったらしく、毎年、スポーツテストが始まる時期になると、腹筋や握力を鍛えるトレーニングをやり始めるんです。そういう頑張り屋の部分は、ずっと持っていてほしいですね。親として、セコイ感じのする子は嫌です。たとえば、自分だけ勉強して、よい成績だけとっていればいいという考えは嫌なんです。私は、自営業なので、たとえ自分に得にならないことでも、商店会とのお付き合いもありますから、いろいろ協力しています。コスパ、タイパが悪いからという理由だけで、物事を決める子にはなってほしくないなと思います。
母)みんながやらないことも、やってもいいよという子になってほしいです。損な役割かもしれないが、それはいいところ。この間も、「同学年のチームメイトは、誰もキーパーをやったことないけど、自分は一回だけキーパーやったことある。誰もやらないなら、自分がやろうかなあ~」と言っていました。私も、そういう考え方は、尊重したいと思います。
―今通っている中学校を選択してよかったと思うことを教えてください。
父)本人がしっかりしたと思います。受かったことが自信になっていますから。学校にも誇りも持っているし、やれば結果が出るということがわかったのはよかったですね。
母)やればできるという自信がついたのは、本当に良かったと思います。実は、息子は小学校受験を経験し、そのときは不合格でした。その経験が心に引っかかっていたのではと思っていたので、それが払しょくされてよかったです。中学進学後も、スムーズに勉強に入れたこともメリットでした。仮に希望校に合格できていなくても、中学受験自体はよい経験だったと思います。
―Ⅿさん一家にとって、中学受験とはどんな経験になりましたか?
父)2月の2日から毎日乾杯。「頑張ったね。良かったね~」で一日が終わる毎日は本当に良かったです。息子の受験の仲間も、みんなそれぞれに進学していく姿を見られたのはよかったですね。
母)いろんな学校を見にいけたのは思い出深いです。あ、そうそう、健康維持のために、ヨーグルトや乳酸菌入り飲料もおすすめです。これからの時期、親子ともども風邪をひかず、頑張ってください~!
高校受験、大学受験…と、より大人につれて、本人の考え方や選択が重要になっていく一方、中学受験は、まだまだ親子の絆が試されるところです。Ⅿさん一家のように、家族で協力して乗り切ることができたらいいですね。
Mさんの塾選びから転塾までの話を聞いた前半はこちら
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取材・文/ひだいますみ