ダウン症の弟と兄のYouTubeが世界で大注目!キュートでパワフル、きっと優しくなれる映画『弟は僕のヒーロー』が本日公開!

世界が注目したダウン症の弟と兄のキュートでパワフル、映画を観たらきっと優しくなれるハートウォーミングストーリー! 
1月12 日(金)よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

イタリアの底抜けの明るさがこの映画の魅力。笑って楽しむうちに大切な問題をいつの間にか考えることができる

ダウン症の弟が生まれる前の一家の車中での家族会議からこの映画は始まります。

イタリアは、家族をとても大切にするという話を聞いたことがありますが、この一家もそうです。主人公ジャックには仲のよい両親と、姉と妹がいます。とても仲の良い家族は、父母が出会った場所で、いつも家族の大事なことを話し合って決めてきました。

そんな習慣の中、母親のお腹に新しいいのちが育まれました。もうすぐ6人家族になることが子どもたちに伝えられ、みんなの顔は喜びに満ち溢れます。子どもの名前もこの家族会議で決まるのです。

その後、弟が生まれた日の家族の様子がていねいに描かれ、家族の一人ひとりのうれしい気持ちやダウン症と告げられて戸惑う気持ちが伝わってきます。

かわいい末っ子がダウン症だったと知り、ショックを受けるというより、息子について知ろうとする両親をはじめ、きょうだいも弟ジョバンニ(ジョー)のことを前向きに受け入れていきます。

朗らかな様子はいかにもイタリア映画です。ややもすると暗くなりがちな映画を、底抜けに明るく楽しく描いています。

いろいろやらかしてくれるけど兄は弟が大好き!でも思春期の感情がいつの間にか大きなトラブルに発展

【ストーリー】弟が生まれたころの主人公ジャックはまだほんの子どもでした。周囲の大人の様子から、他の子と違う弟のことをスーパーヒーローのように思っています。その描かれ方がアニメ映画のように感情表現が豊かで、ダウン症のよい面を引き出しているのです。

ジャックは、大きくなっていろいろな問題をやらかしてくれる弟について、難しい面もわかってきます。でも、2人はとても仲がよく、弟はジャックを慕っています。ジャックも弟をとてもかわいがるのです。この映画のラストでジャックは弟に救われます。

映画の中でジャックのドラムに合わせて、ジョーが楽譜を見ずに音楽を奏でている場面は、兄弟の波長がとても合っていて、2人の音楽の才能を感じさせます。

中学卒業後、ジャックは自宅から離れた高校に通うことを決めるのですが、その理由はある女の子に恋したから。女の子の気を引くためにジャックのついた嘘が、その後大きな問題に発展していくのです。

ダウン症の弟と2人でつくったショートムービーが再生回数60 万回を超えてせかいが変わった

この映画ができたきっかけは、原作者ジャコモさんと弟さんとのショートムービーです。

ジャコモさんは、2015 3 21 日の「世界ダウン症の日」に合わせて、ダウン症の弟ジョヴァンニと一緒に制作したショートムービー『ザ・シンプル・インタビュー』をYouTube に公開しました。

この映像は、イタリア国内外で再生回数60 万回を超えて話題になり、出版社から小説のオファーを受け、翌年、ジャコモさんが19 歳のときに『弟は僕のヒーロー(原題:Miofratello rincorre i dinosauri dinosauri)』として発表しました。

同作はイタリアで現在までに25 万部を超える大ベストセラーとなり、15 カ国語以上で翻訳されました。日本では小学館から発行されています。

『弟は僕のヒーロー』

2019 年には、イタリアで映画化され、ジャコモさんは、脚本に参加。この映画が、満を持して112日(金)から全国でロードショー公開されます。

主人公のジャックを演じるのは今ではイタリアで人気抜群のフランチェスコ・ゲギ。そしてもう一人の主役である弟には、実際にダウン症のあるロレンツォ・シストが扮しています。特に当時12歳だったロレンツォの演技が素晴らしく、ジャコモさんはまだ子どものロレンツォが最初は心配だったそうですが、心配を越えて感動するほどだったそうです。

この映画ではダウン症の子を持つご家族の喜びや葛藤をリアルに描いていますが、決して重たい映画ではありません。ジャックと同世代の若者のリアルな生活を描き、高校生である主人公の等身大の悩みや恋愛、家族を思う気持ちは、日本の若者と何ら変わりはないでしょう。

理解し合うことの大切さを教えてくれる家族で観たい映画

ダウン症のすばらしさ、支える家族に勇気を与えてくれる映画ですが、障害の有無にかかわらず、1人ひとりがみんな違っていることを認め理解し合うことの大切さを考えさせてくれます。ジャックが弟のことでついた嘘とは?それはぜひ映画を観て確かめてください。

Hugkum世代のママやパパ、小学生中学年以上のお子さんならきっと楽しめる作品です。ぜひご家族でご覧になって、映画について話し合ってみてください。お子さんの意見を聞くよい機会になるのではないでしょうか。

『弟は僕のヒーロー』

1月12 日(金)よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

監督:ステファノ・チパーニ 原作:ジャコモ・マッツァリオール出演:アレッサンドロ・ガスマン、イザベラ・ラゴネーゼ、ロッシ・デ・パルマ、フランチェスコ・ゲギ、ロレンツォ・シスト、ロベルト・ノッキ、アリアンナ・ベケローニ2019 年/イタリア、スペイン/イタリア語/102 分/カラー/2.39:1 15.1ch 原題:Mio fratello rincorre i dinosauri 字幕:関口英子後援:公益財団法人 日本ダウン症協会、イタリア大使館、イタリア文化会館提供:日本イタリア映画社 配給:ミモザフィルムズ

(c)COPYRIGHT 2019 PACO CINEMATOGRAFICA S.R.L. NEO ART PRODUCCIONES S.L.

文/原佐知子

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