【発達凸凹の子ども達へ・まり先生の解決記】文字が上手に書けないけど…。自分のやりやすいを見つけてみよう!【マンガ あやまらなくていいんだよ 】

発達凸凹の子どもたちにとっての「人生っていいもんだな」「学校って楽しいかも」を追求してきた、特別支援学校・支援学級のまり先生(公認心理師)が、学校でのあるあるトラブルを、ユーモラスに解決するエピソードをご紹介!

発達凸凹の子たちの想い

トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにない強いこだわりの理由などを知ると、子育て中のイライラが、爆発する前にボヤ騒ぎくらいで済む場合があるんです。

クスッと笑える漫画を得意とするイラストレーター エイイチとコラボして、子育てに愛と笑いと「まぁいっか」を注ぎ込む『大喜利的エデュケーションマンガ』第7弾!

あやまらなければダメ?

文字も読めるし、おしゃべりも上手だけど、「文字を書く」ことになると、苦手!無理!頭がパンクする!力が入らない!ってなる人もいるんだ。1文字書くのにも全集中なんだよね。

まさに一筆入魂!

文字を書くというのは、自分を表現する行動=アウトプットだから、書くことが苦手だと自分でわかっていれば、緊張もするし、それでも自分の苦手を曝け出して書こうとするんだから、すごいこと。書いた文字というのは、おしゃべりと違って、消えないし、手元に残るしね。苦手だと感じていれば感じているほど、腹を括って書いてるわけだよ。そんな覚悟をもって毎日書こうとしているんだから、かっこいいんだぜ。

なんでかな?

文字を書くのが苦手な原因にも、いろいろあるんだ。ひらがなの形は分かるけど書こうとすると書けない、鉛筆を握る力が出ない、鉛筆と紙が触れる感触が気持ち悪い、書いた文字がゆがんで見える、どこに書けばいいかわからない、漢字が覚えられないとかね。

文字書くことに精魂尽き果てるから、自分の考えをまとめて書くなんてパンクするよね。

こうしてみるといいかもよ

フリック入力やタイピング入力なら、書かずに記録に残せるね。音声で文字起こししてもらうこともできる。テストは、書けないけど、口頭で答えてもいいんじゃないかな。それに、文字の覚え方も、人それぞれなんだ。だから、文字全体を絵のように見て覚えた方がいいのか、書き順を唱えながら書くと覚えやすいのか、縦縦横横とリズムに合わせる方が覚えやすいのか、漢字の成り立ちをストーリー仕立てにすると覚えやすいのかなど、覚えて書きやすい方法を見つけるのも、ちょっと楽になるね。

公認心理師・松尾まりか先生が解説

文字を書くのも自己表現のひとつ

文字を書き続けている大人にとっては、文字を書くなんて簡単で「適当に書けばいいじゃない!」と思うかもしれませんが、いざ「グループディスカッションのまとめを書いて」と言われると、みんな「え~、私、字上手くないから、パス!」とか言うでしょう。やっぱり文字ってその人が表現するものだし、形となって残るし、評価の対象にもなりやすい。だから、書くという行動がとても苦手な人にとっては、自分を曝け出す行為になり、しんどいのではないかと思います。ほら、別の自己表現として「歌うこと」だって、人前で歌えって言われたら尻込みするでしょ。表現は違うけど、そういうちょっと勇気のいるものだと思うんですよね。

書くことに振り回されない

「文字を読むのが苦手だけど…」の回でもお伝えしましたが、やはり『書くこと』は手段であって、いつでも優先順位を1位にするのはナンセンスです。確かに、「書けるに越したことはない」んだけど、書くことに全身全霊をかけたら、本来の目的を見失って、考えをまとめる、述べるなどができないともったいないですから!それは、上記にも書いた他の手段を使いましょう。

でも、せっかくだから、文字に親しんだり表現したりする経験もしてほしいな、と思っちゃうのよね、私ったら。そんなときは、書けないけど、広告の文字を切り取って手紙を作ってみるとか、粘土でひらがなを作ってアートするとか、習字の墨でとんでもなく大胆に書くとか、友達とペアになって人文字をつくるとか、文字を書くことは苦手だけど、『なんか文字を表現するのも楽しいもんだな~』というチャンスをつくってあげたいなと思います。

そして、もちろん!子どもにやらせるのではなく、おとなが率先して楽しんでいる背中を見せるのはマスト!「先生より、オモローな文字作ってやる!どうだ!」みたいな自己表現の嵐的な空気感のなかで、「それいいじゃん!」と笑い合い、認め合いながら『文字を表現する楽しい記憶』を築いて、人生を豊かにしたいのです。

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前回のお話はこちら

【発達凸凹の子ども達へ・まり先生の解決記】空気が読めないって言われるけど…。話す順番の練習をしてみよう!【マンガ あやまらなくていいんだよ 】
発達凸凹の子たちの想い トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにな...

原作

松尾まりか|特別支援学校教員資格・公認心理師
日本と海外の特別支援学校で14年間勤務した後、特別支援学級で勤務。児童発達センターの指導員、乳幼児の発達相談員と、教育界と福祉界を渡り歩きつつ、発達が気になる子と関わる教員、支援員、高校の寮のハウスマスター向けに、すぐに実践できる研修も行う。モットーは、子どもたちの 『人生っていいもんだな、おもしろいな 』を増やしたい。小学校・幼稚園・特別支援学校教員資格・公認心理師。

企画構成イラスト

エイイチ|イラストレーター
テレビや書籍にて漫画、挿絵、芸能人の似顔絵を描いているほか、学校の教材アニメーションを制作したりするなど、多様なコンテンツを手がける。著書に「見えないボクと盲導犬アンジーの目もあてられない日々」(小学館)「スキンヘッドパパの育児日記」(日経BP)など。東京都生活文化スポーツ局「パパズ・スタイル」にて子育て漫画を連載中。

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